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《KONA2024速報》ランゲがコース新記録の超速ランで通算3勝目

投稿日:2024年10月28日 更新日:


ルミナ編集部

text by:

コナで、6年ぶり3度目の勝利を上げたパトリック・ランゲ

2024アイアンマン世界選手権
プロカテゴリー男子

取材/東海林美佳
写真/小野口健太

古兵ランゲがマークした
圧巻の「7時間35分」

ハイテク化と高速化、そして新世代の台頭で数年前とはすっかり景色が変わったように見えたアイアンマン。そんな中、サム・レイドロウや、クリスティアン・ブルンメンフェルト、マグナス・ディトレフといった下馬評を覆し、2位に7分45差をつけて今年のコナを制したのは38歳の古兵、パトリック・ランゲだった。

2年前にグスタフ・イデンが記録したコースレコード(7時間40分24秒)を塗り替える7時間35分53秒のコース新記録を叩き出し、6年ぶり3度目のコナチャンピオンに輝いた。

Swim
優勝候補がせめぎ合う「大集団」に

©Tony Svensson / IRONMAN

年々熾烈さを増す男子レース。今年はスイムから激しい闘いが繰り広げられた。

号砲と共にスタートした56人のプロアスリートは、数人を残して大集団を形成する。やがて集団はメノー・クールハースを先頭に縦長になる。

折り返し地点手前ではレイドロウが先頭に飛び出してゆさぶりをかけるも、終盤には再びクールハースに先頭をゆずり、彼自身は2位の位置でスイムアップ。加えてランゲやルディ・フォンバーグ、ブルンメンフェルトらを含む22人が次々とT1に飛び込む混戦となった。

Bike
レイドロウがコース記録再更新
3時間57分22秒で圧倒

エアロ対策をめぐるトレンド要素満載のバイクで大きく先行したレイドロウ。同世代のライバル、ディトレフらを寄せ付けることなくバイクレグを完全制圧

バイクでは早々にレイドロウが先頭に立つ。前回ここでバイクのコース記録を打ち立てた彼は、躊躇なく飛ばして後続との差をグングン広げていく。

ランゲ、ブルンメンフェルトらはあえて追わず、2位集団を形成。ディトレフは1分半遅れでスイムアップし22位から先頭を追う形になったが、アイアンマン界屈指のバイカーは40km付近で2位まで浮上。

だがそこから先、レイドロウとの差がなかなか縮まらない。レイドロウは好調さを見せつけるかのようにひとり快調に飛ばし、ハヴィの折り返しを迎える頃にはディトレフに2分半の差をつけていた。

1分半遅れでスイムアップし22位から先頭を追ったディトレフ。得意のバイクで猛追し40km付近で2位まで浮上するも、レイドロウをとらえることができなかった

折り返し後もレイドロウの攻めの走りは変わらず、ディトレフが渾身の走りで追ってもその差は縮まるどころかジワジワと開いてゆくばかり。

2年前のコースレコードを上回るハイレベルなバイク対決の軍配はレイドロウ。ディトレフは終盤急速に失速し、後ろから来たロバート・カリンに抜かれて3位の位置でのバイクフィニッシュとなった。

Run
明暗分かれた優勝候補たち。
ランゲ圧巻の快速RUNショー

スイム、バイクと好位置を押さえ、最後はランコース記録を塗り替える快走で魅せたランゲ

後続に6分近いリードを保ってランをスタートしたレイドロウは、リラックスした走りで淡々と歩を進め、2位カリンを引き離していく。

一方、11位のポジションでランをスタートしたランゲは、序盤から異次元の走りで順位をみるみる上げ、5km手前で早くも2位まで浮上する。そのまま快調に前を追い、9分以上あったレイドロウとの差をあっと言う間に詰めていった。

レイドロウは、15km過ぎからペースが落ち始め、歩く場面も見られるようになる。明らかに走れなくなったレイドロウをランゲが抜いたのが18km地点。ランゲはそのまま独走態勢を築き、最後まで軽快な走りのまま7時間35分53秒のコナコースレコードでフィニッシュテープを切った。

ランゲの後方では表彰台、そしてトップ5をめぐる熾烈な闘いが展開された。

バイクで一度は失速したディトレフが終盤驚異の粘りを見せて2位に浮上し、嬉しいコナ初表彰台。

3位はルディ・フォンバーグ。久々のアメリカ人男子表彰台にフィニッシュエリアは湧いた。

アメリカ勢男子としては久しぶりに3位入賞を果たし、沿道を沸かせたフォンバーグ

優勝候補の一角として注目を集めていたブルンメンフェルトは、バイクで一時ディトレフとともにレイドロウを追っていたものの、バイク中盤に胃の不調で嘔吐を繰り返す事態に。

