【宮古島2024】上田藍が史上初の「初優勝＆総合10位」

第38回 宮古島トライアスロン
速報〈女子〉

写真＝小野口健太

二百戦練磨の３×オリンピアン
上田が魅せた「プロの凄み」

国内レースシーズンの幕開けを告げる全日本トライアスロン宮古島大会（ストロングマン、スイム３km/バイク123km/ラン35km）が４月14日（日）に開催され、男女合計1341人がそのスタートラインに立った。

実質上のナショナルチャンピオンとして世界に挑む、日本ロング界の王者を決する伝統の一戦を制したのは、寺澤光介（男子）と上田藍（女子）。

プロカテゴリー登録選手としてアイアンマン・シリーズを転戦する両選手が、プロ選手としての面目躍如たる「圧勝」で、2024年シーズンのオープニングを飾ってみせた。

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戦前から当然のごとく優勝候補筆頭に挙げられていた上田は、スイムを女子トップで上がると、そこから２位以下を置き去りにして終始レースをリード。

バイクラップこそ、もうひとりのアイアンマン・プロ登録選手、巖淵知乃に譲ったものの、ほぼ３種目すべてにわたって他を圧倒し、男子も含めた「総合順位」でも10位に入る大会史上初の記録つきでの初出場・初勝利を果たしている。

オリンピック３大会連続出場の後、ロングに転向した上田は、アイアンマン・シリーズやWorld Triathlonの世界選手権などを中心に世界を転戦しており、そのレーススケジュール上、宮古島大会に出場できる機会がなかったが、

海外レース日程の兼ね合いで念願の出場がかなった今大会、「藍ちゃんなら、ただ優勝するだけでなく、これまで名だたる女子の強豪選手が誰も届かなかった総合10位以内に入れるのでは？」という周囲の興味・期待にまで応え、プロとしての強さを見せつける格好となった。

選手同士送り合うエールを
チカラに変える素敵なコース

上田藍　オリンピアンとして宮古島に出るということで、「男子選手も含めて総合10位以内入賞できるんじゃないか」なんていうことも言われていたので、ただ勝つだけじゃダメなんだな、というプレッシャーも感じながら、このレースに出場しました。

初めて出るレースで本当にそんなことができるのかはわかりませんでしたが、ランに入ったときに確か20位前後。そこから前を行く人たちをパスしていって、気が付いたらちょうど10位くらいまで順位が上がっていて・・・我ながら苦しい展開にもっていくな、と思いました（苦笑）

途中、順位を数え間違って（総合トップ10入りを）逃しちゃうとがっかりしちゃうと思ったので、あまり総合順位を気にしすぎず、淡々と自分のペースで走ることに集中しました。

暑いレースには自信があるのですが、今回もランの往きが向かい風だったので、帰り（復路）の追い風は暑さを感じるような展開になるんじゃないかなと。そこで私の強みが生かせるなと思いながら走っていました。

男子選手と一斉スタートで、ロングのレースというのは初めての経験だったんですが、ランで追いついた数名の屈強な男子選手に囲まれて、競い合うような、なかなか暑苦しい展開も経験しました（笑）。

初めてのコースで自分の適正ペースがわからず、探り探りだったのですが、途中、大先輩の西内（洋行）さんからも「ここからが向かい風区間だよ」とか、沿道から有益なアドバイスをいただけたので、前半の向かい風区間で頑張りすぎて東平安名崎から先のアップダウンでペースが落ちすぎないように安全なペースに抑えて・・・とか、いろいろ計算しながら走れました。

今日のレースで、コースを知ったので、今後はもう大丈夫だと思います。

ランコースでは、折り返した後、（往路を）こちらに向かってくる多くの選手が「藍ちゃん、頑張れ！」とか声をかけてくれたので、それに応えたり、私も声をかけながら走って、そのおかげで、うまく走りに集中できたと思います。

ここまで長い区間、対面する選手の皆さんと声をかけながら走るという経験はないので、これはもう宮古島大会ならではのことかなと。アイアンマンや70.3などのミドル～ロングでは周回コースが多いので、そこまで声をかけあえる大会はほかにはないと思います。

なんとか、そこでパワーをもらおうと思って、何でもいいから一言でも声をかけながら、走るようにしていました。すごい素敵なコースだなと思いました。

最後は暑さと、35㎞という距離相応のツラさはあったのですが（この声援の送り合いに）パワーをもらえました。

今回、優勝できてシード権を得ることができたので、また宮古島に戻ってきたいですし、プロとしてロングで世界に挑戦しているので、今日（宮古島で勝って）いただいたパワーを生かしていきたいと思います。