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JALがサービス開始。DHバー、ハンドル、サドルも外さず収納できる自転車専用ボックス

投稿日:2018年6月26日 更新日:


ルミナ編集部

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日本航空(JAL)、一般社団法人せとうち観光推進機構、合同会社S-WORKSが共同開発した自転車輸送専用ボックス「SBCON」。8月の実証実験スタートに向け、7月2日には、この専用ボックスを利用したモニターツアーのリリースも予定している

最小限の分解で収納OK。破損リスクを低減させたバイクケース「SBCON」

日本航空(JAL)はこのほど、一般社団法人せとうち観光推進機構、合同会社S-WORKSと共同開発した自転車輸送用の受託手荷物専用ボックス「SBCON」(エスビーコン)を発表した。8月から国内線ツアー客向けのサービスとして実証実験を兼ねたサービスを開始し、実際の空港での扱いや料金設定など運用面の課題をクリアした後、全国主要空港などでの本格運用を目指す。

JALでは、日本の人口が減少する中、交流人口の拡大や国内線航空需要の裾野拡大による地域振興に取り組んでいるが、そのキーとして、インバウンド(外国人需要)などともにサイクルツーリズムにも着目。自転車を飛行機に載せる「飛行機輪行」の障壁となっている「分解・収納の難しさ(わずらわしさ)」「(ソフトケース・収納袋の場合の)破損のリスク」「(ハードケースの場合の)持ち運びの不便さ」などを解消するサービスが必要と考えた。

写真左が実際にロードバイクを収納した状態(右は収納前)。前輪を外すのみで、後輪、ハンドル、サドル、ペダルは取り外し不要。フロントフォークはケース底に着かず、破損のリスクを極力減らしている

最小限の分解で収納可能で、輸送中の破損リスクが大幅に減らせるバイクケース「SBCON」は、しまなみ海道でのイベントの自転車輸送サービスなどの実績を踏まえ、「数十回の試作を重ねた結果、出来上がったもの」で、サイズは幅52㎝✕長さ170㎝✕高さ94㎝。厚手のプラ段ボール製で、ウレタン製の緩衝材などを随所に配している。

開発の最終段階では、実際にプロショップであらゆる種類のバイクを積んでみたり、ユーザーとなるサイクリストやトライアスリートから意見を聞いたという。

「SBCON」にロードバイクを収納して説明するS-WORKSのCEO坂本潤氏

フレームやホイールを収納した後、上部にプラ段ボール+ウレタン緩衝材の保護パーツをはめ固定。この上からさらにポリ段ボールのフタをかぶせる構造

ケース内部。ホイールの収まる部分にはウレタンの緩衝材が配されている。ペダルは外さずにポリ段ボール製のボックス状パーツで挟んで固定する仕組み

DHバー装着状態のバイクやステム一体型トライアスロンバイクの使用も想定

トライアスリートとしてうれしいのは、DHバー(エアロバー)を付けた状態のバイクやステム一体型で分解収納が難しいトライアスロンバイク、TTバイクの収納も想定して、対応している点。今後、トライアスリートの間での使用率も増えていくであろうディスクブレーキ搭載バイクにも対応する。

デモ用にはロードバイクが収納されていたが、ハンドル前方にはある程度の長さのDHバーの突き出し部分がそのまま収まるようスペースが確保されている

S-WORKSのCEO坂本潤氏は、トライアスリートによるこのサービスの利用について、以下のように語る。

「特に高価なトライアスロンバイク、TTバイクは航空機輸送中の破損リスクが気になるため、高価なハードケースやそれに準ずるバイクケースを使う方も多いと思いますが、分解・組み立ての難しさやわずらわしさはつきまとうし、ケースのサイズによっては飛行機に積むこと自体ができない場合もあるのが現状。こうした点でこのサービスが果たせる役割は少なからずあるはずです」

JALは将来的に全国の主要空港での展開を視野に入れており、8月からの実証実験では、ひとつの空港で何台までの受け入れが可能か? 航空機一機につき何台までの収容が可能か? といった点やその運用コスト、料金設定などについて煮詰めていく意向。

トライアスロン大会での実証実験、普及はあるか?

「SBCON」による輸送サービスが各地の空港で普遍的なサービスとして本格運用されれば、たとえば羽田空港にトライアスロンバイクを車で運び、空港でこのケースに収納し輸送、到着先の空港でレンタカーに積み替えて大会会場へ――といった安全・確実で、分解・組み立てのわずらわしさも破損のリスクも少ない大会遠征も可能になるが、空港での動線やケースへ収納するスペース、空港係員によるケアなど、具体的な運用についてはこれから。

前出・坂本氏は、今後しまなみ海道でのサイクルイベントはもちろん、トライアスロン大会などでの実証実験も検討できたらと話している。

国内運送料金の値上げなどに伴い、バイク輸送がトライアスリートの大きな悩みとなっているだけに、宮古島大会やホノルルトライアスロンなどJALとの関連性も深いレースや、しまなみ海道エリアで開催されている大会と合わせた実証実験などが展開されれば、より多くのトライアスリートが活用する人気サービスに発展していく可能性は大いにありそうだ。

毎年1500人超のトライアスリートが出場する宮古島大会など、離島への飛行機遠征が多いトライアスリートの間でも「SBCON」のようなサービスへのニーズは間違いなく高いだろう。写真はJTAドームで開催された今年の宮古島大会開会式(撮影/小野口健太)

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  1. 是非とも欲しい。

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