摂取したエネルギーをほとんど失い、失速を余儀なくされた。なんとか9番手でバイクレグをフィニッシュしたものの、ランで本来の実力を発揮することはできず、35位に沈んだ。

ランで本来の実力を発揮できず、35位に沈んだブルンメンフェルト

優勝コメント
パトリック・ランゲ
「すべてが信じられないほどに完璧だった」

僕の最高の日はこれから来る、これまでそう言っても誰も信じてくれなかったけど、今日がその日。すべてが信じられないほどに完璧だった。ランは序盤から飛ばしたけど、決してオーバーペースだとは思わなかった。自分の実力通りのペースだったし、すごくポジティブなエネルギーに満ちていたから。今はただただ感謝。

この勝利を2020年にがんで亡くなった母に捧げたい。母は僕が再びコナで返り咲くことを望んでいたから。

その完璧なレースを終え、喜びを爆発させたランゲ

マグナス・ディトレフ〈2位〉
「今までに経験したことのないタフなレース」

これまでで一番タフなレースだった。バイクの終盤は本当にきつくて、このレースを完走できるかどうかもわからない状態だった。精神的にも今までに経験したことのない辛さだったけど、そこから2位まで来られたことを誇りに思う。

ランの序盤は苦しかったけど、思ったよりペースが落ちていないことがわかって走り続けているうちに、前の選手が落ちてきて、もしかしたら表彰台もあるかも、と思ったらモチベーションが上がった。これまでやってきたメンタルトレーニングも功を奏したと思う。

ルディ・フォンバーグ〈3位〉
「子どもの頃からの夢だったコナでの表彰台は嬉しい」

スタート時の目標は5位以内。ここで表彰台に上がれる日が来るなんて、本当に嬉しい。コナは子どもの頃からの夢だったから。

バイクは大集団になったので、無理をしないよう心がけたのがランにつながったと思う。そうは言ってもランのラスト12kmは地獄だった。補給はうまくいっていたのに、ひどく身体に堪えた。

やっぱりコナは別物だね。このレースをサバイバルして表彰台に届いて本当に嬉しい。

レース後、記者会見に臨んだ上位5選手。左からシュヴァリエ、ディトレフ、ランゲ、フォンバーグ、クールハース ©Mika Tokairin

レオン・シュヴァリエ〈4位〉
「表彰台を逃したことは悔やまれる」

昨年のニースでは5位、今回は4位。ランの途中は2位まで上がっていたから、やっぱり表彰台を逃したことは悔しい。

スイムで遅れてバイクはずっと一人旅になってしまった。ランはプラン通り、アリィドライブまでは自重してた。パトリックに抜かれて、その後はメノー(クールハース)にも抜かれたけど我慢して、後からじわじわ上げていった。

辛い時間帯もあって順位を落としたけどなんとか切り抜けられた。

メノー・クールハース〈5位〉
「ルーキーイヤーで5位入賞は、本当に嬉しい」

コナで5位に入るなんて最高の気持ち。直前にスネの疲労骨折で4週間走れない時期があったりして、完璧とは程遠い準備状況だったから。スタート前にはくらげに刺されるし。

スイムトップは狙っていた。ランがどうなるかわからなかったから、スイムで名を上げようと思って攻めた。

ランでは10kmあたりでふくらはぎに痛みが出たけど、なんとか乗り切れてよかった。ルーキーイヤーで5位に入って記者会見に出られるなんて、本当に嬉しい。

アイアンマン世界選手権@コナ
プロ男子上位リザルト
順位/名前・国/総合タイム(SWIM/BIKE/RUN)

1 パトリック・ランゲ (ドイツ)
7:35:53(S47:09/B4:06:22/R2:37:34)

2 マグナス・ディトレフ(デンマーク)
7:43:39(S48:18/B4:02:52/R2:46:10)

3 ルディ・フォンバーグ(アメリカ)
7:46:00(S47:18/B4:05:49/R2:48:11)

4 レオン・シュヴァリエ(フランス)
7:46:54(S50:43/B4:01:38/R2:49:56)

5 メノー・クールハース(オランダ)
7:47:22(S47:02/B4:05:02/R2:50:02)

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  1. 速報ありがとう!

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