
Triathlon × Executive Coaching
ビジネスパーソンはトライアスロンで成長できる
トライアスロンへの取り組みを、ビジネスパーソンとしての成長・鍛錬につなげる――
エグゼクティブコーチングの観点から語る、その可能性とヒント!
写真=武智佑真、小野口健太(レース)

山本 聡さん
Satoshi Yamamoto
国際エグゼクティブコーチ、サーポッシブル・コーチング研究所CEO。世界に6万人以上の認定資格者をもつ世界最大のコーチング団体の国際コーチング連盟日本支部(ICFジャパン)代表理事。日米のトップバンクで30年以上の経験をもち、現在は海外の銀行CEOや外資系企業日本代表、上場企業役職員などに対するコーチングとリーダーシップ開発がライフワーク。トライアスロンでは51.5kmから70.3までレース出場経験をもつ。

福田聡子さん
Satoko Fukuda
ウィスコンシン州立大学卒業後、人材育成企業に入社。人材育成のスペシャリストとして活躍の幅を広げ、2000年にグローバル・エデュケーション(株)を設立。2020年より代表取締役を務める。現在クライアントは約400社、大手企業向けのグルーバル化人材・自立型人材の育成などを手がけている。トライアスリートとしては51.5kmからアイアンマン、エクステラまで幅広くレースを楽しむ。
トライアスロンチャレンジで必然的な出会い
山本 聡(以下山本)■ 聡子さんとの最初のご縁は2017年、ルミナのきさトラチャレンジ(※トライアスロンデビュー挑戦企画。以下きさチャレ)でした。我々1期生ですからね。
福田聡子(以下福田)■ そうですね。ふたりともトライアスロンを始める前で、私は始めようと思ったときに、どこかでお世話にならなきゃと思って参加しました。
山本■ 僕は東京マラソンに参加した際、ルミナさんが配っていたチラシを見たのがきっかけですね。「トライアスロンなんて人間ができるものなのか?」っていうのが当時思ったことでしたね。
で、きさチャレに参加し、聡子さんとも出会い、トライアスロンデビューできました。自分が限界だと思っていたものがそうじゃなかった。先に行けるんだっていうのを学べました。
聡子さんとお仕事でご一緒するようになったのは、きさチャレで知り合って6〜7年経ってから。個人で独立してエグゼクティブコーチングを仕事にするようになったときですよね。

写真は2026年のトライアスロンチャレンジ企画メンバー
元々僕のバックグラウンドは銀行員だったんですね。日本の銀行で20年、ベンチャー立ち上げに関わってから、アメリカ系の銀行(JPモルガン)で12年やったんですけど、
その銀行で部署の立ち上げから人を採用して、ひとりで始めた部隊が20人以上になって、それなりのビジネスになって卒業できたんですけど、その間に自分のリーダーシップスタイルについて、すごく悩んだんです。
マルチナショナルで海外諸国のスタッフを雇って事業を進めるとき、どうしたらいいんだろうっていう悩みは純粋にありました。いろんな勉強した中で、いくつか刺さるものがあって、最終的に行きついたのがコーチング。
やっぱり大事なのは、どうやって自分を見つめ、リーダーシップを発揮していくかっていうところにあった。ビジネスを作るということは人を作ることだし、人を作るには自分自身も作らないといけない。
2023年にJPモルガンを卒業後、個人で独立してサーポッシブルを立ち上げ、エグゼクティブコーチに特化して事業展開しています。
福田■ 私は2000年の12月にグローバルエデュケーションという会社を立ち上げて、グローバルと自律型人材の育成というサービスを大手企業向けに展開しています。
才能のある方々が次の職責にチャレンジされるとき、いろんなものを乗り越えなきゃいけなくて、大企業の重要なポジションだと複雑性が高いので、いろいろなことを鍛えたり乗り越え、または捨てないといけない。
そのお手伝いをしています。レベルの高いチャレンジをサポートするのは難しいことですが、難しい課題であればあるほど楽しいですね。
山本■ 難しいことこそ楽しいという思考は、トライアスリートとビジネスリーダーとの共通点かもしれないですね。 難しいときこそ燃えるというか。
福田■ 難しいときこそ、専門の方の底力が出てくるので、そうしたパートナーの力をお借りして前に進む。
山本■ 不可能を可能にするという醍醐味ですよね。
――おふたりがトライアスロンに挑戦するに至って、自分の限界を超えるノウハウを専門家に学ぼう! という思考の行きつく先(チャレンジ企画)で出会っているのは、必然のようですね。
山本■ アイアンマンは ANYTHING IS POSSIBLE という理念を掲げていますが、あれは本当にそうだと思いますよね。できないっていうのは自分の頭の中にあるもので、それをうまく取っ払うことができれば、いろんなことができる。
固定観念とか、できない理由をどうやって取っ払うか、あるいはゴールから逆算すると、どうやってクリアできるのかっていう考え方ができるじゃないですか。それをサポートするのがコーチングなんです。
福田■ キーワードは「内省」。内省をするときに、自分の経験にどういう意味があったかということを意味づけていくんですけれども、それをひとりでやっていると今までのパターンから抜け出せない。そこでプロの力を借りる。
山本■ どんなに天才で素晴らしいアイデアがあっても、やっぱり人間なので、できない理由を思いついてしまう。頭の良い方であるほど、その傾向がある。その点、コーチと話していると、自分でその状況を説明しながら、「そうは言っても本当はできるな」といった感じで、元々やりたかったことを思い出す。
コーチングは、その思い出すのをサポートしてあげるような仕事ですよね。

