2020年はレースがなく、目標を見失った……。オフトレが長引いたような今の状況で、どのような心持ちでどんなトレーニングをどうやって続けていけばいいのか。全国でトライアスリートを励まし続ける指導者12人がこの時期を乗り越えるためのメンタルの保ち方、効果的なトレーニング方法を教えてくれた。いつか必ずやってくる、RaceDayに備えて、いつだってトライアスリートらしく過ごそう!
『Triathlon Lumina』77号(2020年7月号)に掲載した、トレーニング企画の完全版。誌面では紹介しきれなかった内容を余すことなく紹介。
八尾彰一さん
楽しいと感じている自分に毎日出会う
コロナ疲れを吹っ飛ばせ! ガンバレー。と言いたいところですが、自粛によりフラストレーションも溜まり気味。気力が湧かなくなって……今は、そんな人も多いのではないでしょうか。
それなら、今、この状況をうまく受け入れて、たとえば、疲れているなら疲れを取るために何ができるか頭をひねるのもいいでしょう。無理に乗り越えようとせずに、今の状況でも楽しいと感じている自分に毎日出会う、そんな日を過ごそうではありませんか。
僕は、人生の師匠にこう教わりました。「出会いは全て、心のなかの自分との出会い。楽しいことと出会っているのではなく、楽しいと感じている自分に出会っている。嫌なことに出会っているのではなく、嫌だと感じている自分に出会っている。出来事に良し悪しはないよ。そのように感じている自分に出会っているだけ。ならば、自分のなかの良いものと出会う努力をしよう。それが君のアスリートとしての自分を育てることになるはずだよ」と。
もう10年ほど前になりますか、実業団廃部でへこたれていた僕に、三重県の伊勢修養団で故中山靖雄先生が言ってくださったお言葉です。このお言葉を聴き涙が出ましたね。今の状況で、楽しいと感じる自分に出会う。そんなこと考えもしなかったです。
レースの目標がなくなった今は、時間的にゆとりができたので、これまでやりたかったメニューや、弱点克服のためのトレーニングに取り組むことをオススメします。
規則正しい生活が基本
僕の場合は、ペダリングスキルアップと低心拍のウォーキングです。実業団時代に動作解析でお世話になったワールドウイングの小山裕史先生から教わった股関節を意識した動作を思い出しながらやっています。ウォーキングは、家族とのコミュニケーションとして、妻や娘と一緒に歩いています。もちろんマスクをしてね。
レースがない時期の1週間のメニューですが、規則正しい生活を確保するためのメニューが基本になります。外でのライドやランは、ほぼひとり練習となりますので安全面に配慮しながら行ってください。室内練習は、動画を見ながら行うのがいいでしょう。僕も無料でローラーセッションを配信しています。またZwiftでレースやロングライドに参加するのもいいですね。
トレーニングメニューでアドバイスをするとしたら、今までと少し考え方をかえて、やらなければいけない練習ではなく、やりたい練習、やりたかった練習をやる。自分が喜ぶ練習をやって、やって、やりまくる。みたいな1週間にするのはいかがでしょうか。
なんだかいい加減なようですが、これまで頑張ってきた皆さんは、この期間中、何か知らないけれどこの練習が気になる。そんな心の羅針盤にまかせて、やりたい練習に取り組むことで、新しい発見はきっとあるはずです。
【具体的なトレーニングメニュー】
《スイム》
上半身の筋トレをやりましょう。
ドライトレーニング(陸トレ)の動画を参考に自主練をする。また体幹や上半身のオンラインセッションに参加もオススメです。
《バイク》
オンラインセッションに参加。特にペダリングスキルを磨くセッションはおすすめです。Zwift参加もいいでしょう。
《ラン》
早朝の人の少ない時間帯にゆっくり走るのはいかがでしょうか。脂肪燃焼を目標にして、身体を引き締めるのも楽しみになります。
《その他》
僕がおすすめは、やはりオンラインのセッションでしょうか。
体幹、ヨガ、ストレッチ、ペダリング、講義形式のスイム理論や食事のレシピなど、YouTubeもフルに活用してやってみてはと思います。
八尾彰一 Shoichi Yao
田山寛豪、西内洋行、小原工らオリンピック代表選手や、谷新吾らアイアンマンのプロをはじめ、エリート選手の育成に取り組み一方で、20年近くエイジグルーパーの指導も手がけている名指導者。チームブレイブHP http://teambrave.com/
▼Luminaがプロデュースする学びのオンラインコミュニティ「トライアスロンLAB」でも八尾さんの指導が受けられる!▼
https://lounge.dmm.com/detail/2617/
>>「トライアスロンLAB」って何? という方はコチラをチェック!