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>>トライアスリートのためのメンタルトレーニングVol.07
「サニーフィッシュ」の選手をはじめ、多くのトップアスリートやビジネスパーソンを指導するメンタルトレーニングコーチの森下健さんが、心の鍛え方について語る連載コラム。スイムコーチとしての経験ももつ森下さんが、どんなレースも乗り越えることができる「折れない心の作り方」について伝授してくれる。
『Triathlon Lumina#98』に関連記事あり。
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>>集中をコントロールしてパフォーマンスを高めよう②
レース前の自信の作り方~マインド編
皆さんこんにちは! メンタルトレーニングコーチの森下です。
先日、横浜トライアスロンのリレーに出場してきました! 苦手なランの担当だったのですが、皆さんの応援にエネルギーをもらってワガママボディもなんのその、楽しく気持ち良く走ることができました。
特に給水所でドリンクを渡してくれていたキッズたち。おじさんはそういうのに弱いのです。ありがとう、おかげさまで頑張れました!
まだまだ、シーズンは始まったばかり。引き続きレースを楽しんでいきましょうね。
さて、今回のコラムは「レース前の不安」についてです。
トライアスロンは競技時間が長く、環境に左右されるスポーツですから不安はつきものです。不安を感じたとき、どのような考え方や準備をすれば良いのかをご紹介します。まずは考え方(マインド編)からです。

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そもそも不安はなぜ起こる?
不安はなぜ起こるのでしょうか? の前に「不安ってなんだろう?」から説明します。
不安は「まだ見ぬ未来の失敗や危険をイメージすることによって起こるネガティブな反応」のことを言います。
まだレースが始まってもいないのに「完走できるかな」「ミスしたらどうしよう」「負けたらどうしよう」といったようなことを考えてしまうわけです。
不安と似たような言葉にプレッシャーというものもあります。プレッシャーは「期待、責任、評価を感じる状況や心理的負荷」のこと。
つまり、不安は「自分の内面」から発生して、プレッシャーは「自分の外側」から発生するものということです。そして不安が大きくなればなるほど、プレッシャーを感じやすくなります。
たとえば、「結果を期待されている」「負けられない」「注目されてる」というのは、ただの”状況”で、それに対してどう捉えるかはその人次第です。注目されたほうがうれしい人もいれば、注目されると恥ずかしいと思う人もいます。
注目されたときに「ミスしたらどうしよう……」「結果を出さなければ評価が下がる」とネガティブなイメージ(不安)が出てきてしまう人は、プレッシャーを苦しく感じやすくなります。
どのような時に不安(ネガティブなイメージ)が出てきてしまうのかをまとめますと、
①結果や評価ばかりを意識している
結果や評価というのは相手がいることなので、自分ではコントロールすることができません。コントロールできないことばかりにフォーカスしてしまうと不安は大きくなります。大切なのは結果や評価ではなく、成長やチャレンジにフォーカスすること。何にチャレンジをするかは自分自身でコントロールすることができますからね。
②できないことをやろうとしている(目標が高過ぎる)
練習以上のペースでレースをしようとしたり、目標を高く設定してしまうと、「できるイメージ」が湧かなくなって不安が大きくなります。レースではできることを最大限発揮すること、ちょっと頑張れば達成できると思える目標を設定することが大切です。
③苦手意識がある
苦手意識のあるものは、当然できなかった時のイメージが大きくなります。ただし苦手意識というものは周りと比べたときに出てきやすくなるものですから、過去の自分と比べてどれだけチャレンジするか、成長できるのかを意識していきましょう。
④どうすればいいかわからない/どうなるかわからない(目標・プランが不明確)
この先どうなるかわからない、予測しずらいことも不安は大きくなります。なんとなく漠然と準備をするのではなく、(適切な)目標を立てて、達成するためのプランを立てることで、今すべきことが明確になり、「これをすれば大丈夫」という気持ちになります。
⑤やったことがない(行ったことがない)初めてのレース
初めての経験では不安は大きくなるものです。初めてのレースや初めての場所、距離の場合は当然不安になります。初めての中にも初めてを失くすための工夫をすると不安は軽減されます(実践編にてご紹介します)。
このような要因があると不安は大きくなります。
先ほどもお伝えしましたが、不安は、「まだ見ぬ未来の失敗や危険をイメージすることによって起こるネガティブな反応」のことです。自分の思考や捉え方によって、ネガティブなイメージを作ってしまうのか、ポジティブなイメージを作れるのかは変わってきます。
不安とうまく向き合いポジティブなイメージを作ることができれば、プレッシャーは前向きなエネルギーに変えることもできるのです。

