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「扱いやすく・実戦で速いトライアスロンバイク」CANYON 新型Speedmax実走レビュー

投稿日:2020年11月26日 更新日:


ルミナ編集部

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プロトライアスリート篠崎友が「選手&メカニック目線」で語る、新型Speedmax

11月17日に世界同時リリースされ、トライアスリートの間でも話題沸騰のCANYON(キャニオン)Speedmax(スピードマックス)を、ミドル~ロングで活躍するプロトライアスリート篠崎友がいちはやく実走チェック。

徹底したトライアスリート目線の進化を遂げたとされる新型Speedmaxの進化は、具体的にトライアスリートにどんなメリットと期待をもたせてくれるか? 実感ベースで語ってくれた。

>>11/17世界同時発売時の関連記事:ただのディスク化じゃない。KONA5連覇中CANYON Speedmax 待望のモデルチェンジに見る本気度

ただのディスク化じゃない。KONA5連覇中CANYON Speedmax 待望のモデルチェンジに見る本気度

コメント=篠崎友(プロフィールは記事末尾に掲載)
写真=辻 啓

今季乗り込んだ前作Speedmaxと比べつつ新型の進化を語ろう

篠崎 新型Speedmaxを平坦コースで40kmほど試乗させていただきました。風は微風、所々にアップダウンを少し含むコースをレースペースで走ってみることができました。

今年は10月に出場したアイアンマン70.3セントレアも含め、前作のSpeedmaxに乗り込んでいたので、その前作とも比較しつつ、以下、今回の試乗で実際感じられた新型Speedmaxの印象(インプレッション)を率直に語ってみたいと思います。

自らもポジション調整をしてみて、その調整幅の大きさ・扱いやすさをチェック

■走行シーンごとの「インプレッション」

平地巡航>>少ないチカラで真っすぐ走れる安定感の理由

エアロポジションでの平地巡航では、風の影響を受けやすい向かい風や横風にもハンドルを取られることなく、少ない力で真っすぐ走れる直進安定性が実感できました。

直進中にわざとクイックにハンドルをきる動作を入れても、自転車の前輪の復元力が強く真っすぐ戻るという感覚がありました。

また前作のSpeedmaxでは、ハンドル周りにあったハイドレーションが全てフレーム内装されたことで、横から受ける風でハンドルが切られる影響も抑えられていると感じました。

自分の思い通りにコックピットまわりを調整できるので(試乗当日に短時間で調整したポジションながら)エアロポジション自体もストレスなくキープできたと思います。

加速>>時速40㎞まで、あっという間

当日は、実際の重量を知らないまま試乗しましたが、踏み込みからスッと進む感覚は剛性の高い自転車の特徴だと思います。ダンシングでゼロから加速するときも、ハンドルからペダルまでスムーズに力が伝わり40km/hまで、あっという間に加速することができました。

減速>>ディスクブレーキ化による安心感

油圧ディスクブレーキ化されたことで、当然、少ない力で減速ができるようになり、ディスク化の最大のメリットであるコンディションに影響されないブレーキングで減速のコントロールがしやすくなったと思います。

また、フロントフォークやハンドル周りの剛性が高いためブレーキ時の安定感も高く、ブルホーン部分のグリップの材質や形状もブレーキ時にスリップなどの心配がないつくりで、初めて乗ったにもかかわらず、安心感がありました。

ブルホーン部分のグリップも滑りにくく、ブレーキングの際に握りやすい形状をとっている

ヒルクライム・ダンシング>>低重心化のメリットを実感

ヒルクライムは「常に加速している状態」となりますが、このバイクは入力に対しての自転車の反応が早く、上りでもスピードの維持がしやすかったです。

ハンドル、ステム、フロントフォークの剛性の高さは、ダンシングをする上でも大きなサポートになりました。ダンシング時も違和感のないロードバイクのようなダンシングができます。

今回のニューモデルの一番の特徴でもある「低重心化」のおかげで、TTバイクでダンシングするときに感じる「横に振る重さ」もありません。

コーナーリング、ハンドリング>>ロードバイクのような操作性

最近のバイクはディスクブレーキ化、路面抵抗を考慮して太いタイヤを推奨する傾向があります。新型Speedmaxもフロント25C、リヤ28C、ハンドル周りの剛性、ヘッドアングルによって下りのコーナリング中も安定感が高くなるように設計されていると感じました。