山本さんとレースデビューをともにした福田聡子さんは、トライアスロンでの挑戦を続けアイアンマンも完走した
トライアスロンとビジネスがつながる点とは?
――トライアスロンはビジネスと何かつながる部分があると言われますが、具体的にどの部分がリンクして、何を意識して取り組むとビジネスでも相乗効果を生み、ビジネスパーソンとしての成長につながると思いますか?
福田■ 私の領域でいくと、エグゼクティブの方々が次のステージにチャレンジするのをサポートするわけなんですけれども、その成否は、極限の状態の中で自分をコントロールしながらパフォームできるかにかかってくる。
極限状態での判断が、ちゃんと目的を達するものなのかどうか試していく中で自分をデベロップしていくっていう部分があるんですね。
例えばハーバードビジネススクールの経営者育成プログラムは、もともと陸軍の将校を短期で育成するために設計されているので、極限状態でもちゃんとパフォームできるかっていう部分を鍛えていくという考え方なんですね。
で、「極限の状況」って聞いて思い出すのは、やっぱりトライアスロン(笑)。その極限状態にあっても、ちゃんと判断をして最後まで行くっていうことを淡々とできるのかどうか、これはビジネスとつながる。
ビジネスって、良いときばかりじゃなくて、いろいろプレッシャーがかかる場面があるので、いつでも適正な判断が下せるかが問われる面は、すごく似ていると思います。

トライアスロン挑戦は修羅場をくぐる練習になる
山本■ 僕にとってはトライアスロンって、人生とかビジネスそのもの。レースでは、まさに極限状態に行くわけじゃないですか。そもそもやらなくてもいいことなのに(笑)あえて限界に挑むわけですよね。
ビジネスはある意味、それをさらに自分の強い意志をもって能動的にやっていくわけですが、自分の限界をどう超えるか、トライアスロンの経験ってすごく生きると思いますね。計画を立てて実行していく過程もそうですし、レースでは往々にして極限状態で、パニックに近い状態になることもある。
いろんなことを準備したとしても、必ず全部が思い通りにはいかない。それってビジネスでも人生でも同じじゃないですか。
トライアスロンは、ビジネスで何か本当に修羅場に陥ったときに落ち着いて対応できる力とか、自分の発揮できる力をここぞというときに発揮するための心構えとか、準備をする「疑似修羅場体験」みたいなところもあります。
それがゲームでできるっていうことがまた楽しい。その後に待っている達成感。美味しいお酒が飲めて、楽しい話ができるというのも醍醐味じゃないですかね。苦しければ苦しいほど終わった後は楽しい。
その後、自分の誇りになったり、次へ進むエネルギーにもなりますよね。

全て自分でやろうとしないビジネスアスリートに
山本■ コーチって本人以上に本人の可能性を信じる必要があると思うんです。本人が「いや、どうせできないよ」って思うとき、そう思わせているものは何なのかを紐解いて、そう思わなかったときの自分を思い出していただいたり、あるいは他の経験を照らしてもらったりとか。
で、「やっぱり自分なら、できるかもしれない」っていうふうに思ってもらえたらうれしい。トライアスロンで例えると、最初は「あんな距離できないかもしれない……」と思っていたことを、なんとか自分で「やりたい!」って思わせるところまでサポートする、みたいな感じですよね。
福田■ 一流のコーチの方は、例えば1時間のセッションの中で、相手の方がお話するのが8割ぐらいですかね。
その2割の中でいかに効果的な良い質問をするかっていうのが結構大事で、その質問によって何かアイデアや考えていたこととか、最後がわからなかったところをパッとわかるようにしたり、
わかってはいたけれども捨てきれなかったことをやっぱり捨てようと思わせたり、そういうことを起こさせるっていうのが、良いコーチなんですね。
山本■ やっぱりアメリカや海外のほうがコーチングが普及していますので、外資系企業のエグゼクティブに対するコーチングの機会は多い。アメリカの会社では例えば執行役員になるんだったらコーチをつけるのが当たり前といったように文化として定着しています。

