五輪ヘッドコーチに川合貴紀氏
田山・福井両氏も新たに起用
日本トライアスロン連合(JTU)は12月13日、定時理事会後の記者発表で、ロサンゼルス(2028年)&ブリスベン(2032年)両オリンピック・パラリンピックを見据えた新たな強化体制を発表。
オリンピック・ナショナルチームのヘッドコーチに川合貴紀氏(三井住友海上トライアスロン部監督)、次世代ヘッドコーチに田山寛豪氏(4×オリンピアン/流通経済大学トライアスロン部監督)、パラリンピック日本代表のヘッドコーチに福井英郎氏(シドニー五輪日本代表)が新たに就任するなど、大幅に刷新された人材起用で、トライアスロン日本代表の悲願「オリンピックでのメダル獲得」と「パラリンピックでの金メダル獲得」を目指す。
異例のオリ・パラ合同強化を支える
専門家チームの新設も
トライアスロンが五輪正式種目に採用されたシドニー大会から先のパリ大会まで、実質上ナショナルチームをけん引してきた中山俊行氏や飯島健二郎氏、山根英紀氏ら第一世代の元トップ選手・指導者からのバトンを受けた次世代の指導者たちが強化のトップを務める陣容から「体制一新」の印象を強く受けるが、こうした人材起用だけでなく、強化組織自体の在り方も大幅に刷新。
オリンピック・パラリンピック双方のナショナルチームが連携を深め、ひとつの「チームジャパン」として共同で強化を図っていくという新たな方針を打ち出した。
この基本方針に基づく具体的な取り組みとしては、オリパラ・次世代共同の「強化本部」を設置し、月1回の強化本部会議を実施。
オリパラ合同でのナショナルチーム合宿のほか、バイクなどの「種目別コーチング体制」や、情報収集・分析を担う「アナリストチーム」、心理学的な側面から選手強化をサポートする「ウェルフェアオフィサー」など、新たに設置する体制を共有することも検討している。
これら新設の体制・ポジションについては、トライアスロン界以外の外部からスペシャリストを招聘することも検討しているようだ。
オリ・パラ共同での選手強化は他競技でも例を見ない異例の方針だが、東京・パリ2大会連続でオリンピアン(小田倉真)とパラリンピアン(米岡聡=Tokyo2020銅)を輩出している三井住友海上のトライアスロン部監督でもある川合ヘッドコーチは、自身の経験も踏まえ、「ただ同じ練習をするというイメージではなく、例えばバイクコーチなどの種目別コーチングを共有するなど(リソース、ノウハウを共有すること)は有効だと思う」と語った。
目標は明確に「五輪でのメダル」
パラでの金メダル獲得
新体制での具体的な「目標設定」としては、オリンピック男子がメダル獲得、女子はロス五輪での2選手出場、ブリスベンでのメダル獲得。リレーではブリスベンでのメダル獲得を掲げている。
Tokyo2020ですでにメダル獲得を果たしているパラリンピックでは、ロス&ブリスベン両大会での金メダル奪取に加え、2032年ブリスベン大会での「全クラス出場」を目指している。
トライアスロンのチームジャパンは、正式採用されたシドニー大会以降すべてのオリンピックに代表選手を送り込んできたものの、男女ともメダル獲得は果たせていない。数ある日本代表チームの中でメダル獲得を果たせていないのは、あと4つだけだという。
客観的には、崖っぷちに立たされていると言っても過言ではない状況を踏まえて一新された今回の強化体制が、実際どのような結果を出せるか、大いに注目・期待していきたい。
新生チームジャパンを率いる
3ヘッドコーチのコメント
オリンピック・ナショナルチーム
ヘッドコーチ
川合貴紀氏
「2014年からトライアスロン・コーチを務めるようになって11期。(トライアスロンが五輪正式種目に採用された)シドニーから先のパリまで、残念ながらメダル獲得はならなかったが、男子に関しては(直近のロス五輪も含め)常に『メダル獲得』を目標として公言していきたい。女子に関してはロスではまず2名の出場枠確保、8位入賞を目指していきたい」
次世代ヘッドコーチ
田山寛豪氏
「男子のオリンピックでの過去最高位は私のアテネでの13位ですが、これを最終目標とするのではなく、(次世代チームからは)ロスで男女1名ずつの出場、ブリスベンでメダル獲得を確実にできるよう、オリンピック・ナショナルチームとはまた別の枠組みで、中長期的な強化を図っていきたい」
パラリンピック・ナショナルチーム
ヘッドコーチ
福井英郎氏
「パリでは(銀・銅メダル獲得を果たした)東京のようにはいかず、故障者も出てしまったが、今後は(他競技・種目からの)トランスファーも含め、オリ・パラ一体となって強化を進め、ロスで金メダルを獲れるよう突き進んでいきたい」