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2026年からコナ男女同日開催へ回帰《アイアンマン世界選》

投稿日:2025年5月1日 更新日:


ルミナ編集部

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ロング世界最高峰の闘いめぐる
IRONMANの迷走に一旦の終止符

写真=小野口健太

IRONMANグループは4月30日、2026年からアイアンマン世界選手権をコナ(ハワイ)男女同日開催へ戻すことを柱とした新施策を発表した。

プロカテゴリーについては、引き続き男女の出場枠均衡(50:50)を維持する一方、エイジグループについては従前の参加者比例配分に戻すことを示唆している。

アイアンマン世界選手権をめぐっては、コロナ禍による開催延期の影響で出場枠を保持するアスリートが増えたことに端を発して、コナ2日間開催(男女・カテゴリー別=2022年)、コナ・ニース2拠点開催(2023~2025年)と「苦肉の策」ともいえるシステム変更が続いてきたが、

今回の方針決定で、ふたたび聖地コナを開催地とした「伝統の一戦スタイル」に落ち着くこととなり、コロナ禍の影を引きずったIRONMANの迷走に一旦の終止符が打たれることになりそうだ。

今回IRONMANグループが発表した施策の主な内容は、以下の5項目。

アイアンマン世界選手権をめぐる
主な変更点
●2026年からコナ(ハワイ)1DAY開催へ回帰
※男女、プロ・エイジ同日開催
●エイジグループの出場枠は参加者比例配分に回帰
●プロは男女比率50:50を維持
●スタートウエーブ間隔を拡大し3,000人規模で開催
●ニースは2026・2028年70.3世界選開催地に

IRONMANグループCEOのスコット・デリュー氏。就任以来、この世界選手権開催地問題に対する決断の行方が注目されていた

アイアンマン世界選手権については、男女2拠点(コナ&ニース)開催とし、出場枠も大幅に増えたことで、出場枠獲得ライン・出場枠自体の価値の低下が課題となっており、アイアンマン・シリーズ全体の停滞が懸念されていた。

昨年IRONMANグループのCEOに就任して、この喫緊の課題に取り組んできたスコット・デリュー氏は、世界選を頂点とするIRONMANが「ただのレースではない」アスリートそれぞれの人生を変えるほどの特別なものであることにあらためて理解を示し、

「多くの人々がこの変更に興奮する一方で、失望する人が多くいることもわかっている」とした上で、

今回の新方針が、2023年の2拠点開催へのシフト以降続けてきた様々な調査・分析や、1万人超のアスリート・関係者への最終的なアンケート調査(2024年12月実施)の結果から導き出した現時点での最適解で、急ごしらえの方針展開ではないとコメント。アスリートをはじめとするIRONMANコミュニティに向けて理解と協力を求めている。

アイアンマン世界選をめぐる
新方針の背景と、変更要旨
〈IRONMANグループ発表+Lumina編集部補足〉

コナ&ニース
2拠点開催となった経緯

IRONMAN世界選手権が2023年に初めて分割開催に移行した理由はふたつ。

■COVIDのパンデミックによるキャンセル(コナ開催中止)で出場枠を保持するアスリートが増大。その出口として2日間のレース(世界選開催)が必要となった。

■2022年にコナでの2日間開催(男女・カテゴリー別)を試み、通常の倍近い選手が世界選に参加。ある面においては成功を見たもののハワイ島コナの地元コミュニティにとって17時間に及ぶレースを同一週(木・土曜)に2回開催するというこのスタイルが持続不可能であることが判明した。

しかし、この2022年時点でIRONMANグループは2023年にも男女2日間開催を発表しており、予選レース・出場枠の配分も進んでしまっていたことから、苦肉の策としてニースとの2都市開催に至った。

この2拠点開催への移行とあわせ、別の課題となっていたIRONMAN世界選手権出場枠の男女不均衡(※単純に参加者比例配分とすると男子選手の比率が高くなり、女子選手の出場機会が一向に増えない)を解消する狙いもあった。

アスリートや関係者への調査で
明確になったふたつのポイント

IRONMANグループは2023年の早い時期にIRONMAN世界選手権を2カ所に分けて開催することを発表して以降、2024年までにさまざまな属性のアスリートや関係者、各開催地コミュニティなどからフィードバックを受け、それらを分析、仮説の検証を繰り返してきた。

2024年12月にはプロ~エイジアスリート、メディア、ステークホルダーなど1万人超を対象にアンケート調査を実施。以下ふたつのポイント(ニーズ・意思・傾向)がより明確になり、これが最終的な意思決定の重要な要素になったとしている。

❶大多数のアスリートが男女同時コナ開催を望んでいる
男女すべての年齢層において、大多数が男女一緒にレースをすることと、このスポーツの聖地であるハワイ島コナでレースをすることを望んでいることがわかった。

❷男女2日間開催が女子アスリート参入促進にはつながらなかった
IRONMAN世界選手権のレースを男女2日間開催に分けて、出場枠配分を50:50としても(シンプルに女性の出場枠を大幅に増やしても)、より多くの女性がトライアスロンに参入するきっかけにはならず、女性のレース頻度も増加しなかったと分析。

それどころか、このスポーツでのキャリアの頂点であるIRONMAN世界選手権を完走した後、このスポーツから離れる女性が予想外に増える結果になったという。

男女プロ・エイジ同時
3,000人規模IMの課題は?

男女別拠点開催のアイアンマン世界選では、1レースの参加者は2,000~2,200人ほどだったが、コナ1DAY開催とすることで、レースへの参加者数増加が予想される。

これにより、例えばバイクコース上で渋滞に近い集団化が頻発するなど、レースに混乱を来さないのか?

この点についてIRONMANグループは、例えば、プロ男子・プロ女子・エイジグループのスタートウェーブ間を拡大することで「世界選手権の精神に忠実でありながら、レース参加アスリート数を3,000人近くまで拡大することが可能」で競技の完全性・公平性を確保できるとしている。

また、男女別日程開催となったこの数年、プロカテゴリーのレース報道については、男子、女子ともに以前よりも詳細に・わかりやすく報じられることとなり、これが男女別開催のメリットのひとつとも言われていたが、

この点についても、前述のスタート時間設定や「新たなコンテンツ制作技術」により、男女プロアスリートのレースを平等に放送できると説明している。

エイジのスロットは参加者比例配分
プロは男女50:50を継続

コナスロット(出場枠)配分について、エイジグループ(年代別)の予選枠は(参加者数に応じて)比例配分されるが、PC/ID(障がいをもつ)アスリートや女性アスリート参加機会拡大のための追加枠などは引き続き提供。

前述のとおり、プロ選手の出場枠については、これまでどおり男女均等(50:50)に枠を用意するとしている。

直近では最後の男女コナ開催だった2022年のアイアンマン世界選。レース前のプロ記者会見

ニースは70.3世界選の
聖地として定着を探る!?

かくしてコナ1拠点開催への回帰に舵を切った一方、IRONMANグループは、2026年と2028年にIRONMAN 70.3世界選手権をニースで開催することも大々的に発表。

ニースでの世界選に参加したアスリートからのフィードバックでも、かの地が世界選手権にふさわしい会場として高評価だったことを挙げ、今後は70.3の世界選手権開催地としての定着を探るかのような表現もしており、

この数年、もうひとつの開催地としてアイアンマン世界選を支えてきたニースへの配慮がうかがえる。

世界選手権の開催地としては申し分なく、参加経験者からは高評価を得ていたニース。今後も欧州の聖地としてIRONMANシリーズ戦や70.3世界選が開催される

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