
日本人にオススメ! アイアンマン台湾
2025年、アイアンマン台湾でエイジ2位に輝き、世界選手権(ニース)への出場権を獲得した鈴木隆之さん。KONAチャレ2期生として本気で世界を目指した鈴木さんが、挑戦の舞台に選んだのはアイアンマン台湾・澎湖(ポンフー)。アクセス、気候、コース、そして人の温かさ——日本人選手にこそオススメしたい台湾大会の魅力を、語ってくれた。
写真=アイアンマン台湾事務局、鈴木さん提供
>>2026年4月12日開催 アイアンマン台湾のエントリー受付中

トライアスロンとの出会い、そしてKONAチャレへ
「トライアスロンを本格的に始めたのは2018年くらいですね」と語る鈴木さん。もともと30年近く自転車競技に取り組んできたが、トライアスリートの先輩から「オフシーズンのクロストレーニングにいいよ」と勧められたのがきっかけだった。
60歳でKONAチャレに参加し、世界選手権出場を本気で目指すことに。実は台湾大会へのエントリーは、KONAチャレ参加前にも一度試みていた。
「Luminaで『アイアンマン台湾チャレンジ』という企画に参加していたんです。でもコロナで中止になってしまって、そのときは出場が叶いませんでした」
その後、まずはアイアンマン北海道に挑戦したが、思うような結果が出せなかった。4月に開催されるアイアンマン台湾なら、9月のアイアンマン世界選手権(以下ニース)までの準備期間も十分にあると考えて、悔しさを胸に再び台湾大会への挑戦を決意した。

アクセスはひと工夫で安心に
アイアンマン台湾が開催される澎湖島へのアクセスは、台湾本島からの乗り継ぎが必要だが、事前に調べておけば不安は少ない。
「自転車を持って海外旅行をする際に気になるのが、ロジスティックですよね。台湾の開催地、澎湖島に行くには飛行機の乗り継ぎなどもありますし心配な人も多いと思います。私は一度調べていたこともあって、わりとスムーズに準備を進めることができました。
注意点としては、台北で桃園空港から松山空港まで移動しなくてはならず、そこからさらに飛行機で澎湖島まで行く際、マンダリンエアなどの中華系航空会社は、自転車が10台ぐらいしか乗せられないんです。だから早めに手続きをして、載せてもらう交渉をする必要があります」
土地勘がなくても、事前準備と情報収集で安心して臨める。「ツアー会社を利用したり、経験者に話を聞くことが、心強い味方になるでしょう」と鈴木さんがアドバイスしてくれた。

SWIM
ウエット着用不可も想定内にしておく
台湾は風が強く、スイムやバイクに影響が出ることもある。鈴木さんもその洗礼を受けたひとりだ。ただ、風の強さによるコース変更など、自然条件による変化はあるものの、コースそのものは日本人選手にとって走りやすいと感じたという。
「2025年も風の影響で、スイムの距離が半分の1.9㎞になっちゃいました。スイムそのものは、白波は立っていたけれど、特に泳ぎにくいところはなかったです。あとは水温が24℃くらいで、ウエット着用が不可になるケースもあるようです。僕のときはウエット着用OKだったので、ホッとした部分もあったのですが、海外レースだとウエットなしもあり得ますよね。日本ではほとんどウエットスーツを着たレースが多いので、そのあたりの想定もしておくことをオススメします」
同じ時期に開催される、宮古島トライアスロンよりも涼しいくらいの気温だそう。寒い冬にトレーニングを積んでいきなり気温が高いところでのレースは体調管理も難しいが、涼しいと体調管理はしやすそうだ。

BIKE
橋は3つ 強風対策も万全に
「バイクコースも強風のため、変更になる場合もあります。僕のときは澎湖大橋を渡って一番奥の島に渡った後の周回がかなりテクニカルな部分なのですが、横風が危険のため、コースが変更になりました。
追い風の時は40㎞/hオーバーで、帰ってくるときはそれこそ25km/hまで落ちちゃう感じだったので、そのあたりもきちんと把握しておいたほうがいいかもしれませんね。
路面も、結構ガタガタしてるところがあって、僕自身もトラブルがあったので、アクシデントとして発生する可能性があります。まあ海外のアイアンマンだと路面が悪いところって結構あるので、それと同じですね。
幹線道路などの広いところは全然問題ないのですが、やはり細いところは路面が悪いところもあるので、要注意です。それでも走りやすさはあって、坂も結構あるのですが、淡々とマイペースで走れたので良かったです」

レース中でもまわりを見れば、風景を楽しむこともできる。
「バイクでは、橋を3つ渡るんですよね。橋を渡るたびに、中心街から外れて台湾らしい町並みや、公園、旧市街などを巡ることができます。旧市街では、古い建物がけっこうあったりするので、映画のセットみたいで印象的でした。そのあたりは楽しめましたね」

