新たな挑戦を土台からサポート
現在、ロングの世界最高峰シリーズ「IRONMAN」にプロカテゴリーで参戦している上田藍選手。一番の武器である、走りを支えるインソールへのこだわりを、「SIDAS FITTING LAB」のチーフフィッティングマイスターの斉藤昌彦さんとともに語ってもらった。
文=今 雄飛 写真=小野口健太
上田藍 AiUeda
リソル・稲毛インター所属、プロトライアスリート。オリンピック3大会連続出場。日本選手権7回優勝。2016年ITU世界ランキングで3位に入るなど数々の金字塔を打ち立ててきた。現在、IRONMANプロライセンスを獲得し、世界のシリーズ戦を転戦している。2023年はIM70.3世界選手権に出場。11月のIMコスメル(フル)に向けて、ランに磨きをかけつつ、バイクの強化に取り組んでいる。1983年、京都生まれ。
斉藤昌彦 Masahiko Saito
「SIDAS FITTING LAB」チーフフィッティングマイスター。シダスアスリート専門の担当として5000ペア以上の作成実績あり。2019年フランス本社にてシダスの医療分野ブランド「ポディアテック」より技術者認定取得。その確かな技術は、シダスがサポートするトップアスリートから信頼を得ている。2023年から上田選手を担当。「SIDAS FITTING LAB」では一般アスリートも担当する。
20年一筋のワケ
積極果敢なバイクと鋭い切れ味のラン――。上田藍選手の代名詞とも言える得意のパート。このレーススタイルを文字通り土台から支えてきたのが〝シダス〞のインソールだ。
――いつからシダスを愛用しているんですか?
上田藍選手(以下上田) 北京オリンピック前からなので、約20年のお付き合いになると思います。自分の足形をとって製作するカスタムインソールを使用しています。
――かなりこだわりをもっているというお話を聞いています。
上田 こだわりもありますが(笑)、足がかなり特徴的らしく、細身でハイアーチなので、シダスさんのインソールを使用してからは、あらかじめシューズに入っているインソールはしっくりこなくて……力が逃げていくような感じがありました。ランニング用とバイク用を使用しています。どちらも力がしっかり伝わって推進力に変換できるようになったと思います。
シダスのインソールは、そのままシューズに入れて使用できるステップインタイプとユーザーの足形やアスリートレベルに合わせて製作するカスタムタイプがある。カスタムインソールは「SIDAS FITTING LAB」のようなショップで製作が可能だ。
それらのショップには、足についてはもちろん、さまざまなスポーツに精通しているスタッフが常駐し、ユーザーがそれぞれに抱える身体の悩みやパフォーマンスアップについてヒアリングし、最適なインソールを製作する。今季から、上田選手を担当しているのは、チーフフィッティングマイスターの斉藤昌彦さんだ。
斉藤昌彦さん(以下斉藤) 上田選手は自分の感覚を言語化する能力が高くて、いろいろな要望を出してくれます。どんどん言ってもらえると、私たちもいいものが作れるのでありがたいですね。ディスカッションしながら作っていくのがカスタムインソールの特徴のひとつですね。
上田 クロスカントリーを練習に取り入れていることもあり、練習用はソックスをはいてもいいようになっていて、レース用ロングディスタンスではソックスをはきますが、オリンピックディスタンスでは裸足ではいてフィットする仕様。
バイク用はシューズの形状に合わせて、フィット感が高まるようなものに。シューズに変にアソビがなくなることで、足の指がリラックスさせたまましっかり力が入る、そんな状態です。
――先ほど上田さんが〝力が入る〞というお話をされていましたが、そういう素材でインソールが作られているということなのでしょうか?
