MAKESKONACHALLENGE
3カ年でコナへ――チャレンジ企画の最高峰。
TKが振り返るKONAチャレ・プロジェクトの3年間
浮き彫りになった「KONAに行けるアスリート」になるために大切なこと
2018年春にスタートした3年間のKONAチャレ・プロジェクトは今年3月で終了する。3年目の去年、コロナ禍で多くの大会が中止されるという、予想もしない事態となったが、それでもメンバーの中から計5人(クオリファイレースの成績での獲得者4人と、中止になったレースの抽選の当選者1人)がKONA出場権を獲得した。
そもそもこのプロジェクトの目的は、単にKONAを目指すトライアスリートを支援することではなく、それぞれのアスリートがKONAに近づくためにどう取り組みを変えたか、それがどのような効果や成果につながったかを検証し、多くのアスリートの役立ててもらうことだった。そこでプロジェクト・リーダーの竹谷賢二さん(TK)に、このプロジェクトを通じて見えてきたことを総括してもらった。
最も重要なのはライフスタイルになっているか
このプロジェクトでは、メンバーの取り組みの効果や進捗状況をモニターするために、定期的にスイム・バイク・ランと基本的な身体の機能を測定していきました。目的はKONAのクオリファイレースで出場権をとることですが、そこに近づくために何をして、どのくらい効果があったかを客観的に把握するためには、数値的なデータが役に立つからです。
ただ、アイアンマンに必要な、長時間・長距離に耐える持久力や、効率的に身体を動かす技術などは、短期間でそれほど急激に伸びるものではありません。必要な要素には1年でなかなか成果が表れないものもありますし、中には3年でも足りないものもあります。
そこで何が大事かというと、まずライフスタイルとして取り組めているかということです。3種目のトレーニングを含めてすべてのアクティビティが生活の中であたりまえになっているか。よく「継続は力なり」と言いますが、これが絶対必要な条件だと思います。
私が知っているKONAの常連アスリートたちはそれぞれ個性的で、練習方法もそれぞれちがいますが、共通しているのは、トレーニングなどKONAにつながるすべての行動が、ライフスタイルになっていて、生活の中でごく当たり前に行っているということです。
コロナ禍で明確になったKONAに行ける人と行けない人の違い
昨年から新型コロナの感染拡大で、トライアスロンの環境は劇的に変わりました。アイアンマンシリーズをはじめトライアスロンの多くの大会が中止になり、いつ再開されるかわからない状況で、目標を見失う人も少なからずいたようです。
しかしコロナ禍は、はからずもトライアスリートにとって本当に大切なこと、やりたいことが浮き彫りしてくれました。この状況でも続けられる人は、取り組みをライフスタイルにできていた人ですし、続けられない人は、取り組みが付け焼き刃的なものだったということです。
コロナが生みだした状況は、KONAをめざすアスリートにとって、自分の取り組みが本物かどうかを判定するリトマス試験紙になったと言えます。人は本当にやりたいことなら困難な状況でもできるものです。今それができている人は、この状況乗り越えたとき、目指す領域により近づけるでしょう。
KONAに何度も出ている私も、KONAに出るためのアクティビティを継続するということは変わりません。状況が変わって、何をやるかという選択は変わっても、「やる」ということは自体に変化はありません。まわりを見渡しても、これまでKONAに行っている人は、今でも変わらず自分の決めたことを突き詰めてやり続けています。それが本当のライフスタイルだと思います。
何があってもやるということは、何かを犠牲にしてやるのではなく、「やりたいからやる」を突き詰めるということです。それができている人がKONAに集まる。この「何かを犠牲にしてやるのではなく、やりたいからやる」というのは、KONAチャレ最初のミーティングで私が言ったことですが、この言葉の意味がコロナのおかげで明確に見えたと思います。
パフォーマンスは上げる以上に落とさないことが大切
