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泳ぎを可視化する最新デバイスを細川大輔×TKが試用レビュー

投稿日:2026年2月2日 更新日:


ルミナ編集部

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話題のeo SwimBETTERをTKこと竹谷賢二さん(左)と、100m&200m自由形の元日本記録保持者で現在は指導者として活躍する細川大輔さん(右)が実際試してチェック。活用メリットを語ってくれた

トライアスリートにこそ効く
最新ストローク解析デバイス

両手に着けて泳ぐことでストロークをデータ解析して、スマホやPCアプリですぐにチェックできる、オーストラリア発の最新ウェアラブルデバイス「eo SwimBETTER」。

トップスイマーのパフォーマンス強化で大きな成果を上げて注目を集めているこの機器は、競泳経験がなく、大人になってから泳ぎ始めたトライアスリートに、どんなメリットをもたらしてくれるのか?

MTB競技のオリンピアンにしてIRONMAN世界選手権11回完走のトライアスリートでもあるTK竹谷賢二さんと、元トップスイマーで現在はトライアスリートの指導も手がける細川大輔さんが、この最新デバイスを実際に使用して、ユーザー(トライアスリート)、指導者、それぞれの目線で、その可能性を語ってくれた。

取材=田坂友暁
撮影=小野口健太、武智佑真

eo SwimBETTER
〈イオ・スイムベター〉
泳ぎを正確に数値化するウェアラブルデバイスとして注目を集めているスイム強化の最新アイテム。両手に30ℊほどのハンドセットを着けて泳いでデータをとることで、ストロークの左右差や推進効率、推進力を奪っているポイント、疲労に伴ってストロークがどのように変化するかまでを正確に可視化できる。

2025年9月には、生成AIがスイムデータを読み解きレポートを作成する新機能「eo intelligence(イオ・インテリジェンス)」も実装している。

▶ eo SwimBETTER公式サイト

▶TK×細川大輔さん試用レビュー動画

測定したデータはアプリ上で7種類のチャートで表示。ストロークの左右パワーバランスや手の向きの傾向、推進効率、ストロークの軌道などが可視化される

世界のトップスイマーが
いち早く導入した最先端デバイス

スポーツは、感覚に頼りやすい。しかし、感覚ほど不確かなものはない。バイクやランでは様々なデバイスが活用されており、心拍数やケイデンス、距離、パワーなど様々なデータが手軽にモニタリングできる。

スイムはどうだろうか。デバイスでできることは心拍数を測るくらいのもので、1ストロークごとの軌道やパワー、その方向性などはすべて「感覚」に頼るほかなかった。

それを詳細に解析できるデバイスとして注目を集めているのが、eo SwimBETTERだ。

「科学の力でスポーツを進化させる」というコンセプトを掲げ、科学的なアプローチによるパフォーマンス向上やリハビリ促進を目的として立ち上がったオーストラリアのテクノロジー・ブランド「eo」が、そのコンセプトをカタチにした最初の製品で、

オーストラリアでは、競泳の五輪金メダリストであるカイル・チャルマース選手を始め、多くの五輪選手たちがこのデバイスを活用し、自分の泳ぎを解析し、ストロークパフォーマンスの向上に努めているという。

競泳界ではカイル・チャルマース選手(写真)をはじめ、多くのトップスイマーがeo SwimBETTERをいち早く取り入れ、成果を上げている ©eo

また、パリ五輪の100m自由形でアジア人としてはこの種目92年ぶりとなる金メダリストに輝いた中国の藩展楽(ハン・テンラク)選手もeo SwimBETTERを使ってストロークの改善に取り組み、世界新記録樹立につなげた。

このデバイス最大のポイントは、手の平部分に内蔵されたふたつの圧力センサーとジャイロスコープである。

圧力センサーによって水を押す力がどのくらいなのかが正確に測定され、さらにジャイロスコープによってその力の向きが分かるという。

水をかいているときに、手の平がどこを向いているか? それによってストロークで生み出されるパワーはどのくらいになっているのか?

それが、すべてこのeo SwimBETTERによって、数値化されるのだ。

着用時、手のひらの中央にあたる部分と、外側の部分(=写真)に圧力センサーが設えられている

これまで指導者から「手の平を後ろに向けてください」とか「真っすぐかいてください」と言われても、自分の感覚でしか正誤を判断できず、「言われたとおりのストロークが本当にできていないのか?」「直しているつもりだけど、これじゃ不十分なのか?」モヤモヤを抱えつつ、泳いでいる人も少なくないのではないだろうか?

