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トライアスロン賢者12人による#うちトレ『PerfectBook』《①千葉智雄さん》

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ルミナ編集部

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2020年はレースがなく、目標を見失った……。オフトレが長引いたような今の状況で、どのような心持ちでどんなトレーニングをどうやって続けていけばいいのか。全国でトライアスリートを励まし続ける指導者12人がこの時期を乗り越えるためのメンタルの保ち方、効果的なトレーニング方法を教えてくれた。いつか必ずやってくる、RaceDayに備えて、いつだってトライアスリートらしく過ごそう!

『Triathlon Lumina』77号(2020年7月号)に掲載した、トレーニング企画の完全版。誌面では紹介しきれなかった内容を余すことなく紹介。

チームゴーヤ―千葉智雄さん

苦手が武器に変わる

今の状況は、「トライアスロン人生最初で最後の大きなチャンス!」と感じています。
仮に1年間レースがないのであれば、「苦手種目の克服のチャンス」に時間とエネルギーを費やしましょう。

スイム、バイク、ランの3種目だけではなく、3種目に必要な柔軟性・ストレッチを追求していくことで3種目のレベルアップだけではなく、生涯スポーツとしてケガ・故障をしない無敵な身体をつくるチャンスです。

エイジグループの方は日頃、お仕事に忙しい中トレーニング時間を確保していて、じっくりストレッチをする時間がとれないと思いますので、身体のリセットには良い時間だと思います。

1年ジックリ苦手と向き合う

たとえば、20年以上前の話ですが、プロトライアスリートとして活躍していた妻・千葉ちはるが20代前半のときにバイクとランは得意でしたがスイムが苦手で、レース展開もスイムから出遅れる場合が多くありました。

そこでなぜスイムが苦手なのか? を話し合い、大胆なフォーム修正をすることにしたのです。

そのときに理想としていたフォームが身につくまで、スピードを上げることでフォームが崩れることを避けるために「大胆なフォーム修正期間に1年かける」と決め、インターバルトレーニングはなくし、フォーミングドリルのみを行いました。同時にレースにも出場していましたが、レース期に入ってもフォーミングのみです

その結果、400mのタイムが急激に上がり、第1集団でスイムを上がれるようになりました。のちに、ロングに転向したときは、スイムから先行することができる選手になり、苦手だったスイムが、逆に大きなアドバンテージになったのです。

ケガや故障を徹底的に治す

もうひとつの例としてはアイアンマンでも活躍した元プロトライアスリート山本敬子さん(旧姓・田中)が現役のとき、足の甲を疲労骨折し全治10週間と診断されました。正直、大切な強化期だったので選手も落ち込んでいましたが、私も「何をしていけばよいのか?」とても悩みました。

そのときに選手と話し合い、ケガをしたから間に合わなかったという言い訳を探すより、ケガの功名になるようにはどうすればいいか考えました。ケガをしていてもできることを洗い出し、そのできる種目・種類を徹底的に追求して「超向上しよう」がテーマになりました。

そのときの練習が、「ローラーで軽いギヤを回すことと腹筋、スイムは壁を蹴らないプルのみ」でした。1日に何度もローラーに乗り、1日に何度も腹筋をしました。

そして、10週間後、久しぶりにバイクライドへ出たら綺麗なペダリングとブレない体幹を習得することができていて、確実に1段階も2段階もレベルアップしていました。そのときのレベルアップが後にロングでの武器になったと感じています。

「1年間レースが無いからヤル気がない……」ではなく、「1年間も苦手種目に集中することができる!」と考え、少し先に必ずくる「シーズン初戦」を楽しむためにコツコツと継続してみてください。

