11月3日(日)に行われた7回目のKONAチャレメンバーのフィードバックミーティングの続きから。
<<<前記事を読む②「振り向くな! 前を追い続けることがKONAへつながる道になる」岡田さん
東度久美さん
経験・冷静な判断・対策を積み重ね
IM台湾でKONAスロット獲得
東度さんは仕事・家事・子育ての合間にトレーニングを続けながら、着実にパフォーマンスを上げてきた。今年は初の海外レースとなる9月末のIM台湾でKONAを狙うため、5月にスペインのITUロングディスタンス世界選手権に出場。海外遠征の経験を積むと同時に、IM台湾の目標タイム設定を行った。すべてに用意周到な準備、結果の冷静な判断、それを踏まえての対策を積み重ねた結果、台湾で目標を達成することができた。
【自己評価】
KONAチャレがスタートしてから、1年間の過ごし方やレースでの経験など、あらゆる場面で小さな選択を積み重ね、それがうまくいって、成長できたことを感じている。IM台湾の目標タイムは、スペインの世界選手権の後に下方修正したが、結果はそれよりもさら10分遅かった。KONAスロットをとれたのはラッキーだった。
<振り返り>
スイムは世界選手権の後、スキルアップと負荷をかけたトレーニングが必要と感じたので、それまで週2回のスクールと1回の自主トレだったスイムトレーニングのうち、自主トレをハードなスクールに変更。これで自信がついた。
本番では現地説明会でノンウエットのレースであることが分かったが、ある程度想定していたので、スイムスキンを準備していた。腕を回しやすく、浮きやすいので、トレーニングに近い感覚で泳ぐことができた。結果は1時間13分で、修正した目標に近いタイムで上がることができた。
3.8㎞をノンウエットで泳ぐのは初めてだったので、ストロークが2500と極端に増え、バイクに移ったときは腕と肩が痛くて、腕を振りながらスタート。
バイクは、3周回のうち1周目は様子見、2〜3周目からが勝負と考えていた。風はあったが、ひたすら身体を小さくして我慢。ギヤは軽めにしてクルクル回し、追い風・下りでも楽に加速することを心がけた。結果はアベレージ28.5㎞/h、6時間11分。下方修正した目標はクリアした。きつかったが、ペース配分が分かってきたからか、初めて180㎞を長いと感じなかった。終わってみたらパワーが72%、心拍142〜147。ロングとしては妥当な強度をキープできた。
ランは目標の3時間52分は切れると思っていたが、結果は4時間を切ることができず、4時間06分。平均ペース5分51秒/㎞。レースを通じての落ち幅は1分くらい。
トレーニングでペースダウンしない力をつけることを意識してきたが、レースでは動作のスキルが落ち、ベースのペースも落ちてしまう。これが今後の課題。
<ロードマップ>
<目標クリアのための課題・取り組み>
来シーズンは6月にIMケアンズに出て、課題のクリア度合いをチェックし、KONAに向けて仕上げをしたい。
バイクは昨年から期分けトレーニングを行い、計画的に量を積み上げながら、強度の高い練習もしてきた。長い時間を確保できないので、実走のロングライドができない分、ローラー台でハードな練習を2日続けて行うといった工夫をして、時間耐性はついてきた。
これからKONAに向けて、2〜3カ月さらに思い切ったハードなトレーニングの時期を設けるなどして、FTPを上げていきたい。今回、パワーのかけ方のデータから、力をかけるタイミングが遅いというペダリングの改善点がはっきりしたので、データをとりながらスキルを改善していきたい。ランは、IM台湾のダイジェストムービーに映っていた自分のランを見て、ひどいフォームに愕然としたので、今後フォームを改善していくことが課題。
【TKのアドバイス】
今もっている能力を
パッケージとして出せた良いレース
TK■日々の積み重ねてつけた能力を、パッケージとして出せた良いレースだったと思います。レースで分かるのは、それまでの1年間をどう過ごしたかです。日々の選択がうまくいって、KONAスロットがとれたことで、その1年が成功の1年だった分かったわけです。
しかし、成功でも失敗でも、1年はこれで終わり、また新しい1年が始まります。これまでの1年はKONAに出る権利をとるための1年でした。これからの1年はKONAを走るための1年です。
KONAで力を発揮するため新しい自分を作っていく
TK■大切なのは次のイメージを作り、自分を変えていくこと。東度さんの場合、ランのフォームやバイクのスキルに問題があると分かったわけですが、これは小手先では変わらないと思います。バイクとランを思い切って変えていく必要がある。