ハンドリング自体はロードバイクのようなダイレクト感のある操作性を感じられます。

■そのほか実走で感じた「インプレッション」

ハイドレーション使用感>>補充しやすく・飲みやすい

今回試乗したSサイズのフレームには、ダウンチューブ内蔵のハイドレーションバッグに水が500cc入るので(※フレームサイズM以上は700cc)、実際、その半分くらい水を入れて試乗してみたのですが、ハンドル周りにハイドレーションをつけていた前作Speedmaxよりも、格段に走りを邪魔しなくなりました。

Hydrapak社と共同開発したという内蔵型のハイドレーションは完成度が高く、乗りながらの補充もしやすい。「抵抗なく水が入っていくスムーズさは、レースには欠かせません」(篠崎)

ハイドレーションギアブランドHydrapak(ハイドラパック)社との共同開発によるフレーム内蔵型ハイドレーションシステムは、給水がしやすく、バイクボトルでもペットボトルでも補充することができます。

パック(ハイドレーションバッグ)からの給水用のストローもパックの出口と口元に弁があり、逆流を抑えてくれるので、一生懸命吸って・タイムラグがあって飲める感じではなく、すぐにストロー内の飲みものを飲むことができます。

ダウンチューブ部分に内蔵されたハイドレーションバッグには、形が崩れて補充の妨げにならないようフレームが入っている

ロングのような長丁場のバイクパートでは、給水やハイドレーションバッグに水を補充するたびに上体を起こしてエアロポジションを崩すといったことのくり返しはトータルで大きなロスになりますが、

新型Speedmaxのハイドレーションシステムは、エアロポジションを崩さずに給水も補充も可能で、正面を見たままストレスなく使えます。

前を見たまま、エアロポジションを崩すことなく補充することもできる

エアロダイナミクス>>前作比プラス1km/hくらいの感覚

実際のところ試乗で空気抵抗を計るのは難しいのですが、今回はスピードメーターを装着していたので、参考としては向かい風40km/h、追い風48km/hで巡航することができました。

前作のSpeedmaxで出場した(アイアンマン70.3)セントレアのレース中のスピードから考えると、プラス1km/hといった感覚でした。時速1kmはアイアンマンバイクパートで7分相当になります。

また横風が吹いた状況では、正面から風を受けるとき以上にフレーム形状、低重心、内装化により空気がスムーズに流れるのを感じることができました。今回試乗した完成車は、前輪も横風に対して考えられているホイール(ZIPP858)が付いているので、トータルとして横風の中でのパフォーマンスはかなり上がっていると感じました。

今回、試乗したバイクはSRAM Red仕様の完成車「Speedmax CFR DISC AXS」価格1,289,000円(税・送料別)

直進安定性>>扱いやすく、ほど良い安定感

設計の上ではヘッドアングルが73度と、TTバイクの平均的な設計よりも立っているのでトラックが少なく、よりロードバイク寄りなクイックな乗り味が予想されましたが、実際に
乗るとディープリムによるジャイロ効果もあるかと思いますが自転車自体が立ち上がる、直進する復元力が強く、高い安定感・安心感を感じました。

また直進安定性が高い自転車特有の「ダンシングでのハンドリングのクセ」も出ていなかったので、扱いやすい印象を受けました。

■ディティール

迫力あるフロントフォーク

フォーク横幅はかなり広くタイヤとのクリアランスをとっています(オンダフォークのような形状)。フォーク自体は薄く、横から見た重厚な見た目とのギャップがある。エアロ効果と剛性、軽さという相反する要素の兼ね合いを、形状でクリアしています。

フロントフォークは正面から見ると極薄で、タイヤとのクリアランスが広くとってある。タイヤクリアランスは28mm(実測幅)

極めて薄いシートステー

フロントフォーク同様にシートステーもタイヤからのクリアランスが広く取られています。横から見ると至って普通のステーですが、真後ろから見ると非常に薄く作られているのがわかります。フレームの中で一番後ろにくるパーツなので自転車後ろの整流効果を考慮した設計かと思われます。

シートステーもタイヤクリアランスは広く30.5mm(実測幅)

ストレージ>>内装のメリットと快適さ

補給食をいつでも取り出せるトップチューブ一体型のストレージと、パンク修理キットを入れるBB上のスペースのふたつ。

エナジーバーやジェルなどの補給食を収納できる、トップチューブ内蔵型のハードシェルボックス。エアロダイナミクスを最適化するだけでなく、ストレージスペースとしても十分使いでがある

