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新型トリニティ、9年ぶりモデルチェンジの内訳

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大塚修孝

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Trinity Advanced SL

2024年7月のチャレンジ・トゥルク(フィンランド)に新型Trinity Advanced SLを実戦投入し、勝利したグスタフ・イデン。同年10月のKONA(アイアンマン世界選手権)でも新型Trinityを実戦投入している(=写真)

GIANT
New Trinity
飛躍の第4世代。

ジャイアントのトライアスロンバイク「トリニティ」が9年ぶりのフルモデルチェンジ。その進化の内訳とは?

文=大塚修孝(トライアスロン「モノ」ジャーナリスト)
写真=小野口健太

第4世代に至るまでの
「トリニティ」

フルモデルチェンジを果たしたジャイアントのトリニティ(Trinity)。すでにグスタフ・イデンがプロトタイプを使用し、SNSなどで話題に上ってから半年以上経っていたが、今年1月、ついに待望の公式リリースがあった。

KONAバイクチェックインでも新型トリニティとともに注目を集めていたイデン。ディスクホイール使用禁止のKONAでは市販の完成車仕様と同じCADEX Aero 4-Spoke WheelSystemを実戦投入していた

ジャイアントは、今や「トライアスロン」に注力する代表的なメーカーのひとつだ。ブルンメンフェルトによる東京五輪での金メダル獲得、そして、グループブランドのカデックスTRIが翌2022年アイアンマン世界選手権でデビューウィンを飾るなど、近年この分野での活躍は目覚ましい。

「トリニティ」とネーミングされたジャイアントのトライアスロンモデルは今回で第4世代となるが、2009年にKONAでデビューした第2世代から本格的にトッププロも使用するようになり、使用シェア十傑入りするバイクに成長した。

このときのモデルは同年のツール・ド・フランスでラボバンクが使用するTTバイクをトライアスロン仕様に変更したもので、日本では2011年モデルとして販売がスタートしている。

その第2世代をベースにブラッシュアップした第3世代のお披露目は2015年KONAだったため、前作から6年のスパンでのモデルチェンジだった。

トレンドからスタンダードへ移行したフレーム一体型のフューエル&ストレージを備え、トライアスロンバイクの証となる立ったシートアングルは77度、ブレーキ位置も含めエアロダイナミクスを追求した「トライアスロン専用モデル」として登場した。

あらゆるコンディションで高いコントロール性とエアロ性能を発揮するCADEX Aero 4-Spoke WheelSystemと、トップアスリート御用達の超軽量コンポーネントSRAM Red AXSを装備したトップグレードの完成車

TRINITY ADVANCED SL 0
〈完成車〉
■価格:1,705,000円(税込・以下同)
■サイズ:465 (XS), 495 (S),525 (M), 550 (L) mm
■カラー:カーボン・プリズマティックヘイズ

▼詳細は公式サイトでCheck
GIANT TRINITY

さらなるエアロと軽量化
TRIバイクの最新・最適解

そして今回、9年以上の時を経て、ついに第4世代の新型トリニティがデビューを果たした。

この9年の間に「異形ブーム」「ディスクブレーキ化」「フューエル改良」「フィットシステム向上」そして、「エアロダイナミクスの最終形」など各社で様々なアップデートが行われてきた中、ジャイアントが提案するトライアスロンバイクの最適解が、この新型トリニティだ。

前作も評価が高く、人気があっただけにその最新形態が待ち望まれていたトリニティ。その前振りとも言える2022年のカデックスTRIの登場により、一時「トリニティはジャイアントのラインアップから外れるのかもしれない」とも思われたが、高い完成度で復活を果たした。

トライアスロンは尖ったカテゴリーだが、先に展開されたカデックスTRIのほうは「究極」を追求したジャイアントグループのパッションを伝えるスーパーバイクに仕上がっていた。あえてあのタイミングで「異形」フレームを選択したこともエアロダイナミクスへの本気度の高さを感じさせた。

一方、新型トリニティは、汎用性の高いトライアスロンバイクとなっている。

まず、エアロダイナミクスの分析・テストについては、近年ジャイアントの他モデルの開発で使用しているドイツ・インメンシュタードのGST風洞実験施設で実施。動的マネキンを使用し、よりリアルに安定した状態でテストを行っている(=写真下)。

その結果、外観上は、ボリューミーなヘッド周り、前作を踏襲した「C型」シート周り、エアロ効果の大きなフォークの扁平比、サドル下の抵抗減のための細身のシートポストなど、現在考えうる形状としては最終型とも言えるカタチをとっている。

楕円の後部を切り落とした新しい翼型形状のフロントフォークは、フォークレッグ底部がブレーキキャリパーと一体となるようにデザインされ、乱気流を低減させている

軽量性は大きく進化。前作より558g軽くなっているが、注目すべきはその中身。フレーム単体で1,340gと非常に軽く、フォークやシートポストのそれと合わせ、大きな軽量化に成功している。また、しっかり重量剛性比を落とすことなくこの軽量化を実現している点にも注目すべきだろう。

フューエル(補給・給水システム)は、「補充」できることが重要なキーワード。エイドなどでピックアップしたバイクボトルから注ぐ形で水・ドリンクを補充できるようになっている。

トライアスロンの場合、ライド中の余計な動きはエアロダイナミクスに影響が出てしまうため、最低限の動作で補充できるこのシステムはメリット大。今後トライアスロンバイクの標準仕様となっていくだろう。

ハイドレーション・システムは、エイドで取ったボトルなどで大容量リザーバータンクに直接補充できるタイプに進化

今回のモデルは「TTとの兼用」を前提に開発されており、好みは分かれるかもしれない。トライアスロンとTTではかかるパワーが大きく異なるため、そこに求める剛性も変わるからだ。

ただ、元々万人向けの既製品はなく、選手それぞれが自分の力量や好みにマッチするモデルを選んでいくしかない。昨今このジャンルのバイク開発は二極化しており、TT兼用とトライアスロン専用、ふたつのアプローチがあるが、開発スピードを考えると今後はTT兼用の傾向が強くなってくるだろう。

TRINITY ADVANCED SL TRI FRAME SET
〈フレームセット〉
■標準価格:748,000円
■カラー:カーボン・クローム
■付属品:フォーク、ハンドルバー&ステム、シートポスト、トップチューブストレージ、ハイドレーションキット、コンピューターマウント付属

▼詳細は公式サイトでCheck
GIANT TRINITY

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