COLUMN KONA Challenge

【KONAチャレ】<牧野星さん>宮古島移住でトレーニング環境を劇的チェンジ! アイアンマン・フィリピンでエイジ優勝

投稿日:2022年5月6日 更新日:


ルミナ編集部

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KONAチャレメンバー牧野さんアイアンマンでエイジ優勝

3カ年でアイアンマンの世界選手権出場を目指す、チャレンジ企画の最高峰。「KONAチャレ3カ年プロジェクト」として2018年から2020年までの期間中にKONA(世界選手権)出場を決めたのは、

皆川亜紀子さん(世界選手権に出場済み)、孫崎虹奈さん岡田健士朗さん東度久美さん小泉邦明さん(2022年出場予定)。5人に加え、今回牧野星さんが世界選手権への切符を勝ちとった。

沖縄県宮古島に単身移住してトレーニング環境を変えた牧野さん。出場権利を獲得した、アイアンマン・フィリピンのレースの様子をレポートしてくれた。

参考記事:KONAチャレメンバーのプロジェクト振り返り>>https://lumina-magazine.com/archives/news/20818

※2021年の世界選手権は5月7日、米ユタ州のセントジョージで開催される。メンバーからは、ケンケンこと、岡田健士朗さんが出場。

関連記事>>>3年ぶりのアイアンマン世界戦。注目選手とトップ3予想

新たなライフスタイル~宮古島移住から夢のKONA獲得へ~

2018年からスタートしたKONAチャレンジも夢叶わず3年間の企画期間が終了……そして相変わらずコロナの状況は変わらない。このままではKONAが見えない……今までと環境を変えたい!

2021年7月、KONAを目指すためにトライアスロンのトレーニング環境が整った宮古島へ東京から単身移住し、新しい生活をスタートさせた。宮古島では、素晴らしい環境と仲間のおかげで、以前よりもバイク、ランのトレーニング時間、距離を自然に増やすことができた。

なんと言ってもストレスなく、練習にすぐアクセスできることが最大の魅力! ドアを開けたらスイム、バイク、ラン(笑)!

移住してから月平均で約スイム16km、バイク1200km、ラン200km以上のトレーニング。週10~12時間、プール環境がネックで海練習できない冬場のスイムが課題ではあるものの、週末の土日に120~150kmのロングライド、ブリックランでバイクとランは実践的に強化をすることができていた。

さらに意外なメリットとして、全国各地から宮古島へトレーニング合宿に来る色んなチームや仲間から声をかけてもらい、毎週のように一緒に練習できたこと。これはアスリートを呼び寄せる宮古島の魅力のおかげで、ひとりではできないハードなトレーニングも、みんなと楽しみながらできたことは非常に大きい。

新しい出会いや繋がりによって刺激を受け、また東京から来る気心知れたメンバーと練習することで、自分の成長の定点観測ができ、自信にもつながっていた。

そんな順調なトレーニングを続けている中、2022年の宮古島大会中止が決まり、さらに2022年の年明けとともに、オミクロン株が感染拡大。新型コロナも終息に向かって落ち着く気配だったのに、またまさかの振り出しに戻ってしまう。

2月中旬、2020年6月から何度も延期となっていたアイアンマン・フィリピンが2022年3月6日に予定通り開催すると書かれたメールが届く。どうせまた延期だと思っていたのに……。

隔離期間もあり現実的に渡航して参加は無理と思っていた翌日、なんと岸田首相から3月から水際対策緩和をし、国によっては帰国後隔離なしになるとの会見が。これは行くしかない! 行けばレースに出れる! なんのために宮古島に単身移住したんだ!なんとレースから約2週間前、スタートラインに立つ覚悟を決めた。

ここから想像以上の過酷な準備がはじまる。目まぐるしく変わる渡航ルールや国毎ごとに対応が違うという複雑な情報の中、SNSでタイムリーに生の現地情報を入手しながら準備。フィリピンに仕事で関係をもっているチームメンバーにも、現地の状況やハイヤー手配などでとてもお世話になった。

【レース当日】

ノンウエットで3.8kmの洗礼

スイムスタート付近ではフィリピンのトライアスロンチームや仲間同士で円陣を組んだり、写真撮影したり、ハイテンションで盛り上がっている。スタート前の音楽とMCの声! 久しぶりのこのIRONMANの雰囲気! 気分がどんどん高まっていく。