最初に触れたように、アイアンマンに必要なパフォーマンスは、短期間でそんなに大きく上がったり下がったりするものではありません。短距離種目のように短時間だけ最大値を出せばいいスポーツと違い、アイアンマンのようにかなり長い持久的なスポーツに必要な能力は、上げていくのに時間がかかります。
もちろん足りない部分は上げていく必要がありますが、3カ月ごとの計測で出る指標の数値に一喜一憂することはありません。個々の指標が上げ下げを繰り返していても、1年・2年といった長期的なスパンで右肩上がりになっていれば、KONAに近づいていることになります。
むしろアイアンマンのように長い持久系スポーツのパフォーマンスは、どこまで上げるかより、どこまで落とさないかが大切です。向上に時間がかかる分、短期間で急に大きく下がることはないですし、維持するのは比較的楽ですが、その維持を怠っていて、いつのまにか下がっているといったことがあると、もう一度上げるのは大変です。
指標=実戦のパフォーマンスではない
レースでは最終的にどれだけ速いかは、後半・終盤のつらいときにどれだけ落とさないかで決まります。最初の1時間は誰でも元気ですから上げることができますが、あと8〜9時間、疲れている状態でスピードを維持できるひと、落ち幅を小さくできる人が、平均で速い、つまりトータルのタイムが速いということになります。
つまり、そこで大事なのは絶対的なスピードではなく、長時間なるべく落とさずに維持できるスピードなのです。
トレーニングも1カ月、数カ月頑張るのは簡単ですが、何年も継続していくのは簡単ではありません。そこで重要なのは最大で出せる強度ではなく、持続できる強度、どれだけ安定して持続できるか、落ち込まないかを表す指標です。
ランではVO2MAXより20分走やAT値速度の方が重要ですし、バイクでは計測しやすいFTPを採用していますが、実際にはもっと低い強度での安定的な持続力が大切です。スイムでも、50mや100mではなく、ある程度長い時間、たとえば20分の計測で得られる数値の方が、実戦により近いパフォーマンスを示します。
理想を言えば、ランやバイクの計測はより実戦に近い数時間の実走で定期的に行う方がいいのですが、現実には難しいので、バイクは1時間持続できるFTPを20分で計測し、ランはAT値での20分走で計測しました。これでも1年、2年と経過を観察していけば、パフォーマンスが伸びているかどうかをある程度知ることができます。
しかし、気をつけなければいけないのは、20分頑張れる練習だけしても数値は上がりますが、それはアイアンマンで最も必要なパフォーマンスではないということです。計測値を上げるために、もっと長いトレーニングの継続をおろそかにしていたら、アイアンマンで速くなることはできません。
科学的なトレーニングを重視するあまり、数値がすべてを示してくれると思ってしまいがちなアスリートをよく見かけますが、20分のFTP値測定で速さが決まるなら ショートの選手、スプリントの選手がアイアンマンで速いということになってしまいます。
経過を測る物差しがないと評価がしづらいので、ひとつの指標として採用しましたが、あまりに指標増えて、指標ばかりにこだわるのは本末転倒です。
実戦に近いトレーニングの効果
トレーニングでは数値的なデータ以上に、実戦に近い状態でどれだけトレーニングできたかが重要です。これは質や量だけでなく、さまざまな意味で言えることです。たとえば、メイクス代表の仲村周作さんはこの3年間でパフォーマンスが大きく向上していますが、実戦に通じるようなトレーニングをしてきたことが大きいと思います。
スイムはもっぱらアクアラブの流水プールでトレーニングしてきたとのことですが、流水プールで泳いできたので、波にあおられてもまっすぐ泳ぎ続ける能力が身につき、海ですごく速く泳ぐことができます。流水プールと普通のプールは、バイクで逆風の中を実走するのとローラー台でトレーニングするくらいの違いがあります。