斉藤 まず、ヒアリングを行い、実際に身体を動かしてもらいクセなどを把握していきます。その後に足形をとって、それぞれに合わせたインソールを作ります。シダスのカスタムインソールには、200種類を超える素材があって、その中からユーザーに合ったものを組み合わせます。
硬めの素材を使うと力が入る感じはあると思います。でもそれだと特にトライアスロンのランの場合、疲労が強く出てしまうこともありますので、しっかり支えながらしなるという素材を選ぶことが多いです。
上田 確かに硬過ぎず、柔らか過ぎず、バランスがとれた素材が使われていると思います。足裏にしっくりきますし、脚の疲労も軽減されていると思います。
斉藤 しなやかにフィットする、それもシダスのインソールの特徴です。疲労してきたときには、大体足のアーチが下がってくるので、それを支えることが大切です。でも支え過ぎると疲れてしまうので、丁度良い硬さのしなやかな素材が必要になります。身体のクセをみながら、たとえば右に傾く人にはそうならないようなパーツを加えて作っていきます。
上田 トライアスロンのランの特徴は、必ず疲労した状態で走るというところです。脚がフレッシュな状態から走ることはありません。そんな状態の中でも、カカトからついて、母指球に抜けるという、自然で正しい動きをサポートしてくれます。その結果、足の裏から、足首、ヒザ、腰などへの身体全体の疲労軽減にも役立っていますね。
〝疲労を抑える〞という部分においては、現在挑戦しているアイアンマンシリーズではそこがより重要なポイントになってくる。直近では、フィンランドで行われたIM70.3世界選手権に出場し、その後スイスで行われたロングディスタンスデュアスロンの世界戦にも出場。レース前後はもちろん、レース中の疲労対策にも課題が見つけられたという。
上田 特にデュアスロンはタフなレースでしたね。「パワーマン」という名前のとおりハードでした。まるでトレイルのようなコースで、上りも下りもありました。ランにも課題はありますが、バイクはポジションを作っているところで、まだ51・5㎞のときのような独走力が備わっていません。バイクで引き離されず、ランにつなげる、ところがポイントですね。
51.5㎞からロングディスタンスへ。新たな戦いの舞台でのチャレンジを続けている上田選手だが、ほんの数年前には選手生命を脅かされるような「足底筋膜断裂」という大ケガも経験している。その際にも足元からサポートしていたのがシダスだ。
上田 本当に歩けないレベルだったので、サポートが強いものを作ってもらいました。良くなるともう少しサポートの弱いものに変えて……とケガの状態に合わせて何種類も作りましたね。その際のサポート役を担ったのは、長らく上田さんのインソールを制作してきたシダスジャパン代表の杉山浩章さん。
杉山浩章さん(以下杉山) 少しでも早く復帰したいという要望に応えるために、リハビリ用のものを作って対応しました。シダスには医療用のインソール製作を担う「PODIATECH(ポディアテック)」というシステムもあります。ショップに来られる方の中には、痛みを訴える人も多くいます。身体を動かしながらコンディションを整えていけるのもシダスの特徴だと思います。
斉藤 トライアスロンやマラソンを楽しんでいる人でショップに来られる人は、ヒザや腰などにトラブルを抱えている人が多いですね。フォームが良くないと自覚している人もたくさんいます。身体を動かしているときのバランスも見るので、股関節が左に寄っている、右ヒザが内側に入っているなども分かってきます。
――これからオフシーズンに入りますが、このタイミングでインソールを作るのもアリですか?
上田 すごくいいんじゃないでしょうか? 私自身、新しいシーズンインに向けて、土台作りをしている12月・1月に作ることが多いので。その際に1年使ったインソールを見てもらって、身体の診断をしてもらうこともあります。
杉山 使い込まれたインソールを見ると、指の跡がついているので力の入り具合やクセが分かります。それを数年追いかけていくと身体の使い方の変化も分かってきます。その変化を見ていくのも面白いですよ。
上田 実際に作ってもらってから調整することも可能ですし、何よりもこれまで蓄積してきた足のデータがシダスさんにはあるので、他のインソールを使うことは考えられないですね!
