10年来の念願だったという宮古島大会への出場を果たし、完全に近いカタチで勝利を収めた古谷純平。国際レースではなかなかできない、愛娘との同伴フィニッシュも実現した
第39回 宮古島トライアスロン
速報〈男子〉
写真＝小野口健太
「勝たなければいけないレース」
完全勝利へのプレッシャー
春の国内最高峰ロング、全日本トライアスロン宮古島大会（スイム３km/バイク123km/ラン35km）は４月20日、沖縄・宮古島で開催され1393人が参加、うち1258人が完走した。
男子総合では51.5km元日本・アジア王者の古谷純平が初参戦し、そのポテンシャルの高さを遺憾なく発揮。スイムで2位以下を約２分引き離すと、得意のバイクでその差を約20分まで広げ、ランでも独走態勢を維持。一度も後続に影を踏ませることなく、国内ロングの覇権を象徴する伝統の「ストロングマン王者」タイトルを奪取してみせた。
気温24.7℃、湿度100%、南南西の風（風速3.7m/sec）が吹く曇天の下、定刻どおり午前７時にスタート！
「大事なレースを勝ち切ることができて、まずはホッとしました。自分のペースを淡々と刻んでいけば、勝てるという自信の一方で、自分がこれまで出場してきたレースの中では最長の距離でしたし、確実に『勝たなければならないレース』だと位置づけていたので、トラブルやアクシデントがないか不安もありました。
実際、スイム、バイクまでは突っ込み過ぎることなく、抑えるところは抑えて想定通りにいけたのですが、ランの走りはじめはかなり脚が重くて、焦りました。
昨年５月、右脚アキレス腱の部分断裂をやってしまってからは痛みが出やすく、今日もラン後半少し痛みが出始めていたので、ラン折り返し後、２位の寺澤選手とすれ違ったときにタイム差がバイク終了時と同じ20分あることをあらためて確認して、そこからは無理をせず、だましだまし乗り切りました。
想定ペースは３分50秒くらいだったのですが、最後は４分超えていたと思います。でも、そこは無理せず勝つことを優先したので、本当に勝ち切ることができて『安心した』という気持ちが一番です」（古谷）
ロング転向を機にCANYONとも機材サポート契約を結んだ古谷。アイアンマンでも高いシェアをもつSpeedmax CFRを実戦投入している
五輪戦線を戦う日本代表男子の躍進をけん引してきた古谷は、昨年、ミドル～ロングに主戦場を移すことを表明し、佐渡国際トライアスロン（ロング日本選手権／2024年9月＝DNF）やアイアンマン70.3ジーロング（IRONMANプロシリーズ初戦／2025年3月=26位）に出場を果たすも、レース中のアクシデントやメカトラブルなどもからんで納得のいく結果を残せずにいた。
この春、自らの五輪挑戦がきっかけとなりトライアスロン競技部が創設された三井住友海上を退職し、完全プロ化・ロング本格挑戦へ舵を切った古谷にとって、身上とするアグレッシブなレーススタイルで確実につかみ取った、この勝利は、大きな意味をもつ一勝となりそうだ。
前回王者の寺澤光介。古谷を止めることはかなわなかったものの、安定したパフォーマンスで２位に入り、存在感を示した
気鋭のエイジがひしめき合う
ストロングマン十傑
２位に入ったのは前回王者の寺澤光介。古谷のポテンシャルの高さは当然、知っているだけに、レース前から苦しい戦いになることは覚悟していたが、直近の不調もありピークパフォーマンスをもってくることができず、古谷の完全勝利に待ったをかけることができなかった。
３位にはアイアンマン70.3東三河（2023年）総合優勝などの実績をもつ大倉拓也が入ったほか、SUB9プロジェクト（アイアンマンで９時間切りをターゲットに切磋琢磨してきたエイジグルーパー有志）の星大樹、菊池朋明ら、気鋭のエイジグルーパーたちがトップ10内に名を連ね、強豪エイジを中心とした日本ロング界活況の兆しを感じさせる、ストロングマン十傑となった。
午前中から湿度が高く、気温以上に蒸し暑さを感じさせる気候に終始した2025年の宮古島大会。時折、雨が降ることもあった
Result
男子総合上位
順位 氏名 (年齢) 総合タイム
1 古谷 純平（33） 6:03:57
2 寺澤 光介（31） 6:23:14
3 大倉 拓也（31） 6:24:09
4 前田 能宜（26） 6:34:24
5 星 大樹 （36） 6:37:20
6 菊池 朋明（36） 6:42:29
7 土田 洋平（45） 6:43:21
8 OH SANGWHAN（51） 6:46:08
9 丸尾 公貞（39） 6:46:28
10 本田 浩輝（26） 6:47:29
