Road to Kona!
KONAチャレ2期生 今井達也さんフィリピンで世界選手権出場権GET
2カ年でアイアンマン世界選手権出場を目指す、チャレンジ企画の最高峰「KONAチャレンジ企画」第2期がスタート。
メンバーの今井達也さんは、KONAチャレの企画がはじまった当初、2018年からフレンドメンバーとして参加し、情熱をもってトライアスロンに取り組むトライアスロン歴30年のベテランアスリート。まだ叶えてない夢に向けてアイアンマン・フィリピンに参戦した。そのときの様子をリポートしてくれた。
KONAチャレ参加をモチベーションに
2018年、第1期KONAチャレに落選。すっかり諦めていた数カ月後に、メンバーのひとりがKONAスロットを獲得し卒業。繰り上げでフレンドメンバーに昇格した。そこでモチベーションは爆上がり! そのままの勢いで2019年のIronman Malaysiaにチャレンジするもバイクのメカトラで遅れ、結果が出せず。
翌年、コロナに入りすべての大会が中止。Ironman VR(オンラインのアイアンマンシリーズ)で毎週追い込み、世界で97人しかいない全レース完走者のひとりになった。
一方、頑張り過ぎたのか、腰を痛めてしまい(あほですね……)、1年間腰痛に悩まされ、まともに練習することができなかった。紆余曲折あったがようやく復活し、Ironman Philippinesに挑戦することを決めた。
世界戦切符をかけてIMフィリピンに臨む
昨年(2022年)、このレースで、KONAチャレ1期生の牧野星さんがKonaスロットをゲット。レース体験記は何度も読み、現地に入ってからも今年も参加する牧野さんにレースコンディション等を教えてもらった。
やはり暑さがポイントで、いかにうまく補給をするかがキーになりそう。一方、当日の天気予報は雨。アジア特有の当たらない天気予報なのでは? という希望的観測を込めた気持ちでレースを待つ。
予想していたとおり現地はやはり蒸し暑く、レースまでにこの暑さに慣れたいところ。大会が開催されるSubic Bayは経済特区で治安もよく、食事の選択肢もまずまず。レース前は同じKONAチャレ2期生のソータ君(田中想太さん)とプールで泳いだり、吉村(貴由)さんと食事をしたりと、リラックスして過ごすことができた。
そんなリラックスした気持ちを消し去るように、大会前日のバイク預託では豪雨の洗礼を早速受け、明日の天気が不安になる。
大会当日、夜中から朝にかけてずっと雨が降っていたのは分かっていたので、気持ちが上がらなかったがみんな同じコンディション。日本から持ってきたおこわ、お粥、バナナ等を詰め込み、スタート地点に向かう。
バイクの最終セットをしていると、また豪雨。前日にギア等にはビニールをかけていたけど、一瞬にして水浸しになってしまった。
スイムスタートは申告タイム順で、1stグループとなりローリングスタートで飛び込む。タフな環境ほど差が付きやすいので、大荒れの海にチャンスでは、と最初は呑気に考えていたものの3分ですぐに後悔することになる。
今回12回目のIronmanだが、最もハードで進む方向が定まらないほどの波とうねり。1周目終了で35分。この環境なら仕方ない、まずは生きてもう1周終わろうと、もはやスピードよりは泳ぎ切ることにマインドを切り替え2周目へ。
2周目は38分もかかり、ようやく上陸。結果、Ironmanでのワースト記録になってしまった。
トランジションにはほとんどバイクがあり、遅かったわけではないと気分を切替えバイクスタート。
トランジションエリアにも大きな水たまりができており、早速靴下までぐっしょり。街中は路面が悪いとの事前情報があり、慎重にスタートするも橋のバンプで、ジェットストリームが外れて、スペシャルドリンクがほとんどこぼれてしまう。
不安になるもエイドもあると気を取り直し、高速道路までの上りへ。前のギヤをインナーにいれようとするとここでDi2が作動しないことが発覚。
前日の雨か、はたまた梱包時のトラブルか……スタート早々前途多難ではあるが、きつい坂は最初と最後だけ何とかなるはずと気合を入れ直す。
スペシャルドリンクを失ったこともあり、早めにエイドでゲータレードをもらい、水分補給を心掛ける。一方、この後は断続的に雨が続き、時折の豪雨で前が見えないほどで、腕に当たる雨粒が痛い。高速道路でなければ進むことすらためらわれるような環境だった。
最初に水分を摂り過ぎたせいか雨のせいかトイレに行きたくなり、また腕に力が入ったせいか腰も痛くなりはじめ、4周回する2周目で早くもトイレに駆け込んだ。時間はかかったものの、ここでリフレッシュ。すれ違う牧野さんと定点観測しつつ、何とかDHポジションをキープした。
周回の行きは下り坂傾向だが、そうなると帰りは当然上り傾向。じわじわと体力を削られる。固形物はまだ摂取できるので、食べるだけ食べて何とか4周目を終了した。最後の上りはインナーなしだときつかったものの何とかなった。ようやくランに。
トランジットで、ぐっしょりと濡れた靴下をはき替え、いざスタートするもレース前に痛めたハムストリングスの痛みが出始めてしまった。
何とか最後までもたせないと。周回コースは仲間の位置が定点観測できる。まだ序盤、焦らない。晴れてほしいという願いむなしく、時折激しくなる雨は水たまりを作り、あっという間に靴下まで濡れてしまった。
15㎞地点で、濡れたせいか原色ゲータレードの飲み過ぎかお腹の調子が悪くなってきてしまった。ハーフまでは何とかこらえていたものの、耐えられずトイレに。
ここから力が入らなくなり、ペースが落ちる。ランは事前にハムストリングスを痛めて十分走り込みができなかったのだが、練習は正直だ。エイドでは大雨にもかかわらず多くの方がサポートしてくれて本当にありがたかった。
最後の周回、濡れたせいで靴擦れができ足裏がしびれる。予想タイムには程遠く、思うようにはいかないけどこれがIronman。久々のゴールを迎える。これは何度やってもなんとも言えない瞬間だ。そして長い1日が終了した。
エイジ7位、総合41位。Nice(2023年アイアンマン世界選手権・男子の開催地)は獲得できたものの、Kona(2024年アイアンマン世界選手権・男子の開催地)には現状では程遠い。
来年は55のエイジに上がり、且つスロットはKona。今回、課題満載、失敗盛りだくさんで、やるべきことがクリアになったという意味では良いレースだった。
ニースの世界戦でトップのレベルを肌で感じつつ、来年ターゲットレースに向けてまた頑張ります!