COLUMN From Readers

London Calling:ビジネスマンアスリートのトライアスロンライフ #01

投稿日:


ルミナ編集部

text by:

ロンドンの仲間と出たサイクリング大会gran fondo

>>From Readers

ロンドン在住、トライアスロン歴3年目の尾関孝洋さん。トライアスロンとの出会いが人生を大きく動かしたという彼のリアルな日常を、これから少しずつ紹介してもらいます。

ルーシー・チャールズ・バークレーとスイム練習? T100で世界選手権出場? スーツ姿にIRONMANバッグが名刺代わり? トライアスリートなら気になるエピソードが満載。今回はその第一歩として、尾関さんの普段の暮らしぶりをお届け。今後は、ロンドンでトライアスロンとともに生きるライフスタイルを、さらに深掘りしていきます。

今シーズン挑戦したアイアンマン・ポルトガル

生き方を変えたトライアスロン

パリからロンドンへ。外資系投資銀行でマーケット業務に携わる私は、毎朝4時半に目を覚ます。まだ外は真っ暗だが、白湯を飲みながら、東京チームから届くメールを確認する。

胃腸が弱いので(笑)、まずは身体を優しく起こすことがルーティーン。海外で働いていると、日本はすでに午前中の真っ只中。時間差を味方につけて1日をスタートする。

朝のトレーニングは、私にとって1日の“主軸”。

オフシーズンには、世界女王ルーシー・チャールズ・バークレーが通う朝スイムに参加することもあれば、インドアバイクで高強度インターバルをこなす日もある。キツいメニューこそ朝にやる。

理由はシンプルで、夜は会食や疲労など「言い訳」が増えるからだ。朝に心拍を上げておくと、その日1日が不思議と冴える。

ルーシーとの朝スイム。「NUEL Masters」という団体。トライアスリートではなくスイマーがほとんどなので、私が1番遅いです(笑) ロンドンのオリンピックスタジアムで練習しています(尾関さん)

トレーニング中はいつも金融やニュースのポッドキャストを流す。もちろん、インターバル中は頭に入っていない(笑)。

でも、不思議とアイデアが湧いてくる。「あの案件はこう返そう」とか、「明日のプレゼンはこの切り口だな」と。トライアスロンは“身体の訓練”であると同時に、“思考の整理”の時間でもある。

キャメロン・ブラウンとのオフトレ。我々の業界では転職時にガーデンリーブといって3カ月〜半年くらい有給があります。その期間にニュージーランドへ行き、キャメロンと一緒にトレーニングしました(尾関さん)

社交はパブではなく、ランで

ロンドンで働いていると、仕事終わりに「一杯行こう」が日常だ。だが私は、代わりにこう提案する。「一緒にランに行かない?」

最初は驚かれるが、走りながら話すと、なぜか人は素直になる。お互いの価値観や本音が自然と出る。飲みの席では見えない“その人らしさ”が、ランの中では見えてくるのだ。

だから、私にとって運動は“社交の手段”。気づけば、ロンドンの友人の多くはランナーかサイクリストになっていた。

夏のヨーロッパは日没が遅く、21時過ぎまで明るい。仕事終わりにBox Hillまでライドに出かけ、丘の上で夕陽を見ながら仲間と語る時間は、どんな高級レストランよりも贅沢だと思う。

名刺代わりの「IRONMAN」バッグは通勤用の自転車のカゴに入れて。ロンドンと言えば、のテムズ川で一休みも

「アイアンマンバッグ」がくれたもうひとつの名刺

外資金融の世界では、自分をどうブランディングするかが大切だ。私はスーツにアイアンマンのバックパックを合わせて通勤している。

最初はただの便利バッグだったが、ある日、エレベーターで上司に声をかけられた。「君もアイアンマンやってるのか?」そこから仕事の話が弾み、海外案件にも繋がった。

以来、このバッグは“もうひとつの名刺”になっている。

日本の「誠実さ」というブランドに加えて、「アイアンマンを完走するストイックさ」も、海外ではひとつの信頼になる。努力を惜しまない人間は、どんな国でも評価される。そう気づかせてくれたのが、この競技だ。

ロンドンT100でエイジ7位となり、12月の世界選手権(カタール)出場予定

トライアスロンがくれたもの

パリで競技を始め、今はロンドンで3年目。最初は“仕事のストレス解消”だった。でも、いつの間にか生活の中心になり、仕事にも人生にも良い循環を生み出してくれている。

トライアスロンは時間も体力も使う。だが、同時に“限られた時間で何を優先するか”を教えてくれる。朝の暗闇の中で泳ぐ冷たいプールも、終業後のジョグも、自分を見つめ直す大切な時間だ。

海外で挑戦することは、時に孤独だ。でも、同じ苦しさを分かち合える仲間が世界中にいる。ゴールラインを越えた瞬間にハイタッチを交わすあの笑顔が、すべての答えをくれる。

LondonT100にてラン3:30/kmで爆走中!

最後に、トライアスロンは、人生の縮図だと思う。苦しくても、前に進み続けるしかない。だからこそ、やめられない。
ロンドンの朝焼けを背にペダルを回しながら、今日も思う。「この競技に出会えて、本当に良かった」と。

先日出場したT100ロンドンでは、エイジ7位。総合18位。12月はいよいよカタールで行われるT100のファイナルに出場する。世界のスピードと対峙するのが楽しみだ。


尾関孝洋 Takahiro Ozeki
外資系投資銀行勤務、ロンドン在住。大学までは体育会サッカー部に所属。仏移住をきっかけにトライアスロンを始め、今年は3年目のシーズン。ロンドンT100でエイジ7位となり、12月の世界選手権(カタール)出場予定。今シーズンはアイアンマンポルトガルに挑戦し9時間21分でエイジ11位。大の苦手なスイムをLucy Charles-Barclayが通うスイミングクラブで特訓中。
《2025年レース予定》
2025年11月2日 IRONMAN 70.3 Türkiye
2025年12月13日T100 Age/Group World Championships

-COLUMN, From Readers

0 interest


コメント

メールアドレスが公開されることはありません。


スパム対策のため、 日本語が含まれない欧文のみのコメントは投稿できません。


  1. いいスパイラルに入るには、初めはとにかくやるしかないんだな

  2. おれたちにできないことを平然とやってのけるそこにシビれる!あごがれるゥ!

もっと見る

関連記事

【記事】サイドバー上

記事用jQuery

cloud flash記事バナー