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トップアスリートだって不安になる
前回のコラム(集中)でもお伝えした通り、レース前に不安になることは自然なことですし、オリンピックに出場するようなトップアスリートでも大事な試合前には不安になることもあります。ですから不安を感じてしまっている自分はメンタルが弱いんだ、ダメなことだと思う必要はまったくありません。
不安やプレッシャーをダメなことだと思ってなくそうとしても、そう簡単になくなったりはしませんから、「やばい……不安がおさまらない……どうしよう……」と、不安はさらに大きくなります。不安やプレッシャーと闘ってしまうと、余計に不安やプレッシャーは大きくなるという悪循環に陥ります。
そうならないためにはどうすればいいのか。それは、前回のコラムでもお伝えしたとおり、「不安やプレッシャーを受け入れる」ことです。
“霊長類最強女子”と呼ばれていたレスリングの吉田沙保里選手も、オリンピック3連覇がかかったロンドンオリンピックでは、「不安で眠れなかった」と取材で語っていました。眠れなかったとしても、今の状況を受け入れてやるべきことに集中し、試合に臨んだわけです。
結果は皆さんもご存知の通り、金メダルで3連覇。霊長類最強女子だって不安になるわけですから、僕らのような一般霊長類は不安になって当然なのです。
このような「自分だけではない」「みんな同じなんだ」と思えることを専門的に「一般化」と言います。不安やプレッシャーだけでなく、悲しみや焦りなどネガティブな気持ちも一般化をすることで、心は落ち着きセルフコントロールしやすくなることがわかっています。
まず大前提として「みんな不安やプレッシャーは感じるもの」という認識を持つことが大切だったりします。
準備=自信
不安がない(少ない)状態を言い換えると、「自信」がある状態、「自分ならできる」というイメージを持てている状態です。自信は実力発揮においてとても大切な要素になります。
ただ、自信と言っても「崩れやすい自信」と「崩れにくい自信」がありますので、自信の中身がどうなっているのかを説明します。
自信は「結果」「長所」「準備」の3つから構成されています(図1)
【図1】

皆さんはどの自信が崩れやすく、崩れにくい自信だと思いますか? また、皆さんが持っている自信はどの要素が強いでしょうか?
勝敗や順位、タイムといったものから作られる自信
「長所から作られる自信」
スイム、バイク、ランそれぞれの得意なもの、体力、技術などによって作られる自信
「準備から作られる自信」
日々の練習量や練習内容、レースへの対策やプラン、日常生活とのバランス、人間関係の構築など準備によって作られている自信
の3つから自信は作られます。
この中で一番手っ取り早くつけられるものが「結果から作られる自信」です。勝てば自信が付きますし、褒められれば自信がつきますし、周りと比べて自分が優れていると思えれば自信がついていきます。ただし、いちばん崩れやすいのもこの結果から作られる自信です。
どんな競技でも、仕事でも、何にでも言えることですが、勝ち続けること成功し続けることはほぼ不可能です。猿も木から落ちますし、大谷翔平選手も空振りをするんです。
勝った、褒められた、自分の方が上手いといった、結果だけで自信を作っていると、負けた時、ミスした時、自分より上手い人がいた時に、その自信は簡単に崩れてしまいます。
スポーツはよくも悪くも、勝敗や順位、タイムとして結果が顕著に現れます。
だからこそ結果に意識が向きやすく、結果によって一喜一憂しやすくなってしまうんです。
一方で準備から作られる自信は、練習や日常生活の意識、人間関係など日々の積み重ねで作られる自信です。
結果から作られる自信とは違って、コツコツ型の自信なので、高まるまでに時間はかかりますが、積み上がればそう簡単には崩れないのが特徴です。「これだけやってきたからもう大丈夫だ」と思えているならば、準備よって作られる自信は高まっている証拠です。
メンタルトレーニングにおいては「準備=自信」と言います。
レース前に不安を感じているのであれば、それは「準備不足」です。「負けたらどうしよう」「ミスするかも」と不安が大きくなってしまうのは準備不足からくるものです。
そういった不安となり得る要因を、日常生活や練習の中で対策を立ててひとつずつ潰していくことができれば、なにが起きても焦らずに冷静でいられるようになります。どれだけ準備してきたかで、本番での実力発揮度が変わると言っても過言ではありません。
野球界のレジェンドであるイチロー選手も「成功するかどうかの80%は準備で決まる」と言っています。それほど準備は大切だということです。

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結果だけで作った自信は崩れやすく、準備から作った自信は崩れにくい
これだけ聞くと結果で作った自信は良くなくて、準備で作った自信が良いものと捉えられてしまうかもしれませんが、それは少し違います。
たとえば、準備に時間をかけて、たくさん練習をして本番に挑んだのにで勝てない、タイムが出ない。何度も何度も準備はするものの結果として現れない……ということでは自信も高まりませんよね。
つまり、「結果から作られる自信」も「能力から作られる自信」も「準備から作られる自信」も、どれも欠けてはならないものでバランス良く備わっているのが理想だということです。「だけ」になってしまうのが良くないということですね。
準備が大事だということには変わりはありません。徹底的に準備をして、その準備から自身(能力)の成長が感じられて、結果として勝利や評価に繋がるというのが理想の自信の作り方です。
この自信の作り方の流れで、小さいチャレンジを積み重ねていくと「努力をすれば自分ならなんでも出来る!」と思えるようになっていきます。すると、なにかチャレンジをする際に、うまくいってるイメージをたくさん作れることが出来るので、不安よりも「早くレースをしたい」「次はこういうチャレンジをしたい」という気持ちが強くなってきます。
レース前に「早くレースにならないかな」という気持ちができていればもう完璧です!
次回のコラムでは準備の自信を高めるためのトレーニング方法(実践編)をご紹介します。
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森下 健 Ken Morishita
学生時代は競泳選手として活躍。引退後は水泳指導者として多くの人を指導する中で、自身の「ここぞという試合で勝てない」という経験からメンタルトレーニングに興味をもち、応用スポーツ心理学を学ぶ。2013年、細田雄一選手のサポートをきっかけにトライアスロンに出会い、自身もレースに出場。2020年よりサニーフィッシュで水泳コーチ兼メンタルトレーニングコーチとしてメンタルトレーニングを実施。スポーツの他、企業や学校などさまざまな分野でメンタルトレーニング講演会や心理面のサポートを行う。


