実際にカスタムインソールを作る工程を上田選手をモデルに体験していこう。
足のマイスター×TECHNOLOGY
SIDAS FITTING LAB
都内のランニングスポットも近い外苑前に昨年オープンした「SIDASFITTING LAB」では、トップ選手を担当する、斉藤さんが一般アスリートに対しても1人ひとり丁寧にカウンセリングしながらカスタムインソールを作ってくれる。最新のテクノロジーとプロフェッショナルの手業の合わせ技で、足の悩みを解決していく。
1 カウンセリング
来店後、まずはカウンセリングを行う。走行距離や故障やケガをしたことがあるか、自覚している不調や不安なことなどを聞きながら、斉藤さんが実際に足を触って、チェックしていく。
2 サイズチェック
デジタル測定を行う。測定器に乗るだけでサイズや足の圧が分かる。足にかかる圧のバランスがリアルタイムで分かるので、立ち方や体重のかけ方のクセもチェックできる。
3 「プレスカム」でデジタル測定
専用マシーン「プレスカム」は歩行時の身体の左右バランス、圧力を測定する。足の着地、蹴り出しの動きが鮮明に分かる。高度な専門知識がないと分析することができないため、国内でもプレスカムを使った測定は数少ない。
4 バランスチェック
バランスの取りやすい「身体のポジション」を確認する。実際に作成するインソールの設計のイメージを確認する。片脚立ちから、数回スクワットしてもらい、力のかかり方をチェック。
5 モールディングと成型
シダス独自の「バキュームシステム」で足型をとりながら、今までの情報をもとに、斉藤さんが微調整を行い、足裏に完全にフィットしたインソールを作成する。
無意識にバランスがとれるインソールを
アスリートがパフォーマンスアップを目的にインソールを作成する場合は、左右のバランスを強制的に修正したり、いわゆる正しい姿勢になるために作るわけではありません。今ある、左右のバランスや身体の様子、普段の運動強度を見聞きしながら、一番自然なカタチで無意識にバランスがとれ、力が入るようなインソールを作成していきます。
作成した後は、シューズにインソールをセットして、実際に周辺を走ってもらいます。そこで違和感があったり、気になることがあれば、その場で修正していきます。
また、上田選手のように、ケガのリハビリの場合やもともと姿勢矯正をご希望される方には、それに合わせて作成していきます。どのようなご要望でもしっかりカウンセリングし、不調の原因や悩みの種を探っていきます。
自覚がある方もいらっしゃいますが、私が足を触って、見ることでケガの形跡や故障しやすい個所などをチェックします。そうすることで、自分でも気が付かなった走りの特徴やケガの原因が見えてきます。
カスタムインソールによって、重要なアーチはもちろん、カカトも包み込むようにサポートすることで、よりバランスが整っていきますので、ぜひ実際に体感していただきたいですね。(斉藤さん)
\リアル&オンライン イベント開催決定!/
上田藍に訊く「ラン強さの秘密」&インソールこだわりガイド Supported by SIDAS FITTING LAB
トライアスリートにオススメのカスタムインソール。今回の誌面で紹介しきれなかった魅力やオススメのポイントなど上田藍選手から直接聞けるチャンス! セミナー後は上田選手とのワークアウトもあり。
日時:11月11日(土)
1回目10:00~、2回目13:30~予定
場所:SIDAS FITTING LAB
参加費:1,000円
【特典】リアル(会場)参加の方には、SIDAS FITTING LAB で使えるスペシャルチケット20%OFF券&ソックスのプレゼントあり!
>>詳細申し込みはコチラ
SIDAS FITTING LAB (シダスフィッティングラボ)
〒107-0062 東京都港区南青山2丁目27-7
コッコーリアルエステート南青山ビル1階
TEL:03-6447-0990
営業時間:10:00~18:00
※インソール作成は完全予約制
【カスタムインソール料金】
ランニング用:27,500円~32,230円
バイク用:27,500円~30,030円 他
【石膏足型コース】
足型石膏作成料 5,500円
※カスタムインソール作成必須。
保管を希望する場合は6,600円
Luminaユーザー限定!
SIDAS FITTING LAB オープン1周年記念キャンペーン
カスタムインソール予約時に「ルミナを見た!」で10%OFF(期限12/24)。※他の割引と併用不可。