【トライアスロン日本選手権2020】女子は6度目の優勝上田藍、男子は初優勝ニナー・ケンジ

投稿日:2020年11月9日 更新日:


ルミナ編集部

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一騎打ちを制し、上田藍6度目の女王に。
男子は初参戦のニナー・ケンジが優勝。

文=東海林美佳
写真=高崎 聡(JTU)

コロナ禍の中、無観客、距離も半分のスプリントに変更して行われた今年の日本選手権。選手へのPCR検査、厳しいゾーン分けと密の回避、マスク着用の徹底など、さまざまな対策を施しての開催となった。

距離の短縮で高校生も参加が可能となり、女子34名、男子37名の選手がスタート。女子は秋口に欧州で開催された3レースを転戦しレース勘を身につけた上田藍が4年ぶり6度目の優勝に輝いた。男子も同じく欧州転戦を経ての参戦となったニナー・ケンジが日本選手権初参加にして初優勝を飾った。

ランスタートで飛び出した高校生の中嶋を上田らが追う。例年の半分の距離(スプリント)で行われた今年の日本選手権。コースレイアウトも対象の変更があり、トランジションエリアが2カ所に設置された。

【女子】上田vs中島、年の差20歳が真っ向勝負

午前8時にスタートした女子のレース。ウエットスーツ着用で行われたスイムでは大きな差がつかず、バイクでは20数名の大集団が形成された。スイムで遅れることが多い上田も序盤から先頭集団に加わり、完全に上田の勝ちパターンに。

バイクの第1集団は18人に。スイムで出遅れた昨年2位の岸本新菜は第2集団から単独で先頭集団へ追いつく

だが、バイクを終えランに入ってすぐ、先頭を走る上田の真後ろにぴったりとついたのが高校生の中嶋千紗都だ。上田を上回るランのタイムをもつ17歳の逸材が、日本トライアスロン界のレジェンドに果敢に食らいつき、ふたりで後続を引き離していく。最後は上田のスパートに中嶋が遅れ、5秒差で上田の貫禄勝ちとなった。3連覇を狙った高橋侑子は5位となった。

3連覇がかかる高橋はランで追うも5位に

優勝 上田藍選手のコメント

18回連続出場、4年ぶり、6度目の優勝。37歳での優勝は史上最年長(過去の最年長優勝は庭田清美35歳、田山寛豪35歳)

「スイムを好位置で上がり、バイクで先頭集団に食い込めたのが大きかったです。中島選手とのラン勝負では、相手の息遣いで脚の残り具合をはかりながら2周回目に入るところで勝負をかけました。相手は自分の半分以下の年齢の選手。気合いと意地で勝った感じです。優勝できて嬉しいのと同時に、若手から大きな刺激をもらったレースでした」

2位 中嶋千紗都選手のコメント

17歳の中嶋は、全国高校駅伝1区、県別対向駅伝代表に選ばれるなど、ランニングの実力者でありながら、スイムもバイクも得意

「スイムからいい位置でレースができました。ランではとにかく上田選手にくらいついていくことだけを考えて走っていました。ペースを気にせず、きつくなっても挑戦する気持ちを持ち続けました。離れた時、一瞬『無理かな』と思いましたが、まだ追いつけると思い直して追い続けました。5秒差の2位は悪くない結果。今後距離が伸びても対応できる実力をつけていきたいです」

3位 酒井美有選手のコメント

高地トレーニングの成果か自分でもびっくりするほどランが走れたという酒井。3位と言う結果に興奮気味

「3位という結果に自分でもびっくりしています。ここに来る前、ギリギリまで長野県で高地トレーニングをしていたので、その効果が出たのかなと感じています。得意のスイムでは前に行けず苦戦したのですが、バイクとランはうまくいきました。特にランは予想以上の走りで実力以上の力が出せた感じです。これが本当の実力になるよう、これからさらに頑張っていきます」

スイムエリアには、コーチ陣の入場も許可されておらず、例年の賑やかな雰囲気とは違った緊張感が漂う

【男子】初出場ニナー・ケンジ、力強い走りで日本チャンピオンに

男子のレースは気温が上がる午前9時半にスタート。スイムでは北條巧が積極的にリードするハイスピードな展開で、北條、ニナー・ケンジ、望月満帆、古谷純平が後続を引き離す形でバイクへ。そのまま4人の先頭集団でバイクを終え、ラン勝負へともつれ込む。