【バイク・ランにつながるサーキットトレーニング】


①ノーマル腹筋
10回~20回
両手をお腹に置きカカトが浮かないように。上体を上げるときに反動を使わない、腰を反らないように注意


②クロス腹筋
10回~20回
上体をひねりながら左右対称の手足を高い位置でタッチをし、手足を下ろすときは地面につくギリギリで止める


③足振り腹筋
10回~20回
足首を90度にし、ヒザを曲げないようにした状態で大きく上下する。腰を反らない。両手はお腹に置く


④V字腹筋
10回~20回
両ヒジ、両ヒザは曲げないように伸ばした状態で、手足を高い位置でタッチする。手足を下ろすときは地面につくギリギリで止める。


⑤プランク
30秒~60秒
腹筋が抜け腰が反ることがないように姿勢を保つ。ヒジは身体の下に置く。この姿勢を維持。

①~⑤を続けて行う。

【3種目に必要なストレッチ】
《スイム》


①肩回りのストレッチ
手を揃えて壁につき、腰を90度に曲げ頭を下ろしながら胸を下におろす(少し胸を上下させ動かす)。ヒジを曲げてしまうと肩のストレッチにならないのでヒジを伸ばしたまま行う。
肩の硬い方は、手の幅を少し広げて行う。


②脇のストレッチ
壁に対して横を向き曲げたヒジを壁に寄せながら脇の筋肉を伸ばす。手を背骨付近にもっていくことでより伸ばすことができる


③体側のストレッチ
チューブや棒を使って体側を伸ばす。下側の手で引っ張り伸ばしている側のヒジを曲げないで行う



④肩甲骨のストレッチ
基本姿勢から両腕を後ろ側にもっていく。これを繰り返す


⑤肩の前側のストレッチ
壁に背を向け、片手を壁につき身体を下におろしていき肩の前側のストレッチを行う。身体を下におろしたときに、肩を前に出すようにするとより伸ばすことができる

《バイク》



股関節の動きをよくするストレッチ①
ヒザを90度に曲げ、【内倒し&外倒し】を左右交互に行う。右・左を繰り返し行う



股関節の動きをよくするストレッチ②
股関節の内側に倒し左右の膝を細かく上下に動かす。右・左を繰り返し行う


股関節の動きをよくするストレッチ③
両ヒザを90度に曲げ、足を内倒しにした状態で両ヒザを同時に上下させてストレッチを行う

《ラン》


ストライドを伸ばす①
足を前後に開き腰を下に落とす。そのときに後ろの足のヒザは地面につかないギリギリのところで止める。上体は前に倒れることがないように背筋を伸ばすことで後ろの足の付け根前部を伸ばすことができ、ランニングのストライドを伸ばすことができるようになる


ストライドを伸ばす②
①と同じ姿勢から後ろの足のヒザを曲げ、カカトをお尻に付くように引っ張る。後ろの足の付け根前部と太ももの前部を伸ばすことができ、ランニングのストライドを伸ばすことができる



ストライドを伸ばす③
前に出した足はヒザを立て、後ろの足は伸ばしたまま上体を前に倒し、横にヒジを付けて臀
筋と股関節を伸ばす。左右行なう

【肩ストレッチ】



①肩のストレッチで曲げたヒジを反対の手で引っ張る。ストレッチをしている側の手は背骨を触るようにする。背中が丸まらないようにして胸を張って、左右行なう


②前の腕を伸ばした状態で身体にひきつけ肩まわりの筋肉を伸ばしていく。ヒジを曲げてしまうとストレッチ効果が落ちてしまうのでヒジを曲げないように、左右行なう


③ストレッチを行う側の腕を背中側に回し反対の手で手首を持ち、体側から手が出るように引っ張る


④ストレッチを行う側の腕を背中側に回し、反対の手でヒジを持ち背骨側へヒジを引く。手先は背骨と触るようにする


⑤ ②と④を同時に行い指先をつかむ

【足首のストレッチ】


正座をした状態から両ヒザを上げて足首のストレッチを行う


千葉智雄さんTomoo Chiba
1991年から2000年までプロトライアスリートとして活躍。引退後、沖縄出身で同じく元プロ選手の妻・ちはるさんとともに「チームゴーヤー」を立ち上げ、後進の育成や一般アスリート、キッズアスリートへの指導、大会運営など普及事業を手がける。
http://www.team58.jp/

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