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日本代表4選手、初めてのオリンピックへの意気込み語る

投稿日:2021年7月1日 更新日:


ルミナ編集部

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オンラインでの記者会見に臨んだチームJAPAN@Tokyo2020 4選手

全員がオリンピック初出場
Tokyo2020日本代表4選手が記者会見

いよいよ開幕まで1カ月を切った東京オリンピック。6月22日にはトライアスロン競技の日本代表(内定)メンバーも発表され、同30日にはオンラインでの代表選手記者会見が開催された。

代表内定メンバー全員が、オリンピック初出場となったフレッシュな「Team JAPAN」4選手の会見での受け答えから、トライアスリートが気になるコメントをまとめてご紹介しよう。

暑熱対策も万全に、チームに良い流れつくれるエースに
高橋侑子(富士通/東京)

 

©Kenta Onoguchi

――オリンピック出場を決めた、今の心境は?

高橋 うれしい気持ちと、感謝の気持ちでいっぱいです。

5年前は本当に悔しい思いをしたのですが、そこからたくさんの方に支えていただいて、ようやくここにたどり着くことができて、今はとってもワクワクしています。

――5年前、リオ五輪で代表入りを逃した後、海外チームに活動の場を移しましたが、そこで得たものを、あらためて今振り返ると?

高橋 どんな環境にも対応できるようなタフさも身に付いたと思うし、トライアスロン以外にも、語学などたくさんのことを学ぶことができたと思います。

昨年(2020年)は(コロナ禍で)3月末、4月くらいに日本に一度、帰国することになり、12月にふたたび(ヨーロッパに拠点を置く)チームに合流しました。現在(6月30日)はポルトガルの最南端、スペインの国境に近いモンテゴルドという小さな街にいます。

(一時帰国して)チームを離れていた期間は、館山(千葉県)などで細田雄一選手や、田山寛豪監督(オリンピック4大会連続出場)率いる流通経済大学トライアスロン部の選手ら、男子選手とも練習をともにする機会もあったので、

まったくひとりでトレーニングをしていたわけでもなく、すごく有難かったですし、チームのコーチ(パウロ・ソーザ)も自分のことをよくわかってくれているので、「できることは限られているけれど、まずは心身ともに健康であるように」と気を配ってもらえたり、リモートでうまくコミュ―ケーションがとれたと思います。

――今回のオリンピックで見せたい「自分の姿」とは?

高橋 もちろんメダル獲得は大きな目標ですが、まずは今まで自分がやってきたことをしっかり出して、元気にレースする姿を見せたいと思います。

――この5年間で、最も自分が進化した点、強くなった点は?

高橋 やっぱり海外に生活の場も移して。いろいろな経験を積んだことで「タフになったこと」が一番だと思います。トライアスロンは自然を相手にする競技でもあるので、レース会場によって、本当に状況が変わってくるのですが、

今までは日本から海外へ遠征して、「異国の地で(レースを戦う」」という意識が、ちょっとあったと思うんですが、今は海外のレースでも変に気負わずに、練習の延長で戦えるようになったのは強みかなと思います。

――一昨年の東京オリンピック・テストイベント(OQE)では、普段、ヨーロッパを拠点に活動されている分、日本の蒸し暑い気候・高い水温に合わせるのに意外と苦労していたが、今回、オリンピック本番に挑むにあたって、新たに対策は練っていますか?

高橋 今回は7月20日くらいに日本に入る予定なのですが、暑熱対策は3種目通して行っています。テストイベントを経て、そのあたりの課題がより明確になっているので、今、コーチと相談しながら着々と準備を進められていると思います。

今のところ私を含めチームから7選手が(東京五輪の各国代表に)内定しているので、みんなで一緒に暑熱対策のトレーニングを積んでいるところです。

多い時は週5回、コーチが温度・湿度管理する「ヒートルーム」(ヒーターを入れた部屋)で90分間、ローラー台でのトレーニングを行っています。

室温35~37℃、湿度60~70%くらいで、深部体温を計るピル(カプセル式深部体温測定器)を飲んで、体温を38.5℃でキープしながらこぎ続けるということをやっています。

――WTS横浜で4位入賞するなど好調だった2019年までと比べると、2020年は少し成績を落としていた印象があるが、コンディションは調子の良いときか、それ以上に上げられているという実感はありますか?

高橋 今年のレース、WTCS横浜もリーズも、なかなか思うとおりにいかなかったのですが、そこで逆にいろいろな意味で刺激も入りましたし、レース感覚というのも大分戻ってきたので、東京という明確な目標に向けた課題もわかっているので、そこに向かって取り組めていると思います。

――名実ともに「日本のエース」となりましたが、そうした意識は?

高橋 なかなか自分がエースだという意識はなかったんですが、今回代表内定したメンバーの中では、自分が一番年上ですし、レース経験も多いほうだと思うので、その自分が不安なところを見せてはいけないと思いますし、自信をもって臨んで、チームに良い流れをつくっていけるような立場になれたらと思っています。

「フォーム改善」でつかんだオリンピックへの挑戦権
岸本新菜(福井県スポーツ協会・稲毛インター/福井)

 

©Kenta Onoguchi

――オリンピック出場を決めた、今の心境は?