ずっとそんなモヤモヤを抱えてきたトライアスリートが、知りたいスイムのストロークにおける謎のすべてを、このデバイスが丸裸にしてくれるのである。

測定したデータをスマホやPCのアプリで、すぐにチェックできるのもeo SwimBETTERが使いやすく、実用的な理由のひとつ ©eo

感覚頼みじゃない
データに基づくスイム強化へ

今回、そのデバイスを実際に活用してみたのが細川大輔さんと竹谷賢二さんのふたり。細川さんはスイム指導者として、竹谷さんは大人になってからスイムに本格的に取り組み始めたトライアスリートとして、このeo SwimBETTERに大きな期待を寄せる。

「ストロークの軌道、強さが数字として出るので、正確に説明できる点が良いですよね。たとえばストロークの軌道。選手自身は『真っすぐかいている』と思っていても、指導者から見るとそうじゃないときがあります。主観と客観のズレを言葉だけではなく、データで見せることで『あ、本当に真っすぐじゃないんだ。こんなにズレてる・・・』と選手自身にハッキリと理解してもらえます。そういう意味では、コミュニケーション(指導)の質を上げるのにも役立つと思っています」(細川さん)

スイマーの指導はもちろん、Luminaとコラボ開催のスイムセッションなどでトライアスリートの指導も手がけている細川さん。eo SwimBETTER が指導の質を高めるツールになると期待を寄せる

泳ぎのスキルは改善できてる?
指標があれば進捗も明確に

また、ストローク効率についても分かりやすくなると話す。
「今まではストロークで進んでいるかどうかは、ストローク数とタイムで測るしかありませんでした。eo SwimBETTERがあれば、スピードだけではなく『進みたい方向に効率良く水を押せているかどうか』もデータとして見ることができます。本当の意味でのストローク効率が高いか、それともムダな動きが出てしまっているのかが分かるようになるのです」(細川さん)

こうして計測したデータを持って、ドリルワークなどで泳ぎを修正していく。それだけでも十分に価値はありそうだが、特筆すべき点は、客観的なデータがとれることで、自分の現在地(基準値)が把握でき、「トレーニングの進捗を追う指標」ができることだ。

たとえば、ストロークの軌道を修正するためにドリルワークをしていても、それが本当に真っすぐになっているのか、修正できているのかどうかが、外から見てもらわないと分からないのが、スイムの上達を難しくしている大きな要因でもあった。

それをeo SwimBETTERが客観的なデータで明示してくれる。定期的にデータを取れば、自分がやっていることが正しい方向に向かっているのかどうかが明確になる。つまり、成長曲線を把握する具体的な指標ができるのである。

「前回から泳ぎがどう変わったのかがデータで分かる。指導者の目や自分の感覚といった曖昧なものではなく、数字というハッキリとした指標ができるので、効率良く、トレーニングの質の向上が期待できます」(細川さん)

アプリでは1ラップごと、1ストロークごとの変化まで深掘りして分析できる

専門分野のバイクはもちろん、ランでも各種ウェアラブルデバイスなどから得られる客観的なデータをフル活用して、トライアスリートとしても世界選手権の表彰台レベルまでレベルアップしてきた竹谷さん(以下 TK)も、まさにその点がeo SwimBETTERに期待する点だと話す。

「スイムは感覚のスポーツと言われるように、コーチからは『これをやってください』と言われて取り組んでも、本当に合っているのか、できているのかどうかが自分では分からないんですよ。それが客観的なデータで追えるようになれば、感覚だけではなく、修正ポイントや成長が数値として表れるので分かりやすくて良いですよね」(TK)

国内展開以前からeo SwimBETTERが気になっていたというTK。トライアスリート目線でウエットスーツあり・なし両パターンでの測定を実践してくれた

TKがeo SwimBETTER測定を体験
細川さんからのアドバイスは?

