連載「達人たちの持ち物リスト」
file.14 渡辺亜希子さん
ロングでの使用率50%以上の「ウインドベスト」
あなたは、「ロングのレースで完走するための必携アイテムで、何を優先順位トップにするか」と聞かれたら、何と答えますか?
私の経験での優先順位1は「ウインドベスト」です。国内、海外のロングに20大会近く出場したなかで、半数以上のレースで使いました。
特に、ロングのレースは島や自然豊かな場所で行われます。天気予報は参考程度にしておかないと、予報よりも悪い方向に急変することもよくあります。
そして、特にランニングの時間帯は午後になるため、風も強まったりします。汗をかいたなかで風が強まる、合わせて身体が疲労でなかなか思うように動いてくれなくなり、発熱しない状況に・・・するとたちまち体幹が冷え、さらに身体は動いてくれなくなる。
そこに、天気予報よりも早く雨が降ってきた、なんてことも重なると、冷えるどころか、低体温症等にもなりかねません。そんな経験をした方も多くいるのではないでしょうか。
そんなときに、ウインドベストさえあれば、体幹を冷やすことなく、対処できます。腕や足が多少冷えても、体幹さえ冷やさなければ、ゴールできる確率はグンと高まります。
ウインドベストは、バイクの時からレースウエアの背中のポケットに小さくたたんで携行すると良いでしょう。おそらく、多くのウインドベストは、小さくたためば手のひらに収まるほどの小ささになってくれます。それをゴム等で結んでポケットに入れておけばバッチリ。
ランに移るときも、ウエアのポケット等に携行して走ります。邪魔にはならず、大きな安心材料になってくれます。
ウインドベストがない場合は、大きなゴミ袋でも良いでしょう。袋の底をあらかじめ頭部と腕が出るように切り抜いておき使用します。しかし、汗が抜けずにゴミ袋のなかでたっぷりと汗をかいてしまい逆に冷えることもあるので、あくまでも忘れてしまったときの対処方法、としていただくと良いです。
「ホットクリーム」はジップタイプの袋に小分けにして使う
また別の方法として、ホットクリームを使用するのもいいでしょう。ジップロックタイプの小袋に入れて携行するのがオススメです。
ホットクリームは、レベルがあり弱いものから強いものがあるので、天候に合わせて選びましょう。寒さを感じる前、「冷えそうだな・・・」と感じたときに、小袋から肌に直接塗ります。このとき、なるべく指に付かないように気をつけましょう。クリームが付いた手で汗を拭ったりして目の近くに触れると大変なことになります。ビニール手袋を一緒に携行してもいいですね。
寒さが予想されるレースに出るときは、ウインドベストとホットクリームの両方を携行するとさらに安心です。
ただしホットクリームは事前に自分の肌に合うかどうかを必ず一度試しましょう。ホットクリームに限らず、本番では必ず一度試して問題なかったことを行なってくださいね。練習等で試してから本番に投入!することでレースの成功率も高まることでしょう。
皆さまの挑戦を、心から応援しています!
■著者プロフィール
渡辺亜希子(わたなべ・あきこ)
山岳競技からトライアスロンに転向し、2007年にはアイアンマン・ジャパンで4位、ロング日本選手権で3位に入るなどロングで活躍。現在は一般社団法人宇都宮村上塾の専任コーチとして、エイジグルーパーを指導する日本体育協会公認トライアスロン指導者。二児の母となった後も2015年佐渡Aタイプ 女子4位、2016年岩手国体出場など高い競技力をキープしている(※今年三女を出産し、三児の母に)