岸本 率直にうれしい気持ちと、時間が経つにつれて実感が湧いてきて、気が引き締まる思いで一杯です。

――同じチームの上田藍選手(オリンピック3大会出場)から、何か言葉はかけられましたか?

岸本 明後日(7月2日)から、長野県で大会に向けた合宿を行うのですが、「大会に向けて、全力でサポートするよ!」と言っていただきました。

(代表内定が)発表されたときは、私が国内、上田選手は海外と別の場所にいたのですが、オリンピックに向けたコーチとのオンラインミーティングを行ったときに、上田選手にもサプライズで参加していただき、そのときに声をかけていただきました。

自分にとって上田選手は目標であり超えたい存在です。競技の面はもちろん、人間性という面でも、明るく、優しくて、まわりを元気づけられる姿はすごくカッコよく、アスリートとしてだけでなく、ひとりの人間としても尊敬できる先輩です。

――安定した結果が続いていますが、成長できている要因は?

岸本 昨年から強化してきたところが練習でも伸びてきているなと。それがレースで出せたのが、結果につながったのかなと思っています。「あまり浮き沈みがない」という自分の持ち味が発揮できたのかなと。

(具体的には)特にスイムとランが伸びたと思っています。

昨年、コロナ禍でオリンピックが開催延期になってしまった中、スイムとバイクはコーチをつけていただき、ランはトレーナーさんに強化をしていただき、フォームが変わっていきました。

スイムは世界のトップ選手と比べ上半身が華奢なほうなので、とにかく上半身を強化して、「大きく泳ぐ」ことを意識したのがタイムにつながっていったのと、

バイクは元々得意なほうではあったのですが、フォームについてはまだまだ改善点があったので、コーチと一緒に乗りながら、フォームを改善していきました。

ただ、WTCS横浜・リーズでは、自分ではあまり納得のいくレースができなかったので、「伸びたな」という手ごたえを感じたというより、「まだまだ課題が多いな」と感じることのほうが多かったです。

(WTCSのような大きなレースでは)経験が浅いぶん、まわりの選手に圧倒されてしまっていたのですが、横浜よりリーズと良くなってはいると思うので、レースを積んでいく中で課題を克服・改善していきたいなと思っています。

――「浮き沈みがない」という持ち味を支える、ルーティーンなどはありますか?

岸本 自分にとって「良い展開」にもっていけるかどうかを常に考えていて、スイムで良い位置で上がれたら「あぁこれは自分に良い流れがきている!」とか、バイクで(前の集団に)追いつけたら「あぁこれ良い展開だな!」といった具合に、レースの中での「気持ちのつくり方」は、すごく得意なほうだと思うので、そういうのがレースの結果につながっているのかなと。

――オリンピックへの意気込みを聞かせてください。

岸本 今回オリンピック初出場ということで、チャレンジャーの気持ちでレースに挑んで、世界の強豪選手と戦って、上位を目指して頑張っていきたいと思います。

今回のオリンピックコースは走ったことがないのですが、コーナーが多いテクニカルなコースで、バイクが得意な自分にとっては有利なコースじゃないかと思っています。

レースでは後のことは考えず、バイクでもランでも「攻めたレース」をしていきたいと思います。

オリンピックは自分が目指してきた大会で、ほかのレースとは背負っているものが違うなとは感じていますが、やることは変わらないと思っているので、自分らしいレースができたらいいなと思っています。

大躍進のきっかけは、科学的なトレーニング強度管理
小田倉真(三井住友海上/東京)

 

©Kenta Onoguchi

――オリンピック出場を決めた、今の心境は?

小田倉 2013年9月にオリンピックが東京に来ると決まってから、この8年間、その舞台で世界の選手と戦うというのを目標に努力し続けてきました。

(WTCS横浜で代表入りを)決めたときは、正直その場では実感がなくて、信じられないという気持ちでしたが、時間が経つにつれて(実感が湧いてきて)家族や会社の皆さん、私のオリンピック挑戦を支え続けてくれた皆さんにすごく感謝をしております。

本番に向けて、残り日数は少ないですが、しっかりやれることはやって準備していきたいと思います。

――横浜、リーズで努力が実った、この1年で伸びた要因は?