仲村さんの場合、スイムやバイクでパーソナル指導を受けているのも、成長の大きな要因です。コーチの指導をリアルタイムで受けられるので、スキルの成長も速いですし、最適値で常に練習できるので、練習1回1回の中身が濃いというのもあります。
毎回限界を超えるとこまで追い込み、時間的にも強度的にもスキル的にもオールアウトまでいく。その効果が成果になって表れていると思います。
地味だけど不可欠な身体の基本的な機能
もうひとつ、地味だけど非常に大事なのは、身体が必要な動きをできるようになっているかです。KONAチャレではこうした身体の基本的な機能をR-bodyにお願いして測定し、課題解決のアドバイスを提供してもらいました。
トライアスリートにとってこの身体の機能は、たとえば俳優の基本的な発声や演技力のようなものです。こうした基礎がない役者にどれだけいい台本を与えても無駄なのと同じで、いくら体力的なパフォーマンスがあっても、身体がうまく動かなければそれを発揮できません。
持久力はただトレーニングをやっていればついてきますが、それを発揮できるかどうかは、身体が正しく動くかどうかが大きく影響します。たとえばスイムで腕を動かすたびに身体がねじれるとしたら、いくら体力をつけてもまともに泳ぐことはできないでしょう。
身体の動きが正しくできていないということは、ただ関節や筋肉が硬くて動かないといったことだけでなく、身体とその動きに対する認識もできてないということです。身体を正しく動かすには、自分を正確に見ることが必要ですから、R-bodyのような施設を活用して、第三者に見てもらいながら、改善していくのが手っ取り早いでしょう。何が必要でどうすればいいか教えてもらえるので、時間も節約できます。
独学で勉強して、知識をたくさん集めても、そこからどう取捨選択して、必要なものを自分に当てはめるかは自分で決めるしかありませんし、そうした自分に必要なことが何かは、ネットには出ていないのです。さらに、第三者に見てもらって、自分の現状がわかり、何をしたらいいかわかっても、それを改善に結びけるかは自分次第です。改善行動を自分が変わるまで継続しなければ意味がありません。
自分が変わったら、ただSOAP(※)の測定で数値が上がるだけでなく、スイムやランの動きに表れるはずでし、そこが変わっていないなら、改善できていないということです。
フィードバックでは細かい助言は極力しないようにしてきたましたが、それは本質的なことに自分で気づいて、変わるまで繰り返さないと意味ないからです。指標はあくまで変化の表れ方のひとつであって、大切なのはその人の本質が変わるかということです。
大きな流れで数値を見る
ここで2019年のアイアンマン台湾でKONAスロットを獲得した岡田健士朗さんを例に、数値データをどう見たらいいのかを考えてみましょう。
データ詳細はコチラから
各指標の数値は、上がったり下がったりはしていますが、改善のために何が必要か様々な気づきがあり、仕事も含めて生活環境を変えたことで、パフォーマンスが向上していることがグラフに表れています。
紆余曲折はあっても毎回の結果に一喜一憂せず、下がったら気づいて歯止めをかけ、落ち込みを抑えながら上げていく。上がらないからといってやめてしまってはいけません。
1年・2年の変化が大きく見て右肩上がりになっていればいいのです。毎回計測できているわけではありませんが、3カ年のチャートで見れば大きな傾向は見ることができます。
岡田さんの場合、SOAPでも、スイムでも、バイクでも、ある時点から上がっています。特にバイクはFTPが上がっているだけでなく、より低い心拍で同じパワーが出せるようになっていて、アイアンマンで重要な余裕度も上がっている。こうしたことから、KONAをとるべくしてとっていることがわかります。
無事是名馬 故障のリスクを回避する
他に注意すべきポイントとしては、故障のリスクをどう減らすか、回避するかということがあります。
今回のプロジェクト中にも、田所隆之さん、小濱靖典さん、須田光さん、小泉邦明さんなど、故障でトレーニングを中断せざるをえなくなったメンバーが何人もいました。トレーニングできなくなると、当然パフォーマンスは落ちます。長丁場でトレーニングを続けるには、故障しないことが重要です。