今回はTKにeo SwimBETTERを着用し、アイアンマンのレースペースで400m泳いでもらい、データを収集。その直後に、細川さんにデータに基づくアドバイスを受けてもらった。

両手にセンサーを着けて泳ぐ、eo SwimBETTER。実際、着けて泳いだ感覚は「特に違和感はない」とTK。細川さんにはTKの泳ぎを上から見てもらい、指導者の目で分析。eo SwimBETTERが導き出すTKの泳ぎと、細川さんの目が見たTKの泳ぎに違いはあるかもチェックしてみた。

分析を進めてみると、細川さんが見て感じた点と、eo SwimBETTERがはじき出した数値がほぼ一致していることが分かってきた。

「まず、僕が竹谷さんの泳ぎを見ていて感じたのは、『左手が少し外に流れるな』ということ。全体的にはバランス良く泳げているのですが、入水してから一度外に手を動かしてからキャッチをしている。この部分が少しムダな動きに感じていました。

反対に右手のほうはキャッチがスムーズで、しっかり水を捉えて進んでいるように見えました。見た目からは、まずは左手のストロークの軌道修正をしていくのが良いと思いました」(細川さん)

eo SwimBETTERも、同じことをデータで表していた。左手のほうが右手に比べて、外側に力がかかっていると示したのだ。そして、同時に左手よりも右手のストロークのほうが若干パワーがあり、高い推進力を得ていることも分かった。

横・上・正面それぞれから見たストローク軌道を表示するチャート画面。TKの場合、全体的に整っているものの、左手のストローク(オレンジ色)に比較的ムダな動きが見られ、外に流れている傾向も

「自分の感覚としては、左手のほうが『シャッ!』と水を切るような感覚で、力感がない感じでした。それに対して右手では水が重たく感じられて、『一所懸命頑張っている』という感じがありました。

データを見る限り、左手が水を軽く感じるのは実際に水を捉えられず、力が逃げている証拠で、右はしっかり水を捉えているということですね」(TK)

感覚とデータ、そして細川さんが見たTKの課題が見事に一致していたのである。

呼吸と連動した手のブレも
データで明示されている

細川さんは、さらにeo SwimBETTERのデータを基に分析を進める。

「左手の軌道が、入水してから一度内側に入っています。これは左呼吸をする竹谷さんが、呼吸後に顔を戻す動作と連動して左手が内側に過剰に入ってしまっていることを示しています。だから、入水後に一度外側に手を動かす、という動作が入ってしまうのでしょう」(細川さん)

この左手の内・外という動作によって、テンポが上がりにくくなっていると分析する。

「また、左手単体の力の配分を見ると、水を下に押さえつける力が出ていました。これは呼吸動作や身体のバランスを取るために自然と行っている動きだと思います。

一見、この下方向への動きはムダに思えますが、完全になくせば推進力が上がるか、というと、実はそうではありません。スイムは、水中で身体を安定して浮かせるためには、ある程度下方向に力をかける必要があります。一概に下方向がダメ、というわけではないのです。

ただし、それは短距離を泳ぐ場合の話です。長距離を泳ぐときは、ストロークで浮力を得るのではなく、体幹やキックを使って身体を浮かせ、ストロークは推進力の効率を高めたほうが良い」(細川さん)

泳ぎの推進力を前後上下左右の6方向で数値化し、力の配分を把握できるフォースフィールドの画面(写真は左ストロークのみにソートした画面)。下方向へかかる配分が右ストロークのそれより大きめだった

推進効率10%UPを狙って
TKがとるべき改善方針とは?

さらに、推進効率を示すデータ項目を見ると、TKの場合、現状では純粋に前へ進むための効率が40%程度になっていた。

「eo SwimBETTERで推奨されている理想的な推進効率は70〜75%ですが、まずは50%程度にまで引き上げられると良いですね。竹谷さんの場合は左手のストロークを、もう少し右手のストロークに近づけると良くなると思います」(細川さん)

また、ストロークの軌道を表すデータからは、全体的に軌道が安定していないことが分かった。つまり、ストロークの再現性が低い、ということである。安定したペースを刻むには、バイクやランと同じように、安定したフォームと一定のリズムが必要だ。TKの場合、それがスイムではできていないことをeo SwimBETTERのデータがあぶり出した。

これらの分析データを基に、TKが取り組むべき方向性を細川さんが示してくれた。

「まずは、長距離を泳ぐトライアスロンのスイムで大切な泳ぎの効率とピッチを上げるために、左手の修正を行っていきましょう。ポイントとしては、下方向に水を押してしまう力を減らし、ストロークの軌道を真っすぐ後方に向けて水を押せるように修正していくことです」(細川さん)