小田倉 2020年の4月ころからナショナルチームでパトリック・コーチのもと、コンセプトを変えて、高地トレーニングを多く取り入れました。

高地トレーニングを取り入れながら、今までは「短時間高強度」のトレーニングが多かったんですが、しっかり乳酸値を見ながら、強度管理をするようになりました。

強度をしっかり見て、あまりガムシャラになりすぎないような練習をするようになり、それを約1年続けてきた結果が(横浜、リーズで)出てきたのだと思います。

あとは2019年に一度、オーバートレーニング症候群に陥ってしまったことがあったのですが、それがトレーニングの仕方を見直すきっかけになり、精神的にもリフレッシュできました。

その苦しんでいるときに、地元・小平市の方たちや会社の方たちにすごく応援されているなというのを感じられて、その方々のためにも頑張りたいというスイッチが入ったのが大きかったと思います。

また(今回一緒に代表入りした)ニナー選手とは2018年から一緒にトレーニングをしてきて、その当時から彼は到底かなわないすごく強い選手だったのですが、その中でも彼に負けない、少しでも食らいつくという気持ちで一緒に練習をさせてもらっています。

同時に、苦しいときはお互い冗談を言い合える仲間でもあります。

彼がオーストラリアから日本に来て、一緒に練習できることにはすごく感謝していますし、彼のおかげで、私も強くなれたと思っています。

――同じチーム、所属で戦ってきた古谷純平選手とはどんな話を?

小田倉 お互いスケジュールが合わず、まだ直接は話せていないのですが、LINEで「いろいろなことがあったけど、すごく誇りに思う。頑張れよ」と言ってくださって、より私の中でも頑張ろうという気持ちが高まりました。

――オリンピックへの意気込みを。

小田倉 横浜、リーズとすごく良い流れで来ていますが、オリンピックとなると、皆さん本気で戦ってくると思うので、自分もそこに負けず食らいついていって、観ている皆さんに元気を与えられるようなパフォーマンスを見せたいと思います。

私の一番の持ち味は「最後まであきらめずに食らいついていくところ」だと思うので、そこを見ていただきたいと思います。

これは学生時代、トライアスロンを始めたころから守っていることなんですが、どの大会であっても、「絶対に最後まで諦めない」「最後まで前を追う」という気持ちは捨てないようにしています。

オリンピックは、シドニー大会を目の当たりにしたときからの夢
ニナー賢治(NTT東日本・NTT西日本/山梨)

 

©Kenta Onoguchi

――オリンピック出場を決めた、今の心境は?

ニナー とてもうれしいです。3年前、日本に来て、しっかりトレーニングを積んで、毎日成長して、(その結果)日本代表になれて本当にうれしいです。

――U23までオーストラリア代表としてレースしていたそうですが、今も親交の深い選手、オリンピックで一緒に戦えるのを楽しみにしている選手はいますか?

ニナー オーストラリアの代表はまだ決まっていないのですが、(代表入りする)可能性が高い選手では、Jacob Birtwhistle、Matthew Hauser、Aaron Royle、Luke Willian・・・

今週代表が決まるようですが、彼らとは今もネット上で結構、やり取りをしています。

(彼らと東京オリンピックで戦うのは)もちろん楽しみです。

――オリンピックまでのトレーニングプランは?

ニナー 長野で高地トレーニングをした後に出たアジア選手権で良いレースができたので(※ランで他を圧倒して初めてのアジア王者に)、今回もこれから長野で同じように高地トレーニングを行う予定です。

トレーニングプランは(アジア選手権前のときと)大体同じですが、さらに少し強度を上げた練習も入れていく予定です。

――ご家族、ご両親からはどんな言葉をかけられましたか?

ニナー 私の子どもの頃からの夢はオリンピックの代表選手になることだったので、家族みんな喜んでくれています。

特に母は、子どものころから車で練習をサポートしてくれたり、協力してくれていたので、喜んでいます。

――子どものころからトライアスロンでオリンピックに出るのを目指していた?

ニナー テニスやサッカーなどいろいろなスポーツをやったので、最初はトライアスロンで出るとは思っていませんでしたが(いずれにしても)オリンピックは一番重要な競技大会。

7才のとき、2000年のシドニー・オリンピックを観ましたが、世界のベストアスリートが集う、世界最高峰のスポーツイベントだと思い、国の代表としてその舞台に立つことが夢になりました。

――そのシドニー大会で憧れた選手は?

ニナー そのときは競泳のグラント・ハケットやキーレン・パーキンスですね。

イアン・ソープやマイケル・フェルプス、陸上のモハメド・ファラーら、その後、憧れのアスリートはいろいろいましたが。

――オリンピックへの意気込みと具体的な目標があれば教えてください。

ニナー 今まで応援ありがとうございました。

これから長野で高地トレーニングをして、Tokyo2020に向けてトレーニングを積んでいきますので、これからも応援をよろしくお願いします。

(オリンピック本番では)もちろん個人でも、ミックスリレーでもメダルを獲りたい。世界のトップ30の選手が集まるレースですが、(メダル獲得は)できると思っています。

★日本語の勉強のため記者会見でも極力自身の日本語で応じているニナー賢治選手。英語でインタビュー&和訳したロング・インタビューはLumina7月号に掲載しているので、こちらも要チェック!

>>>Triathlon Lumina7月号

Lumina7月号では田山寛豪さん解説の東京オリンピック観戦ガイドなども掲載

Tokyo2020
トライアスロン競技

会場:お台場海浜公園周辺特設コース
男子:7月26日(月)6:30~9:00
女子:7月27日(火)6:30~9:05
ミックスリレー:7月31日(土)7:30~9:25

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