田所さんは、身体が硬いと動きに無理が生まれるということを痛感して、R-bodyの計測や指導を重視するようになったとのことですが、故障を回避するためにも先に紹介した身体の基本的な機能を整えることが大切です。
また、故障すると、そこをかばうことで他の場所に負担かかり、新たなひずみ、故障につながることもあります。そういう負の連鎖を防止する意味でも、R-bodyを活用して、身体の基本機能を整えることが、全体としてのパフォーマンス向上につながります。
変化を求めすぎることが意外な落とし穴になることも
KONAチャレメンバーはパフォーマンス向上に意欲的な人ばかりですから、みんな大なり小なり伸びていますが、ひとつ注意すべき点があります。
練習熱心で、様々な新しい練習方法を意欲的に取り入れていても、必ずしもKONAに近づくことにつながってということがありえるのです。
たとえば、牧野星さんは自宅にスマートローラー台だけでなく、トレッドミルも備えて、充実したトレーニングをしています。新しいメソッドを取り入れることにも意欲的で、常にトレーニングを進化させています。その結果、計測の数値は伸びていますが、「このままいけばKONAに確実に出られるようなアスリートになれる」というような段階には至っていないように思えます。
それはトレーニングに変化がある分、安定した継続的な取り組みが不足しているように見えるからです。たとえばバイクとランで、ある程度まとまった量を継続的にこなしてきたかどうかといったことです。
もちろん量だけが大事なわけではなく、スピードとのバランスが必要ですが、アイアンマンのパフォーマンスの土台・コアになる部分は、継続的に量をこなして構築しなければならないのです。練習に変化・進化があるのは大事ですが、ベースになる部分というのは、たとえばシンプルに週1回3時間バイクに乗り続けるなど、変えないで続けることによって構築できるものです。
比率で言えば、変化するのは3割で、7割は変えずに継続してベースの構築を行うというくらいのイメージです。この3年間で、そうしたことがどれだけできたかと考えることも必要ではないかと思います。
近々KONAに行けそうなメンバー
これまでお話ししてきたことから見て、3年間でKONAに行けなかったけれども、近々行けそうな人が何人かいます。
たとえば木家勝之さんは、去年コロナ禍で仕事と居住環境を変え、KONAに行く取り組みにライフワークとして取り組み出しました。元々ランにかなりのアドバンテージがあり、環境が整ったことでトレーニングは十分。フィードバックによると、数値的にも大きな流れとしては右肩上がりになっています。本番の経験が少ないので、何回かかかるかもしれませんが、遠からず行けるようになるはずです。
巽朱央さんもいい感じで推移していると思います。得意のランにくらべてスイム・バイクのパフォーマンス上がっていなかったのが課題でしたが、着実に向上しつつあります巽さんはマラソンで3時間20分を切るランナータイプのアスリートですが、アイアンマンでスイム・バイクの遅れをランで挽回できるようになるためには、ランがもっと圧倒的に速くないとアドバンテージになりません。
スイム・バイクのパフォーマンスがアイアンマンでKONAを狙う人たちの標準レベルまで上がれば、3種目のベースとなるバランスがとれた上で、ランの強みを活かせるようになり、KONAに近づけるでしょう。
誰も「KONAに行けない」と言えなくなった
3年のプロジェクトで、KONAに行く取り組みは長いスパンの勝負だということがはっきりわかりました。そしてもうひとつはっきりしたのは、特別な人がKONAに行けるのではなく、普通の人でもライフスタイルとしてしっかり時間をかけて取り組めばKONAに行けるということです。
元々KONAチャレは応募数約300人の中から、意欲と成長を重視してメンバーを選びました。能力的に見て簡単に行けそうな人、それまでの取り組みを続けるだけで行ける人はあえて選びませんでした。
