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アイアンマン世界女王への道を語る《KONA2025レース前記者会見》

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ルミナ編集部

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記者会見に臨んだ有力選手たち。ルーシー・チャールズバークレー(写真左から2番目)、チェルシー・ソダーロ(同3番目)、ローラ・フィリップ(同4番目)ら歴代世界女王から、若き実力者テイラー・ニブ(右から2番目)まで錚々たるスターが勢ぞろい

最後の女子限定コナへ
スター選手がそろい踏み

2度目にして最後となった女子オンリーのコナ(アイアンマン世界選手権=以下IMWC)。

今年は2024年世界女王のローラ・フィリップを中心に2023年コナ女王のルーシー・チャールズ・バークレー、2022年コナ優勝のチェルシー・ソダーロに加え、五輪戦線での活躍若手のテイラー・ニブ、現在プロシリーズのトップを走るキャット・マシューズらが錚々たる面々が登場。

それぞれに、レース前の心境とここまでの道のり、そしてコナへの想いを語った。

取材=東海林美佳

ローラ・フィリップ
(2024年 IMWCニース優勝)

「私が勝ったのはニースで、ここコナではない」

チャンピオンとしてこの場にいられることはとても嬉しく、最高の気分です。一方で、私が勝ったのはニースで、ここコナではないということもわかっています。

今年は夏以降レースに出ていないのですが、これは例年とは違うパターンで、それがどう出るかは未知数です。でも、今まで達成していないことを成し遂げたいなら、新しいやり方に挑戦すべきだとも思っています。

コナでの勝利はまだ成し遂げていないことだからこそ、今はその1点にフォーカスしています。

アイアンマン世界チャンピオンというタイトルは、私に多くの扉を開いてくれました。トレーニング以外のことも増えましたが、こんな機会をつかみ取れたことに感謝しかありません。また、夫でありコーチのフィリップのおかげで、トレーニングとの両立もうまくやれたと思います。

今年は女子だけの大会の最後の年。8時間以上、テレビの解説が女性選手のことだけについて実況してくれるというのは本当に特別なこと。この最後の機会を存分に楽しみたいですね。

ルーシー・チャールズバークレー
(2023年 IMWCコナ優勝)

「絶好調だけど、自分にプレッシャーはかけていない」

エイジグルーパーとしてこの地でチャンピオンになってから今年で10年です。時間が経つのはあっという間ですね。ここに降り立つと「帰ってきた」という気持ちで、なぜ心穏やかになります。

この1年はもっともヘルシーに過ごせた年でした。昨年、自分がグルテン不耐性だと判明してから、多くのことを学びました。また、これまでは毎年故障でランニングが数週間できない期間がありましたが、今年はトレーニングが1週間以上途切れることはありませんでした。多分これまでで一番楽しくトレーニングできた年だと思います。

調子はいいけど、自分にプレッシャーはかけていません。この島では神々に味方してもらわなくては勝てませんから。1秒1秒を噛み締めてレースをしたい。

今私が重きを置いているのは、(優勝した)2023年より完成度の高いパフォーマンスをすることです。全てを出し切ったと思えれば、どんな結果でも誇りに思えるはずです。

チェルシー・ソダーロ
(2022年 IMWCコナ優勝)

「女性、母親がより歓迎される競技とするために」

今シーズンは正直めちゃくちゃでした。昨年のニースでも体調不良で結果を残せず、それが終わっても体調を崩したまま夏を迎えていました。子どもからウィルスをもらったのだと思います。だからこそ、今ここにいられることが本当に嬉しいです。この大舞台で最高のライバルたちとレースできることは喜びです。

2022年にここで優勝しましたが、私自身はそれ以前と同じ人間です。常に自分の持てる力を出し切ることに変わりはありません。

一方で、私はレーサーであると同時に、この競技を女性、そして母親となった女性がより歓迎されるものとすることにも情熱を注いでいます。今年はコナに搾乳ステーションが設置されることになりました。大きな変化への第一歩です。その一部に微力ながら関わることができて光栄です。

テイラー・ニブ
(2023年 IMWCコナ4位)

「正直私はアイアンマンおたくです(笑)」

2023年にコナで初レースをした時には「2025年にここで勝つために」と言いましたが、それより何より最高のレースをすることが目標です。そのためにも、バイクで補給カロリーの60%分が入ったボトルを落とさないことが大事なので(笑)、今回はボトルケージを改良してきました。

2023年の経験でもっとも覚えておくべきことは、「最後の1時間はきつかったけど、その前の7時間半は最高だった」ということ。改善点を分析するのは簡単ですが、それよりも大事なのはうまくやれたことを思い出すこと。そこに答えはあるんです。コナは単なる目標ではなく、自分を探求する機会だととらえています。

私にとってのアイアンマン? 正直私はアイアンマンおたくです。ノーマン・ステドラーやファリス・アルサルタンが勝った年をすぐに言えるぐらいにね(笑)。

キャット・マシューズ
(2025年 アイアンマン・プロシリーズ首位)

「世界の頂点で、最高の自分を目指す」

今年1月1日に決めたのは「アイアンマン・プロシリーズにフォーカスする」、ということでした。コナはその頂点。最重要レースと位置付けています。

そのため出場レースの数は昨年より6レースも少ないです。集中すべき目標を明確にしたので分析も緻密になり、トレーニングプランもより立てやすくなりました。これは新鮮であると同時に、なかなか大変でもありました。

私はトレーニングが好きな人間で、それによって日々成長することに喜びを感じるタイプです。レースは最後のご褒美みたいなもの。1度のレースの結果が目標ではないんです。

トライアスロンは最高の自分を目指すためのもの。私はレース結果ではなく、私自身として生きることに重きをおきたいのです。

***
アイアンマン世界女王の座をかけたトッププロの闘いは、10月11日(日本時間10月12日未明~)。LuminaのSNSや本WEBマガジンでは随時、速報・リポートを公開していくので、乞うご期待。

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