RUN
平坦基調で走りやすい
平坦なランコースは、コンパクトですれ違いも多いため、ライバル選手との順位差など確認がしやすいのも世界選手権を目指す人にとっては好都合なレイアウトだ。
「スイムのスタートが10人ずつ出るローリングスタートだったので、最後まで順位が分かりにくいんです。僕は、後ろのほうからスタートしたので、前を追っていけるから気持ち的には楽でしたけれどね。ランコースはめちゃくちゃ走りやすかった。港湾地区で港のへりをずっと走るので景観が良かったです。
大会のオフィシャルホテルの前を通ると応援も多いですし、ちょっとだけ幹線道路に出た時に少し上るのですが、それくらいでほぼフラットでした。
アジア圏の大会は欧米に比べて体格差やバイクレベルの差が少ないように感じました。世界選手権を狙いたいのなら、やはりアジアの大会は日本人にとってはオススメですね」

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澎湖島の風景と人の温かさ
「僕が宿泊したのは、フィニッシュ会場からほど近い『紅帽民宿』という宿でしたが、日本語も英語も通じなくて、スマホ片手にそこのご主人が一生懸命コミュニケーションを取ってくれて、親切で優しかったです。夜、屋台に連れて行ってくれました。
賑やかではないけれど、雰囲気は味わえましたね。旧市街には古いお店や美味しそうな海鮮のお店が並んでいて、食べることには困らないと思います。
そこで知り合った台湾人でスロットを獲った人がニースでも声かけてくれたし。だからそういう人の優しさやつながりをすごく感じられました」

日程的に余裕があれば、延泊して台北を観光するのがオススメだが、時間が取れなくても澎湖島だけで十分に「台湾らしさ」を味わえるそうだ。
「旧市街の方に行くと昔の建物がたくさんあって、観光ガイドにもチラッと出てたりする『千と千尋の神隠し』に出てきそうな路地がたくさんありました。その路地に結構面白いものがたくさん売っていたり、プラプラ散策すると楽しいところがたくさんありますよ。応援に来てくれていた妻も十分満足していました」
観光地としてはまだ穴場の澎湖島だが、トライアスロンをきっかけに非日常の風景と人の温かさに触れることで、家族も満足のトライアスロントリップになる。

澎湖島の旧市街地はのんびり観光するのにオススメ
気候と治安の安心感
「治安というのもすごくファクターとしては大きいと思います。治安も良くて嫌なことはひとつもありませんでした」
海外、しかもレースに出場する場合、不安要素はたくさんある。その中で日本と同様に治安がいいことは安堵感につながり、レースに集中できる大きな要素と言える。

エイジ2位となり、見事ニースへの出場権を獲得した鈴木さん
台湾で得たものは、出場権だけじゃない
「台湾では、フィニッシュして2位だったので、スロットはひとつだけかなと思ったらふたつあって、ニースへの出場権を獲得できました。ロールダウンじゃなくてしっかりと取りたいなっていう気持ちもありましたし、表彰もしてもらいましたのでむちゃくちゃうれしかったです」
KONAチャレ2期生として、世界選出場を獲得した際、ほっとしたという鈴木さんはニースへの憧れが人一倍強かった。

アイアンマン世界選手権、ニースへ!
「僕ね、ずっとニースは出たかったんですよ。なぜかというと、自転車をずっとやってきたから。『あぁここがツールのコースか~』とにやけながら走っていましたよ。
プロと同じコースを走れるだけで幸せでしたね。レースではバイクでトラブルがあったりして、不本意だったけれども、それ以外はもう本当に満点でしたね。いやー素晴らしい。世界選手権がニースのときに出場できて本当に良かったです」

鈴木さんの夢だったツール・ド・フランスと同じバイクコース
そして次なる挑戦へ
KONAチャレ2期生としての挑戦は完結したが、鈴木さんの挑戦はまだ終わらない。
「KONAチャレとしては完結したのかなっていう気はするんですけど、もうちょっと足掻いてみようかなって気がしています。次に選手権を狙うなら、65歳のエイジカテゴリーに上がったときかなと考えています。そのときの出場権獲得レースとして、台湾ももちろん候補に入っています。
台湾の現地の方の優しさに触れたこと、また日本人向きと感じられたコース、コンパクトな観光スポットなど総合的に考えて、また行きたくなるレースであることは間違いないですね」
鈴木さんのように世界への夢を叶える地として、またそれぞれの挑戦の場として、アイアンマン台湾はこれからも多くのトライアスリートを温かく迎え入れてくれる。

ニースのフィッシュラインを踏んだが、まだまだ鈴木さんの挑戦は続く
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開催地:台湾・澎湖島(ポンフー島)
開催日:2026年4月12日(日)《アクセス》
▼日本から台湾本島(台北など)まで飛行機で約3〜4時間
▼台北・松山空港から澎湖島へ国内線で移動
▼自転車の輸送には事前予約・交渉が必要(搭載数制限あり)
《提携ホテル》
▼シェラトン澎湖(大会会場に隣接)
▼ディスカバリーホテル(繁華街に近接)


