つまりメンバーはレギュラーもフレンドも、意欲はあるけれども、自分を変えていかないとKONAに行けない人たちでした。逆に言えば、誰も行けない可能性もあったわけです。そこからスタートして、KONAに行けたのは、自分を変えた人たちです。
3年目の昨年が、クオリファイレースにチャレンジできなかったのは残念ですが、プロジェクトの1・2年目で4人、KONA出場権を実力で獲得できたのは大きな成果だと思います。
さらに言えば、KONAチャレに参加できなくても、プロジェクトで明らかになったようなことから学び、自分を変え、ライフスタイルとして取り組んだアスリートはKONAに近づくことができたでしょうし、そうした人から実際にKONA出場者が出ているかもしれません。それは私たちには見えませんが、もしそうだとしたら、このプロジェクトの意義はさらに大きいものになるでしょう。
KONA出場権獲得メンバーの総評byTK
必要な行動がライフスタイルになっている
皆川亜紀子さん
2018年アイアンマン・ケアンズで出場権獲得
皆川さん関連記事>>>
「最初にKONAを獲得したのはポジティブな行動力と知的探求心をあわせもつ女性だった」
「世界最高峰の舞台は、ただのご褒美じゃなかった」
皆川さんはプロジェクトがスタートしてすぐの2018年6月、アイアンマン・ケアンズでKONA出場権を獲得しました。皆川さんの強みは、アイアンマンに必要なことをひたすら繰り返せることです。取り組みが特別なことではなく、ライフスタイル、生活の一部になっている。
元々特に運動のバックグラウンドはなく、子育てしながらジョギングを始め、距離を伸ばしてフルマラソン、ウルトラマラソンまで完走し、トライアスロンを始めたとのこと。スピードが不足していましたが、築くのに時間がかかる持久力の土台はすでにできていたので、足りなかったところ埋めたら、行けるようになったということだと思います。
生活環境からトレーニングまで変えて潜在能力が開花
岡田健士朗さん
2019年アイアンマン台湾で出場権獲得
岡田健士朗さん関連記事>>>
「プロジェクト2年目でKONA出場権獲得。ただ出るだけでなく、成績にもこだわりたい」
「泳ぎ改善でKONAスロットゲット!【KONAチャレ】卒業生のスイムBefore→After」
元々長いトレイルランニングなどで鍛えた持久力があり、潜在能力はある人でした。KONAチャレ1年目は仕事が過酷で練習ができなかったようですか、2年目に仕事や居住環境を大きく変えて、思うような練習ができるようになったとのこと。自分のパフォーマンスとトレーニングについて、自分自身で考えて改善し、その結果、パフォーマンスが長いスパンで右肩上がりになり、この年のアイアンマン台湾で出場権を獲得。
このレースは競争率がそれほどでもなく、運に恵まれた部分もありますが、それでもパフォーマンスがしかるべきレベルに達しているからとれたわけで、そこはきちんと評価すべきだと思います。コロナ禍でKONA出場は待機中ですが、彼の姿勢から見て、KONAに一度出て終わりではなく、「もう一回行こう」と思うのではないかと思います。課題はスイム・バイクをさらにどこまで上げられるかですが、次があると期待させる選手です。
トレーニングを細かく生活の中に落とし込んで成功
東度久美さん
2019年アイアンマン台湾で出場権獲得
東度さん関連記事>>>
「何かを犠牲にするのではなく、自分で決めたことのために、最善を尽くす」
「KONAget!『新たな1年の始まり、夢の舞台で力を発揮するために自分を再構築する』」
東度さんは仕事をしながら育児と家事をこなすママさんアスリートで、ダイナミックに変化できない中、トレーニングを短く刻んで生活の中に落とし込んでやっていました。長いトレーニングができないので、牧野星さんに近い取り組みになっていると見ることもできますが、忙しい生活の中で臨機応変に対応して、短いトレーニングを継続することで、生活基盤からうまく枝葉を伸ばせたという印象です。