前作Speedmaxではトップチューブ上にストレージボックスという装備でしたが、個人的には、ダンシングや信号待ちで脚(内もも)にあたるのが少し気になっていました。新型はこのストレスがストレージ内蔵化でなくなりました。

BB(ボトムブラケット)部分のストレージスペースはツールボックスになっており、専用のツールキット(スペアインナーチューブ、2本のタイヤレバー、CO2カートリッジ用アダプター)が付いている

サドル後ろやハンドル周りに外付けするタイプのストレージは、ハンドリング上や、ダンシング時、横風を受けたときなどにマイナスにはたらくことが多いので、全て内装されたことで快適なだけでなく走行スピードも上がります。

BB部分のストレージスペースから電動変速機のバッテリーにアクセスできる

コクピット>>標準装備のキットで自由自在

ポジションの細かい変更が(追加購入をしなくても)最初に買ったキットだけで幅広く行える。現在乗っているバイクに近づけることもできるし、アップライトなエアロポジションも手首の角度も自由自在なのは嬉しい。

一般的2本のエクステンションバーを1本にした「モノエクステンションシステム」により、コクピットをすっきりとさせ調整の幅を広げている。ガーミンやWahooなどのサイクルコンピューターがマウントできるアタッチメント(別売3,200円)も無段階に調節でき、ストレスのない位置にセットすることができる

バイクに付属するフィッティングキットには、ハンドルの高さやバー先端グリップ部分の幅などを調整するためのスペーサー等が含まれ、低く・狭い攻めのセッティングから、アップライトなセッティングまで幅広く対応できる

シートポスト>>サドルまわりの調整も簡単

サドルレールの固定位置、角度の設定は六角レンチ5mmで確実かつ簡単に調整ができます。メカニック目線から見ると、小さなことですが、サドルレールを固定するボルトが斜め横に配置されていることで調整がかなり楽にできます。

また、サドルの前後位置も二段階のスライドで幅広く選択でき、角度も細かく調整できる。シートポスト自体の固定もフレームに収まる形になっていて固定力は高い。

調整しやすいサドルまわり

完成車の仕様>>細部までレースに投入できるモノばかり

今回はスラム完成車(Speedmax CFR DISC AXS)に試乗しましたが、キャニオンの完成車にアッセンブルされているパーツはどれもレースにそのまま投入できるものばかりで、練習で使うのはもったいないくらい。

そして一つひとつのパーツの価格を考えると、完成車がいかに安いかがわかります。タイヤやチューブに到るまで妥協なく選択されています。

ツールボックスに付属するツールの中にはトピークのタイヤレバーまで

すべてがトライアスロンの実戦を意識して作られている

今回試乗してみて感じたのは、この新型Speedmaxの開発・設計において、より選手ひとり一人がレースで必要としている項目を重視し、トライアスロンという競技に必要な要素を自転車に内装することで、トータルのパフォーマンスを格段に向上させているということ。

一般的に今回のような試乗取材では、ハイドレーション、パンク修理キット(CO2ボンベや簡易ツール、スペアチューブ等)、サイクルコンピューター、補給食などをつけずに行いますが、今回のSpeedmaxは全てが内装されており、実際にレースにそのまま出られるという仕様でした。

バイク単体、アクセサリーなしの状態で高評価でも、実際のレースなどで付けるアクセサリーによってはエアロダイナミクスも操作性も失われてしまう――この点に注目して作られたこのバイクは、間違いなく実戦で速いバイクです。



篠崎友 Yu Shinozaki

ミドル~ロングディスタンスを主戦場に活躍するトップトライアスリート。自らの選手活動を応援してくれるトライアスリートらをメンバーとするチームコミュニティ「モンスタートライアスロンクラブ」(MTC)の代表として、練習会や合宿イベントを主催しているほか、インドアバイク練習会「ローラーズ」などを通じて、一般アスリートへの指導も手がけている。

★篠崎選手がスタッフとして勤務するプロショップ「BIKE&HIKE」でもキャニオン・バイクの組み立て、ポジション出し、オーバーホールなどを受け付けている。

BIKE&HIKE
東京都世田谷区深沢5-2-9 ニューライフ等々力1F
https://bikehike.jp/

CANYONバイク購入~組み立て・アフターサービスは?