バイクの集団で奮起した20歳の望月満帆(最後尾)。ローテーションを回せるように集団をしっかりコントロールしていたのは古谷

バイクで脚を削られた望月がまず脱落。T2を先頭で飛び出した古谷も、ニナーと北條に抜き去られ、そこからじりじりと遅れをとっていく。一騎打ちの展開のなか、北條が何度かスパートを試みるもニナーがすかさず反応し譲らない。最後はニナーがスパートをかけ返すかたちでそのまま力強く走り切り、北條の3連覇を阻止。初優勝を手にした。

優勝 ニナー・ケンジ選手のコメント

ランでは北條のスパートをことごとくつぶし、逆にそのタイミングを利用して仕掛けたニナー

「欧州での転戦では2度バイクで落車してDNFだったので、今回は完走して勝ててうれしいです。当初から北條選手、古谷選手との勝負になると思っていました。ランの強い小田倉選手も警戒していました。北條選手とトップ争いをする中、ラスト500mで北條選手を引き離した時は、全力のスパートでした。キツかったです。今日は自分が勝ちましたが、北條選手は本当に強いと思います」

2位 北條巧選手のコメント

世界で戦える選手になる、と言うことを常に掲げている北條。ニナーとの競い合いで「日本選手権でも世界を感じることができ。これを生かしたい」とコメント

「3連覇がかかっていたレースだったので勝てずに残念。スイムで少人数に絞る作戦は成功したんですが……。ランでも脚が動いて調子が良かったのですが、ニナー選手はそれ以上に強かった。何度かペースを上げ下げして揺さぶりをかけましたが、自分のスパートよりニナー選手の走りが上回っていました。完敗です。ランの実力がついてきたと思っていましたが、まだ差がある。これから強化していきたいです」

3位 古谷純平選手のコメント

レースやチームをいつもリードしている古谷。2015年ぶりの優勝はならず

「狙っていたレースだったのでこの結果は悔しいです。勝負にからめず、実力不足を実感しました。T2を出た時は先頭で、フィーリングも悪くなかったのですが、200mで2人に抜かれた時、あまりにもスピードの差があり、つき切れなかった。ランが実力不足。ここから1段上へとシフトしないとふたりに勝てないと感じています。ランの強化が今後の最優先課題です」

【NHK BS1テレビ放送のお知らせ】
第26回日本トライアスロン選手権(2020/東京・台場)
2020年11月21日(土) NHK BS1
女子競技 07:50-08:40
男子競技 08:50-09:39

【YOUTUBEアーカイブ】

【Result】(Swim750m/Bike20km/Run5km)

《女子》
1. 上田 藍(ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター)0:57:35(Swim09:22/Bike0:31:19/Run0:15:48)
2. 中嶋千紗都(山梨学院高校・チームケンズ山梨)0:57:40(09:12/0:31:34/0:15:53)
3. 酒井美有(トーシンパートナーズ・チームケンズ)0:58:01(09:18/0:31:20/0:16:12)
4. 佐藤優香(トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ)0:58:03
5. 高橋侑子(富士通)0:58:12
6. 中山彩理香(日本大学・アリーディ)0:58:25
7. 岸本新菜(福井県スポーツ協会・稲毛インター)5 0:58:41
8. 林 愛望(岡崎城西高校・まるいち)0:58:43
9. 蔵本 葵(東京ヴェルディ)0:58:53
10. 西麻依子(東京都トライアスロン連合)

《男子》
1. ニナーケンジ(NTT東日本・NTT西日本)0:51:09(Swim 08:06/Bike 0:27:48/Run 0:14:15)
2. 北條 巧(博慈会、NTT東日本・NTT西日本)0:51:14(08:01/0:27:49/0:14:18)
3. 古谷純平(三井住友海上)0:51:46(08:09/0:27:47/0:14:52)
4. 小田倉真(三井住友海上)0:51:59
5. 安松青葉(アクサスホールディングス)0:52:16
6. 佐藤 錬(福井県スポーツ協会)0:52:32
7. 浅海健太(下田緑眞会・サニーフィッシュ)0:52:54
8. 玉崎稜也(早稲田大学・ロンドスポーツ)0:52:57
9. 梅田祐輝(東京ハイリッジレーシング)
10. 渡部晃大朗(稲毛インター)

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  1. スイム強化

  2. 上田は日本では通用しても世界で通用するのは非常に難しい。トライアスロンでは1番初めにスイムが有るが上田はスイムが非常に苦手で世界大会では常にビリ。それからバイクとランで追い上げるがせいぜい20位以内が良いところ。今のトライアスロンは先行逃げ切りが当たり前。後から追い上げても追いつかない。今までそんなことはわかっているのになぜスイムを強化してこなかったか。コーチの責任は大きい。スイム中心の練習メニューにしないのはコーチの責任で有りそれをしない限り世界では通用しない。コーチを変えるべき。

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