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【W杯宮崎】高橋侑子、ラストダンスは宮崎で。

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ルミナ編集部

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11月9日(日)、ワールドカップ宮崎が、宮崎県宮崎市・みやざき臨海公園を舞台に行われ、国内外からトップアスリートたちが集結した。
スイム750m、バイク20㎞、ラン5㎞のスプリントディスタンスで熱戦が繰り広げられた。

ワールドカップ宮崎2025男子
ストゥダーが制す、日本勢は粘りの展開

10月の世界選手権ウーロンゴンで6位に入賞しているマックス・ストゥダー(スイス)、東京OQEの優勝者で「日本が大好き」と語るタイラー・ミスロウチャック(カナダ)ら海外勢に対し、日本勢は先日の日本選手権で初優勝を飾った安松青葉、同レースで安松と激しい競り合いを見せ2位に入った北條巧、昨年宮崎で3位に入り、今シーズンはIM70.3にも挑戦しているニナー賢治らが挑む構図となった。

SWIM
男子は、雨と強いうねりというタフなコンディションの中、レースがスタート。スイムでは北條が積極的に飛び出し、単独でリードを築く。そのままトップでスイムを終え、長いトランジションを駆け抜けて真っ先にバイクへ。

安松、吉川恭太郎、ニナーや大島拓人ほか国内選手を含めた大きな集団が後を追う。

BIKE
コーナーやUターンが多く、車幅の狭い区間もあるバイクコースは、この雨で路面が滑りやすく、落車のリスクが高い状態。慎重にならざるを得ない中で、ポジション取りを巡る攻防が繰り広げられた。

ニナー、ダー・スミス(アメリカ)が先頭を引き、約40人の大集団で1周目を終える。北條、安松、佐藤錬、大島、定塚ら日本人選手もこの集団でレースを進める。

20㎞4周回と距離が短いだけに、仕掛けるタイミングも勝負を分ける重要なポイントとなる。

大人数のまま、最終周に突入。長い1列となった隊列の先頭と最後尾では20秒の差が生まれてしまうため、ラン勝負に向けて少しでも前に位置取りしておきたい選手たちの位置取りをめぐる緊迫した駆け引きが続いた。

T2の大集団から抜け出したのは、ジャック・ウィリス(イギリス)、次いでシャハル・サギヴ(イスラエル)、ストゥダー、トム・レノらが追随。

RUN
1周目前半でサギヴ、ストゥダー、ガー、マクシム・ユーベル・ムースブルガー(フランス)の4人が第1集団を形成。

2周目に入るころには、後続との差を100mほどに広げた。ニナーは9秒差、安松、北條が20秒差で追走する。

ハイペースでレースを進める先頭の4人。やがてサギヴが遅れ、ストゥダーがグッと一気にギアを上げる。

フィニッシュまでの長い直線で背後を振り返りながら、優勝候補筆頭のストゥダーがトップでフィニッシュ。ディフェンディングチャンピオンのムースブルガーが2位、初W杯、初めての表彰台という21歳の伏兵ガーが3位に入った。

日本勢はニナーが11位、安松が14位、北條は18位でフィニッシュした。

ワールドカップ宮崎2025女子
女子はリアソワがランで勝ち切り
高橋侑子は有終の7位

日本選手権通算4勝、東京・パリと2大会連続でオリンピック出場の高橋侑子が、この宮崎を最後に、現役を退くと発表。長年女子トライアスロン界をけん引してきた高橋にとっては特別な一戦となった。

優勝候補は、WTCSファイナルで6位のディアナ・イサコワ(個人中立)と同5位のジェシカ・フルガー(イギリス)。日本勢からは、現日本チャンピオンの林愛望、ラストレースとして臨んだ高橋、若手注目株の平泉真心らが出場した。

SWIM
空に晴れ間がのぞきはじめた10時、女子のレースがスタートした。大きなうねりと白波が立つ中、積極的に前をひいたティリー・アネマ(イギリス)が単独トップでスイムをリード。

その後注目選手もいい位置で泳ぎ切り、高橋、イサコワらが先頭を追いバイクパートへ。

BIKE
1周目でアネマを高橋・中山彩理香を含む第2集団が吸収し、10人の第1パックが形成される。

1周目を終え、ファーストパックとセカンドパックの差は30秒。コースのレイアウト上、コーナリングが多く減速する場面が多いため、スピードが上がりにくく、差がつきにくい。