KONAで恥ずかしくない走りをするために、自分の中にある原因を日々探り、どう変えるか考え、いろいろな動きを試し、人に見てもらいながら、その中から見込みのあるものをピックアップする。動きが決まったら、練習の中で繰り返していく。これも期分けして、仮説・実行・検証のサイクルを回していった方がいいでしょう。
KONAに必要な耐性をつける
TK■東度さんの場合、アイアンマンに必要な時間耐性はすでに備わっていますから、さらに長時間の耐性をつけるのではなく、時間を短くする努力が必要です。風耐性もクリアしていると思います。風というのはただ吹いているだけですから、そこに感情を込めるのではなく、ペダリングやフォームに気を配るべきで、東度さんはIM台湾でこれができています。
ひとつ新たに必要なのはランで暗い中を走る耐性です。KONAは朝7時半からウエーブスタートですから、東度さんは7時40分くらいのスタートになるでしょう。そこからたとえば11時間20分かかるとすると、午後7時くらいのゴールになります。このくらいの時間帯のランコースは真っ暗で路面すら見えず、人も見えません。
ひたすら頑張っても、「世界には自分より速い人たちがいる」という事実を突きつけられるだけです。そういう状況でも心が折れないで、レースを楽しむことができる耐性が必要になります。これは練習で身につけられるものではありませんが、そういうことが起きることを知っておき、イメージするだけでも違うと思います。
▶はじめから読む>>>①「バイクレースでもマラソン大会でもない《つなぐ》ことの重要性」IM台湾女子優勝の孫崎さん
②「振り向くな! 前を追い続けることがKONAへつながる道になる」岡田さん
【Column】
アイアンマンレースでスロットをゲットしなくても
KONAのスタートラインに立てる!?
KONAへ出場するために、世界中のアスリートが世界各地のアイアンマンレースに出場し、各年代に与えられたスロットを目指して戦い抜く……というのが定石だが、実は他にもKONAのスタートラインに立つ方法がいくつかある。そのひとつにロタリー(抽選)があり、今回KONAチャレメンバーの小泉邦明さんはこのロタリープログラムのひとつでKONA出場が決まった。
代表的な「Lottery Programs(ロタリープログラム)」は、すべてのトライアスリートにKONAでレースをする機会を与えるために、1983年に開始され、毎年7000人以上が申し込んでいる。
また、もうひとつの「Legacy Programs(レガシープログラム)」は、今までに最低フルのアイアンマンを12回完走していることと、チャンピオンシップまでの2年間で少なくともアイアンマンを2レース完走していること(2020年のKONAならば、2018年、2019年にそれぞれ1レース完走している必要がある)が条件となる。毎年100人が選ばれ、例年11月上旬にエントリー受け付けが始まる。
小泉さんの場合は、少し特殊でアイアンマン求礼(韓国)のレースが台風のため中止となり、エントリーしていたアスリートに、他のアイアンマンレースに振り替え出場や、2020年のレースにディスカウント価格で出場できる、などの他、(今回IM韓国に割り当てられていた)2020年のKONAスロットが抽選で付与されるという案内があったそうだ。
※参考記事:https://www.active.com/triathlon/articles/how-to-qualify-for-the-kona-ironman-world-championship
スロットゲットについて語る岡田“ケンケン”健士朗さんのインタビュー記事はこちら>>>KONAチャレ公式ページ
>>>KONAチャレ過去掲載記事を読む</spanが
◎「KONA Challenge supported by MAKES」オフィシャルHP
オフィシャルページでは、メンバーのトレーニング状況やピックアップコンテンツなどを随時更新しています。
【サポート施設】
AQUALAB
流水プールを使ってインストラクターによるフォームの分析、プルブイを使用して20分測定を行う。
※メンバーの孫崎が実際に測定している様子はこちらから。
SPORTS SCIENCE LAB
心肺能力(VO2MAX)、AT値、AT値でのフルマラソン適正ペース、ランニングフォーム評価、AT値での20分走タイムを測定。
R-body Project
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)で体のコンディションを骨格のゆがみや関節の可動域などのポイントからチェックし、評価。
Endurelife
AT値で20分間バイクをこいだときの平均パワー/心拍数(PWR/HRT—AT値)、FTP(機能的作業閾値パワー/PWR/HRT—AT値20分の95%)、フォーム、ペダリングについてのチェック&アドバイス。