
WTCS横浜2026 ©KentaOnoguchi
>>World Triathlon Championship Series YOKOHAMA 2026
海風に揺れる夏日、14回目の横浜開催
16年目を迎えた今年の横浜は、風雨と寒さに見舞われた昨年とは打って変わり、強い陽射しが降り注ぐ夏日。
ジャンヌ・ルエール(ルクセンブルク)、マシュー・ハウザー(オーストラリア)ら昨年の横浜チャンピオンに加え、ベス・ポッター(イギリス)、パリ五輪金メダリストのアレックス・イー(イギリス)らのスターが参戦し、熱い戦いを繰り広げた。
取材・文=東海林美佳
Text by Mika Tokairin
写真=小野口健太
Photographs by Kenta Onoguchi

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WTCS横浜女子
マンソンがスプリントでポッター制し笑顔のフィニッシュ
オリンピックポイント加算前のタイミングにもかかわらず、女子レースはポッター、リーザ・テルチュ(ドイツ)、エマ・ロンバルディ(フランス)、ルエールら実力者が勢揃い。また、過去に横浜4勝を上げているレジェンド、グウェン・ジョーゲンセン(アメリカ)も参戦。そんな中で女子レースを制したのは22歳の新鋭ティルダ・マンソン(スウェーデン)だった。

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スイム序盤でシアン・レインズレイ(アメリカ)、テルチュ、ルエールらとともに先頭を引いたのは武中香奈枝。途中ブイターンで方向を間違えるアクシデントもあったが、3番手でスイムアップ。
他にも林愛望、酒井美有ら日本勢がスイムでトップ10に食い込む健闘ぶりを見せた。ジョーゲンセンはトップと6秒差の15位、昨年のシリーズ女王ポッターは7秒差の17位と好位置につけた。

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バイクは山下公園から赤レンガ倉庫街をめぐる10周回。中盤でジョーゲンセンが猛アタックをかけて差を詰めたことをきっかけに、後続パックが先頭集団に合流し、32人の大集団となる。
ケイト・ウォー(イギリス)、ルエール、ロンバルディといった実力者が先頭で集団をコントロールする中、ポッター、ジョーゲンセン、テルチュらは後方で温存モード。大集団はそのままT2に雪崩れ込むように入り、レースはラン勝負となった。

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素早いトランジションを経てランでいち早く抜け出したのはロンバルディ。そのままスピードを上げて後続を大きく引き離しにかかる。
日本勢では平泉真心が6番手の好位置で走り出した。1km付近でロンバルディがルエール率いる後続集団に吸収され、今度はルエールが先頭でペースを上げる。テルチュ、マンソン、ロンバルディを含む4人が先頭集団を形成。
ポッターは後ろからじわじわとそれを追う。2周回目でポッターが追いつき、先頭に立つとペースが上がり、ロンバルディ、テルチュは先頭集団から脱落。ポッター、マンソン、ルエールの3人の勝負となる。
ポッターがペースを上げるとマンソンがすぐに付き、ルエールがそこにガッツで喰らいつく。最終周回、残り1.5km地点でポッターがスパートし、ルエールは置いていかれたが、マンソンはそれに難なく対応し、勝負はポッターと22歳の新鋭マンソンの一騎打ちとなった。
山下公園内、ラストの長い直線で満を持してマンソンがスパート。ポッターは逃すまいとすぐさま反応する。手に汗握るスプリント勝負を制したのはマンソンだった。笑顔でゴールテープを掴むと高々と掲げてフィニッシュゲートをくぐり抜けた。
日本人トップは林の22位。24位には平泉、そして武中が26位と続いた。

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優勝のティルダ・マンソンのコメント
「勝つことができて、本当に幸せ。ポッターに置いていかれないようにと、それだけを考えて走っていました。最終周回までは無理せず落ち着いて走って、最後にスパートをかけるというプランでした。
4周目の途中で1度スパートをかけたらすぐに追いつかれたので無理せずラストのスプリント勝負に賭けました。持てる力をすべて注ぎ込めたと思います。昨年は故障で苦しんだので、またレースに復帰できて今回優勝できたのは本当に大きな意味があります」

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日本人トップ林愛望のコメント
「スイムは10番前後くらいで上がることができて、いい出来だったかなと思います。バイクは人数が多くて位置取りが難しく、何度か後方になって脚を使ってしまいました。そのせいもあってランでは目標としていた35分台が達成できず、目標の20位以内にも及ばなかったので悔しさが残ります。
一方で、世界での自分の位置は把握できたと思います。また、日本人トップになりアジア大会の出場権を獲得できたのはうれしいです。アジア大会は地元の愛知開催なので、必ず優勝したいと思っています」