今回の対談は山本さんのビジネスパーソンとしてのルーツ、丸の内の金融街を望むサーポッシブルのオフィスで行われた
目標の意味から考える
コーチング×トライアスロン
福田■ ビジネスアスリートみたいな感じで、全部自分でやるんじゃなくて、自分に投資をして、より良いパフォーマンスを出せば、それがペイとして返ってくるというふうに循環しているので、上に行けば行くほど専門家がいっぱいついています。
そういう専門家が周りにいないで難しい仕事をやるっていうのは、特にグローバルでは戦闘機を竹やりで落としにいくみたいな、高いスキルギャップがあります。
これを埋めていかないと、せっかく優秀な方が力を発揮できず、もったいない。
山本■ 目標をもって、そこにあるイベントをクリアするための計画的なコーチングというのもあります。1カ月ごとに対話していき、最後に、まさにトライアスロンをクリアするみたいな形で、国際会議を仕切るための準備で1年間伴走するとか。
その会社に何が必要か、ゴールは何かということに応じて、いろんなパターンがあります。

――日本企業全体でいうとコーチングの導入は、まだまだ進んでない?
山本■ 着実に広がってきてはいます。ビジネスもそうですし、医療や公的機関、学校、あるいは企業のスタートアップとか、いろんな場面でどんどん採用されています。 なぜかというと、実際に効果があるからなんですよね。
実績を上げたり、スタートアップの人が諦めずにやり抜く上で、コーチの伴走が効いている。
福田■ そうですね。コーチング、特に経営にかかわる方々を支援するエグゼクティブコーチングは当社でもとても増えている領域です。複雑性とスピードが増した経営環境で、プロの力を借りながら正しいタイミングで正しい判断をしていくことで業績や将来性が大きく変わることは実感しています。
山本さんのような方のお力添えはとても心強いです。
――今回の企画の延長で言うと、トライアスロンでのチャレンジ企画が、本来のコーチングに触れる入り口のひとつになったら面白いですよね。トライアスロンでの目標設定から、そのためのプランニング、準備してひとつの目標をクリアしていく中で、コーチングの考え方を入れたアプローチを実際に体験していく。
一連のプロセスを経ることで、ビジネスパーソンとしての成長にもつながるといった、複合的なメリットが得られる取り組みになりそうです。
山本■ できると思いますよ。やっぱりひとりで悩まないっていうところですよね。何か伴走者がいるとか、壁打ちの相手がいるっていうのは非常に意味がある。それが単にお友達とか親戚ではなくて、プロだっていうところがやっぱり大きいと思うんですよね。
――その場合、トライアスロンでも、ちょっとストレッチした目標設定をしたほうがよさそうですね。
山本■ そうですね。例えばコナ出場、アイアンマン初完走でもいいんですけど、その目標を設定したとき、どういう意味があるのか。そもそも、なんでそれをやりたいと思ったのか。それぞれのストーリーが多分あるんですよね。
それを一緒に紐解く。たぶん自覚してないと思うんですが、その無意識のものを有意識化する、言語化していくっていうのはコーチングの強み。
ただそれを達成したいんじゃなくて、なぜ達成したいのかっていうところを一緒に探ると、やっぱりモチベーションにもつながるし、続けられて、実際達成するまで諦めないでいられる。
福田■ 楽しいチャレンジになりそう。
山本■ トライアスロンを始める理由自体、人それぞれいろいろあると思うんです。
生涯健康なライフスタイルを持ちたいということで始めるっていう方もいれば、シンプルに自分のその年代ごとのピークパフォーマンスをつくりたいという目標の方もいるかもしれないですし。
ビジネスが目的の人もいると思うんですよ。ビジネスのストレスよりもさらにフィジカルなストレス、両方のストレスで回していくみたいなスタイルもあるかもしれないですよね。
ストレスって言い方は悪いですけど、両輪の達成というか、ビジネスの達成、フィジカルの達成を両方していきたいと。自分の人生を本当にマネージしていきたいという人にとって、トライアスロンは素晴らしいスポーツですよね。

山本さんが代表を務めるサーポッシブルは、限界を超え不可能を可能にという理念を体現する93歳の鉄人、稲田弘さんを応援している
トライアスロンをビジネスでの成長につなげるヒント!
Executive Coaching for Triathletes
ビジネスパーソンとしての成長・鍛錬を意識して、トライアスロンに取り組んでみるとしたら、どんなアプローチになるのか? トライアスロンでの目標設定・プランニング~プランを進めていく上でのポイントまでを学ぶことを通じて、今回の企画で紹介したエグゼクティブコーチングの考え方、アプローチの良さを体験できるオンラインセミナー、開催決定。講師はもちろん今回ご登場の山本聡さん。トライアスロン×ビジネスの相乗効果を最大化したい方、要チェック!






