製品開発・組み立て・販売・アフターサービスまで、一貫して自社で担っているメーカー直販専業ブランドのCANYON。

前述のようなトライアスロンバイクブランドとしてのイメージやユーザー目線のモノづくりとあわせ、流通コストなどを抑えている分、魅力的な適正価格を実現しており、気になっているトライアスリートも増えているだろう。

ここでは、気になる購入から、組み立て、アフターサービスまでの流れについて触れておこう。

「購入」は公式ストア(オンライン)で

バイクの注文・支払いはキャニオン公式ストアhttps://www.canyon.com/ja-jp/)から行う。モデルやサイズ、カラーを選ぶと、発送予定時期などがわかる。

支払いはクレジットカードまたは国際送金で、バイク等の価格とは別途送料(21,000円)がかかる。

ドイツブランドだが、モデル選び・サイズ選びなどに際に迷ったときは上記日本版公式サイトのフォームから問い合わせるか、京都にあるサービスセンターへ電話・チャットで問い合わせることもできるので安心。

「配送」ドイツ本社工場から直送

バイクなどの商品はドイツ本社工場から発送され、おおむね1週間でユーザーのもとへ届く。

ドイツ本社工場で組付けられたバイク本体は、下の写真のような専用設計の箱で運ばれてくるので、トラブルのリスクも少ない。もちろん、輸送トラブルなどがあった場合は、後述する国内サービスセンターで対応してくれるので安心を。

受け取り時には輸入消費税(総額の6%)を現金で支払う必要がある。

Speedmaxが配送されてきた際の実際の箱。モデルにもよるが、Speedmaxの場合は、ハンドルが付いた状態で送られてくるのでトラブルもより少なく、到着後の組み立てもホイールやサドルを取り付ける程度で、ごく簡単

「組み立て」図解ありの説明書・動画を参照

組み立ては図解付きの説明書を参考に。キャニオン公式ストア内にも5分半ほどのSpeedmax組み立て動画があり、わかりやすい。

公式サイト内の動画「新型Speedmax CFR / CF SLXの組み立て方法」より

また、篠崎選手が勤務するプロショップ「BIKE&HIKE」では、バイクの受け取り、組み立て~ポジション出しまでをサポートしてくれる有料サービス(30,000円)も展開している。

バイク本体の組み立て方からフィッティングキットの使い方まで、わかりやすく図解付きでカバーしている説明書はメーカー直販専業のキャニオンならでは

「30日間返品保証」直販専業ブランドならでは

キャニオンはメーカー直販専業ブランドのため、試乗会などを除いて実車を見たり試乗できる機会は多くない。そのためバイクの受け取り後30日以内であれば理由を問わず返品を受け付ける保証制度を設けている。

万が一実際のカラーが好みでなかったり、試乗してフィーリングが合わなかった場合にはサービスセンターへ連絡すれば、返品を受け付けている。

>>返品手続きのフロー等は公式ストア参照

「アフターサービス」京都のサービスセンターまたは各地のメンテ対応ショップへ

購入後、日本国内でのアフターサービスは、京都のキャニオンジャパンサービスセンターで受け付けている。

同センターでは、製品保証に基づいた無償修理だけでなく、オーバーホールや点検整備などの有償メンテナンスサービスも展開している。

前述のHOZANメカニックアカデミー内特集ページに掲載されている動画解説も、わかりやすく便利。

キャニオンジャパンサービスセンター(京都市南区久世上久世町500-104 TEL06-4560-5500)ではメールでの対応のほかライブチャットでの問い合わせ対応も行っている(営業時間:月~金 10:00-13:00/14:00-17:00※休業日除く)

サービスセンターではキャニオンバイクの補修部品などを在庫しており、きめ細かな修理・交換対応が可能

また、先述の「BIKE&HIKE」のように、キャニオンバイクの持ち込み・有償メンテナンスに対応しているプロショップも各地にあるので、近くに対応ショップがあるか知りたい場合は、キャニオン公式ストアへ問い合わせを。

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コメント

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  1. お問い合わせありがとうございます。篠崎選手は174cm、体重(試乗時は)74kgで、試乗したバイクのフレームサイズは「S」です!


  1. とても興味あります。篠崎さんが試乗されたサイズはどのサイズでしょうか?また、篠崎さんの身長体重も大凡で良いので教えて頂ければ参考になります。よろしくお願いします。

  2. ネガティブなことが一切書いていないので、完璧なバイク、ということなのでしょうか?敢えてマイナスポイントを書くことで、インプレの信頼性が高まります。

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