特集「あなたにとって最高のトライアスロン体験って、何ですか?」
file.02 飯田忠司さんの場合
南アフリカのイメージが変わったIM70.3の旅。
毎年同じ大会に出るのも良いですが、一度も行ったことのない大会にチャレンジするのも楽しみのひとつです。
そういう意味で、2013年に出場したIM(アイアンマン)70.3南アフリカ大会は、プロカテゴリーでのポイントを稼ぐためにという目的で、勢いで申し込みして出場しましたが、とても強く印象に残った大会でした。
自分自身は初南アフリカでしたし、英語もろくに話せません。
そもそも南アフリカ自体、ネットで調べると治安状況が良くなくあまり行くべき場所ではないという情報のほうが多く出てきますし、大会開催地のEast Londonという場所も、日本からだと、ほとんど情報が得られないような場所でした。
3000人の募集定員がソールドアウト
知り合いに南アフリカに詳しい方がいたので、宿泊先などの手配など色々と教えていただき、何とか現地に辿りつきましたが、現地に行ってビックリ。
この大会が3000人というトライアスロンの大会にしては大規模な大会で、しかもソールドアウトだったということ。
大会運営もとてもしっかりとしていて、MCの方(この方は幼少期に日本に住んでいたとか……)含め大会中やアワードパーティーの盛り上がり方も予想外でした。
(コースは水温が16度くらいとかなり低めで波はかなり高い。しかし外気温は28度と暑い。バイクやランのコースも坂が多くなかなかハードなものでしたが)
トライアスロンをやっているからこそ、行ける場所がある。
日本人の出場者はひとりでしたし、日本人が現地の人にとって、かなり珍しいということもあってか、ホテルや町、店で良く話しかけられましたが、多くの人がとてもフレンドリーで、細かな困ったことがあっても助けてもらう場面が多くありました。
もちろん、お店の表は太い鉄格子に覆われていて、ホテルでは屈強の警備員が目を光らせている。夜はひとりで出歩かないなど注意すべき点はありますが、いい意味で南アフリカのイメージが変わりました。
海外の知らない土地にひとりで出かけて、ちょっとした冒険に出かけたような感覚でしたが、ありきたりな言葉かもしれませんが、世の中にはまだまだ自分の知らないだけで素晴らしい経験ができることが沢山あるんだなと、移動が長いとか、遠征費がかかったとかそんな事は一辺に忘れてしまうほどの沢山の刺激を受けて帰ってくることができました。
もちろん、これは海外でなくてもいいと思います。
国内でも大会に行くと、その過程で、人との出会いや親切に触れたり、様々なことが起こりますよね。トライアスロンをやっているからこそ行ける場所って沢山あると思います。
私自身これからもレースとその旅自体を楽しんで行きたいですね。LM
■著者プロフィール
飯田忠司(いいだ・ただし)
佐渡国際トライアスロンAタイプで2011年優勝、2012年2位に入るなど、ロングディスタンスを中心に結果を残し、競技活動を続けるプロトライアスリート。指導者としては埼玉県川口市を拠点に朝スイム・セッションなどを展開する「I-storm」の代表を務める