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1. ティルダ・マンソン(スウェーデン)1:50:13
2. ベス・ポッター(イギリス)1:50:15
3. ジャンヌ・ルエール(ルクセンブルク)1:50:36
22. 林愛望(日本福祉大学・NTT東日本・NTT西日本)1:53:57
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WTCS横浜男子
ハウザーの完璧な連覇と復帰戦で魅せたイーの猛追
午後に行われた男子のレースはさらに強い日差しで気温は27度にまで上昇する中で行われた。昨年優勝のハウザー、昨年ここ横浜で3位に入って以来、表彰台常連となりつつあるミゲル・イダルゴ(ブラジル)らが、ここ1年近くマラソンに専念しその走りにさらに磨きがかかったイーにどう立ち向かうかが見どころ。レース展開も、「イー封じ大作戦」の様相となった。
昨年のシリーズチャンピオンでもあるハウザーはスイムから先頭でハイペースを作りスイムフィニッシュまでにイーとの差を37秒に広げることに成功。

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バイクではスイムトップグループにいた6人が先頭集団を形成し、後続集団をじりじりと引き離す展開となった。メンバーはハウザー、ルーク・ウィリアン、ブレイデン・マーサーのオーストラリア勢に加え、イダルゴ、マックス・スタップリー(イギリス)、ペトレ・バリスビク・トーン(ノルウェー)。
実力者が揃った小集団で先頭交代しながらハイスピードを維持し、イーがいる後続の大集団を1周回につき約10秒ずつ引き離し差を広げていく。途中イーが後続集団のペースアップを図るべく先頭を引く場面もあったが、集団のペースは一向に上がらない。バイクフィニッシュ時点でトップとイーの差は1分43秒にまで広がっていた。

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ランに入ると、イダルゴ、ハウザー、ウィリアンが先頭集団を形成。トーン、マーサー、スタップリーは徐々に離されていく。
1分43秒の負債を負って走り始めたイーは、滑らかなロングストライドで見る見る前との差を詰めていく。2周回目が終わる頃にはトップに30秒近く追い上げ、5、6位を走る選手を射程圏内にとらえた。
その前方ではウィリアンが先頭集団から遅れ始め、ハウザーとイダルゴの一騎打ちになっていた。最後の周回までに46秒にまで差をつめたイーが、トップ争いにどこまで絡むことができるのか。

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最終周回に入ると、ハウザーがペースを上げ、イダルゴがついていけずに遅れ始める。そのままトップを独走したハウザーは、王者のレース展開で横浜2連覇を手にした。
異次元の走りを見せたイーだったが、表彰台には届かず5位でフィニッシュした。
日本勢は安松青葉がランで順位を上げて日本勢トップの11位でゴール。アジア大会出場権を獲得。北條巧は16位で日本勢2位、定塚利心が22位でそれに続いた。

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優勝のマシュー・ハウザーのコメント
「今回が2026年シーズン緒戦で、蓋をあけるまでどうなるかわからなかったというのが正直なところだけど、うまくいってすごくうれしい。アレックス(イー)のことはもちろん意識したよ。
バイクではみんなで協力してペースを上げて差を広げた。ランのスタートまでには安全と言えるぐらいの差をつけられたと思う。今年の目標はシリーズ2連覇。簡単ではないと思うけど、これまでやってきたことは間違いじゃないと今日確認できたのが良かった」

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日本人トップの安松青葉のコメント
「目標の8位には届きませんでしたが、最低限の目標だったアジア競技大会の出場権を獲得できたのはうれしいです。スイムのスタートで右に逸れて少し遅れたのはもったいなかったですが、それ以外はかなり落ち着いてレースができました。
ランでは、いつもなら最初から飛ばしていく展開が多いんですけど、今回は最初抑えて後半上げて、トータルでまとめられたのが良かったと思います。
アジア競技大会の選考レースだったので緊張感はありましたが、普段どおりにと自分に言い聞かせました。レースでは、個人での金メダルとリレーでのメダル獲得を狙いたいです」
アレックス・イーのコメント
「全体的には満足のいくレースだった。結果は完璧とまでは言えないけれど。マラソンへの挑戦を経て、またトライアスロンに戻って来れてうれしいよ。この緊張感、ドキドキ感は久しぶりでちょっと懐かしい感じ。レベルは確実に上がっている。また戦える状態にするためにがんばらなきゃ。
ここからの目標はロサンゼルス五輪。そこに向けてまたトップの位置に戻るために積み上げていきたい」

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1. マシュー・ハウザー(オーストラリア)1:38:48
2. ミゲル・イダルゴ(ブラジル)1:39:08
3. ルーク・ウィリアン(オーストラリア)1:39:16
11. 安松青葉(三井住友海上/東京)1:41:06
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