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【Interview】トライアスロン界のアイコンとして 上田 藍「挑戦する喜び、成長していく達成感を伝えたい」

投稿日:2021年6月28日 更新日:


ルミナ編集部

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強さを支える、楽しみ。

トップレベルのランを武器に3度のオリンピック出場を誇る上田藍。長い競技人生の集大成として、2021年の日本選手権で7度目の優勝を目指し、それを機にオリンピックへの挑戦に終止符を打つことを決意した。印象的な笑顔で周囲をハッピーにする彼女の芯にあるのは決してあきらめない強い気持ち。長きにわたり戦い続ける秘訣とは。

※内容は5月取材時点。

文=須賀啓太
Text by Keita Suga

©KentaOnoguchi

上田 藍 Ai Ueda
1983年、京都府生まれ。ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター所属。オリンピック3大会連続出場。日本選手権6回優勝。2016年ITU世界ランキングで3位に入るなど、安定した成績を残し、日本トライアスロン界をけん引するトップ選手。

編集部◆まずWTCS横浜お疲れさまでした。レースを振り返ってみていかがでしたでしょうか。

上田◆率直に言って良い部分と悪い部分の振り幅が広いレースでした。良い部分は少人数でバイクを追った後でもプライベートベストのランラップが出せて、自分の得意とするランで仕上がりの手応えを得られたことです。

ただ課題としていたスイムで、練習ではタイムが出るようにはなっていたのですが、重点を置いてトレーニングしていたウエットスーツ着用のレースではなかったことやスタート位置などいろいろな要因があって、またそれらに対する修正力もレースに出ることで得られるので、コロナでレースが少なくなったことも影響していると思います。

もちろん悔しい気持ちもあるのですが、今の状況を知れて「よし!」という気持ちのほうが大きいので次戦のイギリス・リーズ大会に向けての3週間しっかりやっていきたいと思っています。

©World Triathlon Media_Wagner Araujo

編集部◆今回感染対策の為バブル方式で横浜大会が開催されましたが、隔離中はどのように過ごされていたのですか?

上田◆私は普段レース前にしっかりとした休息をとることが多くて、今回バブルに入ることで動けないのであればそこを効率良く事前に行った高地トレーニングからの回復、テーパリングにあてました。ホテルに入ってからの食事は部屋の前にイスが置いてあって、時間がくるとその上に置かれたお弁当を取って部屋で食べるといった感じでした。

いつもはまず競技説明会で選手一同が会すことでレースが始まるという雰囲気を感じていたのですが、今回レース直前になるまで一堂に会すことはなく普段と違う感情の変化を感じていましたね。

ただ今回は日本での大会で食事量などホテルの方がいろいろとすぐに対応してくださったところもありますが、次戦はイギリスでレースなのでどう対応してもらえるのか分からず、食べたいものが食べられない可能性があります。

今回、ホテル滞在中の食事(主食)がパンだったときは、私はお米でエネルギー補給をしたかったので、お米が炊ける小さな電気クッカーと1合ごとに小分けしたお米を持参して、部屋で作って食べていました。

© World Triathlon Media_Delly Carr

編集部◆普段使っている愛用品であったり、こだわりの物を紹介していただけますか?

上田◆私、心配性で荷物をいっぱい持ってしまうタイプで、バックインバックと言いますか、それらを整理して入れておく小物入れの袋を母が趣味の裁縫でいくつも作ってくれるのですけど、それらを愛用しています。

その袋の生地の柄を選ぶのが私は大好きで、家でゆっくりしているときなんかネットでくまなく探していろいろカートに入れておいて、後でじっくり選んで購入したりしています。あとは面白い柄のTシャツを集めるのも好きですね。

編集部◆オフの日は何をして過ごされていることが多いですか?