そのためには、遠回りのように思えるかもしれないが、『浮く練習』がお勧めだと言う。

「身体のバランス能力を高めて、腕や脚の動きがなくても、安定して浮くことができるようになれば、ストロークは純粋な推進力を作るだけで良くなります。基本的な『浮く』技術を見直すだけで、実はストロークの質や軌道は向上していくのです」(細川さん)

トライアスリートが
泳ぎの理解度を高めるのに最適

eo SwimBETTERを体験してみて、TKは「感覚頼りだったスイムがより客観的に評価できるようになり、誰でも修正点が分かりやすくなるんじゃないか」と話す。

「スイムは感覚が大事だということは理解しています。でも、今まではその感覚の正誤を判断するよりどころがありませんでした。このeo SwimBETTERは泳いだ結果がそのまま事実として数値化されるので、イメージや感覚といった主観的なものではなく、明確に事実が事実として表れます。

ストロークの左右差、ウエットスーツ着用の有無の違いなど、具体的に数字で見ることができるので、とても分かりやすいですよね。

感覚とずれているところもあったし、感覚通りのところもあった。データと感覚を照らし合わせることで、自分の泳ぎに対するクオリティや解像度がすごく高まって、泳ぎへの理解度が格段に向上したと感じています」(TK)

一度のデータ解析だけじゃ、もったいない

eo SwimBETTERは、自分の泳ぎに対する理解度を上げるという意味では、一度のデータ収集でも十分に効果を発揮する。だが、本当にお勧めしたいのは、定期的な計測だ。

「プールではフォームが良くなったとか、タイムが速くなったと感じても、毎日泳げるわけではありませんから、その『感覚』はすぐに消えてしまって定着しにくいのが現状です。

しかし、良い泳ぎが数値で記録されていれば、もし調子を落としたりその『感覚』を忘れてしまったりしても、良い泳ぎの数値に戻せば良いわけです。いつでも良い泳ぎに立ち返ることができるのは、数値化することの大きな利点だと思います」(TK)

大切なのは、主観、客観、そして数字。この三方向から分析し、取り組むべき方向性を決めていくこと。選手自身の泳ぎの感覚、指導者の目、そしてeo SwimBETTERがはじき出す事実。この3つが合わさってはじめて、誰もが納得する形で明確なトレーニングの方向性が示されるのである。

TKも「自分ひとりで数値を見るだけでは、理解はできても修正すべきポイントがなかなかわからない。まずは細川さんのような指導者と一緒にeo SwimBETTERでとったデータを分析して、アドバイスを受けることをお勧めしたい」と話す。

eo SwimBETTERでは、その点を踏まえてAIによるデータ分析のサポートサービスも開始。知識がなければ分析できなかった数値を、初心者であっても分かりやすく説明してくれるようになった。

これは指導者にとっても、選手に分析結果を分かりやすく説明するための補助として使えるので、どんどん活用していきたいところだ。

通称「eoi(イオ・アイ)」と呼ばれるAI分析機能ではワンクリックでレポートが作成され、選択したスイムの要約や改善点から、その優先順位、トレーニングドリル案まで提示される(写真は数ページあるリポートの冒頭)

今まで感覚に頼るばかりのスイムのトレーニングを、劇的に変えてくれるゲームチェンジャー。そんな大きな可能性を秘めたデバイスがeo SwimBETTERなのである。

最先端デバイスeo SwimBETTERで泳ぎ解析!
by Bonbell.〈3/★開催〉

今回のTKのようにeo SwimBETTERでの測定で得られたデータをもとに、細川大輔さんがあなたの泳ぎの全体像を解説。レベルUPのためのヒントをアドバイスしてくれるスペシャル・イベント、開催決定。

客観的なデータで自分の泳ぎの現状(基準値)を把握して、今後の取り組みの進捗を追う指標が得られるから、大人になって本格的にスイムに取り組んだトライアスリートにこそオススメ!

■開催日 3月★日(★)00:00~
■開催場所 日本大学豊山高校(東京・護国寺)

▶詳細・エントリーはコチラ
※イベントエントリー画面へのリンクを貼ります

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