高橋は集団の前方に位置し、キラ・ヘッジランド(オーストラリア)、フルガー、アネマ、ワレンティナ・リャソワ(個人中立)ら実力者たちとともにペースをつくり、後続との差を少しでも広げようと、果敢に前を引いた。

2周目終盤、フルガーがスパートをかけて単独首位に立ち、3周目には後続との差をおよそ100mに広げる走りを見せる。しかし、最終4周目ではランに備えて逃げをやめ、再び集団に吸収された。10人のパックのままT2へ飛び込んだ。

RUN
T2をほぼ同時に抜けた選手たちがランコースへ。ワレンティナ・リアソワが積極的に飛び出し、すぐに15mほどのリードを奪う。

2位集団には高橋が3〜4番手で位置し、他選手たちの波に乗って追いかけたが、リアソワはスピードを緩めず、最後までトップを譲らない。

フルガーとアネマが懸命に追走するも届かず、リアソワがそのままフィニッシュラインを駆け抜けた。

2位はフルガー、3位はスイムから果敢な展開を見せたアネマ。現役最後のレースに臨んだ高橋は、粘り強い走りで7位に食い込んだ。

ニナー賢治コメント

雨が降っていたコンディションで、バイクはとても危なかったです。でも、私の作戦は安全第一。ランは、トランジションで先頭集団と10秒差で悔しかったけど、チェイスグループのずっと先頭でした。だけど、最後のスプリントでエネルギーが足りなかった。

5位から11位は悔しい。でも、久しぶりにランでいい動きができたと思います。100%頑張りました。

次は、韓国、トンヨンのW杯でメダルを獲りたいです。

高橋侑子コメント

スイムから行きたいという気持ちでスイムから良い流れを作ることができて、バイクに関しては攻める中ではあったんですけど、なかなかジェシカ・フルガー選手が行ったときに、少しのタイミングで逃してしまって、そこで追う形にはなったんですけど、積極的にバイクを進めることができて、ランは粘るだけで。表彰台は逃してしまったのですが、本当に力を出し切ったレースなので、良かったなと思います。

(ラストレースに関して)本当にもう18年近く日本代表として、ジュニアの時代からトライアスロンの活動をすることができて、今回も宮崎でたくさんの方に応援いただいて、本当に幸せだったなという思いですね。

すべて出し切って笑顔でゴールするというのが今日やりたいと思っていたことだったので、それができて、表彰台は逃してしまったのですが、うれしい気持ちです。

今までたくさんの応援ありがとうございました。本当に幸せな競技人生だったなと思います。

レースを終えた後、高橋選手へのサプライズとして、代表して林選手から花束が渡された

ワールドトライアスロンカップ(2025/宮崎)
開催日:11月9日(日)
エリート男子スタート8:00/気温20.9度、水温22.5度
エリート女子スタート10:00 /気温22.8度、水温22.4度
開催地:宮崎県宮崎市 みやざき臨海公園、一ッ葉有料道路、フェニックス・シーガイア・リゾート周辺及び施設
競技距離:スイム750m(1周)、バイク20km(5km×4周)、ラン5km(2.5km×2周)
*スプリントディスタンス
*ワールドトライアスロン(World Triathlon)公認

男子上位リザルト
1. マックス・ストゥダー(スイス)54:51(09:11/30:06/14:16)
2. マクシム・ユーベル・ムースブルガー(フランス)54:55(09:12/30:10/14:19)
3. マイケル・ガー(イギリス)54:59(09:07/30:12/14:22)
11. ニナー賢治(NTT東日本・NTT西日本/栃木)55:22(09:06/30:13/14:44)
>>全リザルト

女子上位リザルト
1. ワレンティナ・リアソワ(個人中立)1:00:05(09:45/32:20/16:36)
2. ジェシカ・フルガー(イギリス)1:00:08(09:49/32:16/16:44)
3. ティリー・アネマ(イギリス)1:00:11(09:20/32:45/16:40)
7. 高橋侑子(相互物産/東京)1:00:54(09:35/32:27/17:28)
>>全リザルト

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