水温は27℃のため、ノンウエット、トライエェアの上にTYRのスイムスキンを着た。砂が黒いため上からの見た目は良くないが、水質自体は良く、透明度も高い。コースレイアウトは二等辺三角形、750m~400m~750mを半時計回りに2周回。

大きなブイの間には、すべて小さなブイ付きロープが張られていて、左呼吸の場合はコースを確認しやすい。しかし、コースロープ自体が流れで大きく向かって右に膨らんでいるので、最短距離を泳ぐには真ん中に飛び出したロープの頂点とその先の大きなブイを結ぶ直線で泳ぐ必要がある。

内側は湾曲したロープが出ている中盤で混み合う可能性があるので、少し外側から泳ぎ出すことにした。4つのスイム申告タイム別にキャップが色分けされ、ZONE毎に整列。スイムレベル1時間10分以上(最終)ZONEの前方外側に並び、4人ごとにローリングスタート! 混み合うことなくバトルもなくスムーズな泳ぎ出し。

高揚したスタート時の緊張を和らげながら、ウォーミングアップのつもりで序盤はリラックスを心がける。あれ? いつもよりスムーズに進まない感覚。そういえばノンウエットで3.8kmは初めてだなと、泳ぎながら気づく(笑)。

動きやすいが、やはりウエットの浮力がないので泳力がモロに露呈されはじめる。ペースが上がらないまま、ダラダラと距離だけは刻み、良いタイムではない確信をもちつつ、1周目が終わり浜に上がってすぐに時計を見ると、悪いタイム予想を遥かに超える41分の表示……予定は35分なのに……。

ここからペース上げれば少しは挽回できる! まだまだこれからと前向きに2周回目スタート。しかし泳ぎは重いまま、気持ちだけで急にそんなに速く泳げるものでもない。だんだんと気持ちは「早くスイム終わんないかなぁ」に変わっていく。

最後ブイを回ってからスイッチを入れ直し、最後までピッチを上げてキックもしっかり打って泳ぎきって浜に上がり、2周回目で少しは挽回できたかな?と思いながら時計を見ると1:24:00……タイムを見た瞬間、ショックで頭が真っ白になった。目標から14分もオーバーだ。アイアンマンワースト記録更新してしまった(笑)。

スイム Age13位 Overall70位 3888m 1:24:00 (2:10)
T1 5:25

コースと気候、コンディションで瞬時に目標修正

気持ちを切り替えてバイクスタート。路面の悪い市街地を抜け、序盤の標高150mの長い上りを頑張り過ぎないように200W前後で進んでいく。上りが終わると料金所のゲートを通り、メインの高速道路へ。ここからの高速道路約20㎞区間を4往復して、市内のT2まで戻るというコースレイアウト。

高速道路に入る頃には日差しもすでに強くなり、湿度も高いため、汗の量が半端ではない。この時点で予定していたパワーよりも少し抑えたほうがいいかもしれないと思い始めていた。

往路の20㎞は少し上り基調の向かい風で、スピードが出にくい。折り返して復路は中盤まで気持ち良く走れるが、後半は上り基調で、最後は50mの登り。復路のほうが早く、往路と復路で6、7分差があった。

1往復した時点で、この暑さと湿度の中では目標180-185Wを維持し続けるのは厳しいと判断。幻想のタイムを追いかけるのはやめようと170-175Wに落として、後半の失速だけは避けようと考えはじめる。

まだ2周回目はまだ余裕があり、1週回目でコースの把握ができたのでテンポよくペダルが回せた。スイムで遅れた分をバイクで少しづつパスしていく。

3周回目になると暑さのダメージが徐々に蓄積されていく。100㎞を過ぎ、特に往路の向かい風の上り区間では倦怠感と頭痛で少しパワーダウン。身体の異変は熱中症気味だと感じて多めに水分、ジェル、タブレット補給、水をこまめに全身にかけながら耐え凌いだ。

4周回目はさらに暑さとの戦い。エイドの冷たい水が常に欲しくなっている状態で朦朧としてくるほど。次のエイドまでの距離と水のことばかり考えはじめる。今までのアイアンマンではバイクで止まったことはないが、4周回目はすべてのエイドで止まり、しばらく頭から冷水を全身にかけ続けた。

周回を終え、高速道路の最後にまた長い上りが待っていた。しかし、残り10㎞という精神的な回復でパワーが蘇ってくる。目標よりも余裕をもってコントロールできていたこともあって、上りでも前半並みのパワーでプッシュでき、少しペースの落ちた数名のパック集団をパスして市街地に戻りT2へ。

バイク Age4位 Overall15位
183.92km 5:53:00 (31.3km/h)
標高獲得1011m 平均172W NP174W 平均ケイデンス87rpmT2 6:05

冷静な判断でランパートを攻略

バイクの数がそんなにない風景を見て、スイムアップからかなり挽回できたのを実感した。落ち着いてシューズをはき、エナジージェル3個と塩タブレット3個を背中のポケットに入れ、トイレに行ってからランスタート!