上田◆元々すごいインドア派なので、先ほどの小物入れの袋の生地を選ぶのもそうですが練習のない日は家でゆっくりしていることが多いです。美味しいコーヒーを淹れたり、部屋の中で充実するものを探すのが好きなので、ある意味このコロナ禍のバブルに入っても充実して部屋の中で過ごさせてもらっています。

また海外遠征のときはテレビで音楽番組をかけながら本を読むことが多いですね。王道ですけど伊坂幸太郎さんや東野圭吾さんが書くような予想外でビックリする展開になる小説が好きなのですが、ハズレがないので、その作家の本ばかり買って読んでしまう冒険できないタイプなんです(笑)

編集部◆以前甘いものが大好きだと伺ったのですが。

上田◆大好きです。小さい頃からホットケーキに無塩バターをドーンと置いて食べるのが好きで、今も生クリームとかイチゴとかをホットケーキに乗せて何枚でも食べれますし、オフの日も甘いものが食べたいなと思ったらシュークリームなどを買いに行って食べます。

元々母がケーキなどをよく作ってくれて、幼い頃から甘いものを食べるという幸せ感というものが刷り込まれているので止められないですよね。

また甘いもの食べたいときって、たとえばハードなトレーニングの後で疲労が出るときだったり、寒い冬の日のバイクライドの途中休憩のときはチョコエクレアを食べるというように、シチュエーションによって食べたくなるものが決まっていたりするんですよ。

でもやっぱり甘いものを普段の食事の前とかに食べちゃうと、ちゃんとした栄養を摂る前にお腹一杯になっちゃうので、甘いもの食べる時間はちゃんと管理して食べています。

©World Triathlon Media_Delly Carr_

編集部◆トライアスリートとしての最終的な目標は何ですか?

上田◆有るものと無いものがある中でいかに自分を成長させていけるか、どんな状況でもフラットな心で幸福感を見つけられる「順応力」をトライアスロンと出会ったことで教えてもらいました。

また目標に向けて苦しい練習であったり辛いものを乗り越えなければならなかったりするんですけど、それを苦しいまま辛いまま乗り越えようとしても絶対続かないと思うんです。

それを楽しんでクリアしていけばいいんだというプラス思考へのもって行き方も学ばせてもらいました。そういったトライアスロンの環境じゃなくても生かしていけるようなことを経験談を交えてお伝えてしていければと思っています。

© World Triathlon Media_Wagner Araujo

また以前トライアスロンに関連した旅行ガイドブックを作ってみてはと勧められたことがあるのですが、トレーニングができる場所や、ホテル、レストランの情報など、トライアスロンをやっていなければ行くことのできなかった場所の魅力も伝えていきたいですね。もちろんトライアスロン自体の魅力も発信していきたいです。

私はトライアスロンを通じて、挑戦する喜びや成長していく達成感を得ることができたので、大好きなトライアスロンをもっと多くの方に知ってもらいたいですし、愛好者の方もこれからチャレンジしたいと思われている方に対しても、こんな楽しい世界があるんですよということを私なりにずっと伝えていきたいと思っています。

Race Style Gallery

©KentaOnoguchi

【Helmet】
レイザー ジェネシス・アジアンフィット

EUの安全規格(EN1078)をクリアする安全性能と、Sサイズで190gという軽さを両立。レイザーのアジアンフィットモデルの中でも最軽量を誇る。

「私は頭が小さいほうなんですけど、レイザーのヘルメットは頭の後ろのところにあるダイヤルで簡単にフィットさせることができて、またアジアンフィットなので海外のメーカーのものよりも頭へ載せた感触がしっかりしています。かといってロングライドしていても圧迫感を感じたり、頭が痛くなることはないので、その点はすごく気に入っています。後ろにライトがついていたり、サングラスをかけるときに柄があたらないのも使い勝手が良くていいですね」(上田=以下同)

【Shoes】
シマノ TR9

「ストラップを外すとガバッっと足の出し入れがしやすい形状になっているので、特に素早く切り替えたいスイムからバイクへのトランジションもスムーズです。ふたつのストラップによる足のホールド感もしっかりありつつ、硬すぎない。長時間はいているとだんだん足がふやけて、サイズ感が多少変わるんですけど、TR9はそんなときも窮屈な感じがしません」

【Wheel】
シマノ DURA-ACE C60/
C40 チューブラー ホイール

「私は結構軽量の選手なので平地で風が強くなければ、転がりが良くスピードの出しやすいC60(60㎜)をチョイスしていますが、風以外にもコーナーが多いコースでは立ち上がりの加速を良くするために前輪だけでも軽いC40(40㎜)にするなどコースに合わせた対応をしています。体格の良い方は風に対しても踏めるので、リムの高いものを選んだほうがイージーだと思います。逆にホイールの重さを感じるとか、コーナーの立ち上がりでモタつく方であれば、リム高が低いほうがシャキシャキ走れると思いますよ」

【Bike】
ブリヂストン アンカー RS9s

>>上田選手のインスタはコチラ

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