ただし、パフォーマンスのベースを大きく上げたわけではありませんから、もう一度KONAに行くなら基礎から再構築する必要があると思います。 細かな変化をつけたり、臨機応変に対応できるのはいいのですが、安定的に量をこなして確固たるベースの部分を構築したい。 アイアンマンの常連は、普通の人があきれるようなことを平気で当たり前に続ける、いわば変態・変人です。アイアンマンに必要な土台はそういう継続によって築くことができるものだと思います。
ショートのスピードにフィジカルの強さと持久力を加えて課題克服
孫崎虹奈さん
2019年アイアンマン台湾で出場権獲得
孫崎さん関連記事>>>
「KONA出場権を獲得したメンバー4人の今」
「トレーニングパートナーLuminaの“まごちゃん”初フルアイアンマンで、女子チャンピオン=KONAゲット!」
★孫崎さんトレーニングブログ
大学までショートの選手として活躍していたので、元々スピードはあり、課題は長時間動き続けられる身体づくりと持続力を伸ばすことでした。それらを身につけるために生活習慣を改め、KONAをゲット。フルマラソンを走ってないでアイアンマンで速くなったわけですから、元々あったショートのスピードで、うまくアイアンマンにアダプトできたということだと思います。
ただし、今後いつでもKONAに行けるアスリートになるには、今の状態からさらに全体を底上げしていく必要があります。そのためには、練習のボリュームアップが重要になるでしょう。
何が起きるかわからないという教訓
小泉邦明さん
2019年アイアンマン求礼(韓国)で出場権獲得
小泉さん関連記事>>>
「最高の60代を迎えるために挑むKONA。同時に新しい人生もスタートさせたい」
「食のマネジメントを学ぶ《セミパーソナルセミナー》トライアスリート的食診断」
小泉さんは台風で中止になったアイアンマン求礼のKONA出場枠が抽選になって当選。パフォーマンスによる獲得ではありませんが、そこから学べることがあります。 それはレースにエントリーして出なければ当たらなかったということ。どれだけ可能性が低くても、エントリーすればKONAに行ける確率はゼロではない。小泉さんはケガをして思うようなトレーニングができず、レースが中止になっていなければ、KONAに行ける確率は相当低かったのですが、それでも何が起きるかわからない。
コロナ禍でアイアンマンがほとんど中止になったり、VRのアイアンマンレースが開催たれたりといったことを、誰が予想できたでしょうか? 現にアイアンマン70.3ではワールドチャンピオンシップの出場権がVRのレースに割り当てられましたし、今後フルのアイアンマンでもそうしたことが起きないとはかぎりません。そうした意味で、たとえ抽選であってもKONAに行けるというのは立派な結果だと思います。
(※)①主観的評価、目標の確認 (Subjective) ②客観的な評価 (Objective) ③客観的な評価から目標とのギャップの抽出 (Assessment)④具体的な解決策の提案(Plan of Action)の頭文字。R-bodyで基本的に行っているトレーイングの進め方の方法。
◎「KONA Challenge supported by MAKES」オフィシャルHP
オフィシャルページでは、メンバーのトレーニング状況やピックアップコンテンツなどを随時更新しています。
【サポート施設】
AQUALAB
流水プールを使ってインストラクターによるフォームの分析、プルブイを使用して20分測定を行う。
※メンバーの孫崎が実際に測定している様子はこちらから。
RUNNING SCIENCE LAB
心肺能力(VO2MAX)、AT値、AT水準、AT値でのフルマラソン適正ペース、ランニングフォーム評価、AT値での20分走タイムを測定。
R-body Project
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)で体のコンディションを骨格のゆがみや関節の可動域などのポイントからチェックし、評価。
Endurelife
AT値で20分間バイクをこいだときの平均パワー/心拍数(PWR/HRT—AT値)、FTP(機能的作業閾値パワー/PWR/HRT—AT値20分の95%)、フォーム、ペダリングについてチェック&アドバイス。