入りのペースは4分55秒/kmくらい。予定通りのペースで思ったより身体は動いてる。ちょうど女子のトップが前にいて、ペースも同じくらいなのでついて行く。

コースレイアウトは片道約5㎞を4往復。前半フラットだが後半は山道に入りアップダウンの後、激坂を登り切って折り返す。前日にバイクで下見をしていたが、実際に走るのは初めて。折り返し手前の激坂がとにかくキツい。

1往復目の折り返しくらいから、女子トップの選手がペースダウンし、2往復目に入った後くらいから、同じペースで走っていた周りの男子選手たちも徐々に落ちていった。

やはり37℃の暑さとアップダウンのコースは序盤から気持ちと体力を削られる。2㎞ごとのエイドはすべて氷水を頭からかけて身体を冷却。ペースは5分15秒/kmくらいまで落ちたが、中盤まで維持しながらペースダウンした選手たちをパスしていった。

すべて対面で4往復するコースなので、他の選手との位置関係や自分のペースがどのくらいなのか把握しやすい。同じエイジだと認識していたふたりをパスしたのはわかったが、それ以外は不明。

男女共にトップ3にはオフィシャルのバイク並走が付いているので特に把握しやすく、トップ選手と変わらないペースで走れている状況を確認。「このまま行けば!」と気持ち的に余裕が出てきた。

しかし、ハーフを過ぎたあたりから急にハンガーノック症状と思われる脱力感が出始める。30㎞を過ぎてから摂ろうと思っていた最後の3個目のジェルを早めに摂ることに。ペースも5分45秒/kmまで落ちているが、過去のレースでこの状況から後半回復した経験もあり焦りはなかった。

30㎞を過ぎてからまた走れるようになり、ペースが5分20秒~25秒/kmくらいに回復。エイドにはジェルがなく、終盤はコーラをがぶ飲みして血糖値を維持することにした。後半歩いている選手もかなり増えてきたが、ペースを落とすことなく心拍も維持したまま走れた。

最後の折り返し、激坂を上り切った後は「これが最後だ!」とフィニッシュラインほどの喜びが湧き上がる。

折り返してからの最後の6㎞は、今まで走ってきたアイアンマンの中で一番余裕があった。
総合でもかなり上位だという認識があったからかもしれないが、身体の疲労や痛みよりも最後まで走り切れている満足感が心地良く、不思議と気持ちの良いリズムを生んでくれている。

そして久しぶりのゴール前MCアナウンス、コールを受けながらのフィニッシュラインは最高だった。

ラン Age1位 Overall3位
標高獲得387m
42.69km 3:58:45 (5:35) 平均心拍数132ppm 平均ピッチ173spm総合タイム11:26:13
Age50-54 1位/31 Overall 9位/225

ついにこの日がやってきた!

スロット会場で、トラッカーでエイジ1位と分かっていても名前がコールされるまでドキドキした。「Male50-54Age……Takashi Makino ! 」

KONAスロットを獲得した嬉しさと共にまた新しいスタートラインに立てた感覚に。トライアスロンを始めて9年。いつしかIRONMANの魅力に魅せられ、いつかKONAで走りたいという目標、夢ができ、夢中になって走ってきた。

東京、北海道、宮古島で沢山の方々に支えられ、アスリート仲間たちと共に楽しみながら成長できた事に感謝しています。トライアスロンライフによって、人生の満足度が高まり、歳を取った今でも成長を感じることは本当に幸せです。

KONAチャレンジにエントリーして、メンバーに選ばれ、たくさんの気付きと体験を得たこと、そして何よりも沢山のトライアスリート仲間が出来たことに心から感謝しています。次はKONAという新しいステージに向けて、新しい経験がまた自分の成長に繋がるようにしっかりと準備していきたいと思います。

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KONAチャレとは?

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