日本から一番近いアイアンマン、台湾へGO!
アイアンマン台湾
4月12日(日)
SWIM3.8km/BIKE180.2km/RUN42.2km
▶2020年エントリーはコチラ
2016年に舞台を懇丁(ケンティン)から澎湖(ポンフー)に移したアイアンマン台湾。その年にライター今雄飛さんがレースに出場した模様をレポート。周辺情報も踏まえてレース出場の参考にしよう。
▶レース前にライター東海林さんが徹底取材したアイアンマン台湾完全ガイドVol.1はコチラ>>>Race Preview;
Race Review;
IRONMAN TAIWAN
澎湖(ポンフー)、風満ちる島。
知る人ぞ知るリゾートアイランドで初めて行われたアイアンマン台湾を出走リポートする。
文=今 雄飛
写真=播本明彦
島に吹く風は選手の助けになるか?
「澎湖(ポンフー)って風が強くて有名なところでしょ。ウインドサーファーに人気のスポットなんだよ」ウインドサーフィンも長らく撮り続けてきた同行のカメラマンが言う。裏付けのようにiPhoneアプリの天気予報では、見たことがない「強風」のマークが期間中ずっと表示されていた。
風をとらえるウインドサーファーにとっては恵みであっても、トライアスリートにとって風は、薬にも毒にもなる。しかし、降り立った澎湖の街は意外にも穏やか。もちろん台湾らしい蒸し暑さは感じたが、強風は感じなかった。
今回、アイアンマン台湾は台湾の西に位置するリゾートアイランド、澎湖に場所を移して開催された。知り合いの台湾人でさえ、「良いところらしいけど、台湾人でも行ったことがない人が多いと思うよ」と知る人ぞ知る島だという。
ただレースディレクターのレニー・リンさんによれば「宮古島に似ているから、日本の人はなじみやすいと思いますよ」という。確かに類似点は多い。クリアな水質も、島々をめぐるバイクコースも、競技場にフィニッシュするところも、そして熱のこもった応援も。宮古島を愛する彼がここを選んだのもうなずける。でもそこは台湾。
いくら似ていても、流れる景色は宮古島とは違う。はき慣れたランニングシューズで出張先を走るような、安心感がありつつもフレッシュな気持ちで走れる、そんな感じがした。
当日の朝も風はなく波も静かだった。台風が近づいている予報もあったし、風の島を警戒していた自分にとっては、少し肩透かしを食らった感じ。バトルの少ないローリングスタートだったことも加えて、気持ち的にも穏やかにスタートを切る。1周目の途中あたりで日が上ると、3m ほど下の海底まではっきりと見える。これは気持ちがいい。
2周目でも続々現れる「平泳ぎ」の多さには少し参ったが、変にバトルを仕掛けてこない台湾のトライアスリートのクリーンさに感動しつつ、スイムを終えた。
「加油(ジャーヨー)、加油!」熱のこもった声援を耳にしながらバイクコースへ。しばらくは島の西側の、のんびりとした住宅地と牧場が広がるルートを進む。交通規制はされていないが、ドライバーの自転車に対する理解と広い自転車専用レーンにより、トランジション後の混雑した時間帯もスムーズに走れる。点在する住宅街を通り、橋と島を巡る3周回のコースヘ。
周回コースのクライマックスは島のシンボル、澎湖跨海大橋。青い海が眼前に迫る景色はすこぶる気持ちを高めてくれたが、まだ1周目。景色を眺める余裕もあった。
行きはいいけど帰りは辛い、北からの風が強くなってきた。サイクリングロードでよくあるあれだ。だんだん辛い気持ちが身体の奥から持ち上がってくる。さらに暑さ。気温は30℃近くまで上がっているようだ。3周目の大橋では、強烈な向かい風に吹かれ、時速22㎞まで落ち込むほど。
緩いといわれたアップダウンも脚にこたえ始めていた。完全に練習不足。そんな状態でレースに出場している自分を呪いながら、励ましながら、トランジションでゆっくり休んでランニングをスタートした。
レース後の喪失感は何で埋める? 変わらず暑い。日が暮れるまでの10㎞ちょっとはほとんど走れないまま。20㎞過ぎぐらいからようやく走り始めることができた。それからはあまり覚えていない。飲み水をかぶって、ストレッチを繰り返すだけ。辛い・辛くない、不快・快適の時間帯が、風見鶏のようにくるくるとめぐってくる。
ただ、夜空に競技場の明かりが見え、レースMCの声が聞こえてきたとき、ようやく完走できるんだ、と感じることができた。特にロングのレースは1000人ほどの人間による共同生活をしている気持ちになる。同じ期間に訪れて、レースをしてご飯を食べて。わずか4〜5日ほどでしかないが、濃密な時間にどっぷり浸る。
濃密だから、終わりが寂しい。澎湖を発つときもそうだったが、今はもっと大きな喪失感がある。これの喪失感を埋められるのはトライアスロンしかないんだろう。トレーニングで埋めて、埋め切れないところはレースで埋める。さて、次はどのレースに出ようかな? 当分やめられそうにない。
Swim
6人ずつのローリングスタートでストレスなく泳げる ※スイムコースは2016年当時と2019年では変更しているがローリングスタートは分からない
Bike
バイクコースは基本的にフラットではあるが、獲得標高は1100m超。じんわりと脚に来る走りごたえのあるコースと言える。ランも同様。細かいが繰り返し出現するアップダウン、そして気温の高さが参加者を苦しめた
Run
天然の良港である澎湖湾内を臨むランコース。バイクコースと共通の部分も多いが、気温も違えば時間も違う。全く新鮮な気持ちですれ違う人と声を交わしながら走る
Other Cut
※レポート部分は『Triathlon Lumina』2017年1月号より転載
アイアンマン台湾
4月12日(日)
SWIM3.8km/BIKE180.2km/RUN42.2km
▶2020年エントリーはコチラ
▶レース前にライター東海林さんが徹底取材したアイアンマン台湾完全ガイドVol.1はコチラ>>>Race Preview