ロングまで完全制圧する高機能&ラグジュアリー。
SHIMANO TR9
トッププロからエイジまで。世界中のアスリートに愛用されてきたトライアスロン専用モデルTR9がフルモデルチェンジ。製品化に向けたフィードバックも行ってきた細田雄一に、その大幅アップデートの全貌を、訊く。
写真=小野口健太
Yuichi Hosoda
2010年アジア競技大会金メダル、2011・2021年日本選手権優勝など日本を代表するトップ選手として活躍。現在はプレーイングコーチとして後進の育成にあたりつつ、自身も宮古島などのロングに挑戦している。1984年、徳島県出身。博慈会所属。
レース中のフィット感も調節できる最新BOA
今号の表紙でコナ王者ルーシー・チャールズがはいているように、スプリント&51.5㎞はもちろんロングでも決戦シューズとして世界中のトライアスリートに支持されてきたシマノの「TR9」が、2019年以来となるモデルチェンジを果たした。
サポートアスリート細田雄一は、今回の大幅アップデートを経てTR9が「まったく別次元のモノに進化した」と語る。
「最大の特徴はBOAダイヤルが採用されフィット感が格段に上がったこと。レース中、微妙なフィット感調節がきくのも大きなメリットです。昔のBOAは締めやすい反面、緩めるときは一気にリリースしてイチから締め直さなければならなかったんですが、今のBOAは緩める方向にも締めるときと同様少しずつダイヤルを戻せる。
トライアスロンは前乗り気味な分、ペダリングが少しだけピストン運動のような動きになって、足を引き上げるときに足裏が浮きやすいんです。(これまでのベルクロストラップで)これを防ぐには若干タイトめに締めていたんですが、締め過ぎると足がしびれてランへの影響も気になるので、途中でフィット感を微調整するのはアリだと思います」
1~2時間乗って足がむくんできたら少し緩めてみたり、ロングのラスト30㎞で緩めて足のしびれをとったり—— そうした微調整も思いのまま。
「レース中、いつも同じ締め付け具合でずっと乗っているという人は、微調整してみることで、『フィット感が良いと、脚ってこんなに軽いんだ……』と気づくきっかけになるはずです」
シマノ最高峰レーシングギアシリーズに追加された意味
ミドル~ロング派の中には、フィット感重視であえてBOAダイヤル搭載のロード用のハイエンドモデル(RC9)を選ぶ向きもあるが、そういう人にもこのTR9はオススメだという。
「ロードモデルももちろん良いのですが、剛性が高めのカーボンソールを採用していて厚さも薄く、使い手の脚力を選びますし、あれを素足ではくと結構脚にダメージが残ります。
その後にランを控えているトライアスリートにとっては、少し硬いかもしれません。TR9のソールは絶妙にしなるので、ゴールスプリントのように高出力を出すような状況がほとんどないトライアスロンにはこの剛性がちょうどいい」
ソールの剛性を抑えたグレードのロードモデルを選ぶという選択肢もあるが、せっかくレースで使うなら、アッパーなども最上位のモデルを使いたい。その点、初めてシマノの最高峰レーシングシューズブランド「S-PHYRE」にラインアップされた今回のTR9は、アッパー素材やBOAダイヤルも含め、最上級の素材が使われている。
「スプリントからロングまで、ほぼすべてこれでいける。トライアスリートでトップグレードのバイクシューズを買うなら、これ一択ですね」
\TR9がトライアスリートに支持される理由/
最新モデルについて聞く前に、前提として知っておきたいのは、このTR9シリーズがシマノ・ブランドだからこそのこだわりの上に成り立っている唯一無二の「完全トライアスロン仕様」である点。
「いつもこまごまトライアスリートとしての要望を伝えているのですが、本当によく聞いて・反映してくれる。細かい素材使いや縫製の種類にいたるまで、ここまで細部までトライアスリートの声を聞いて、作り込んでいるバイクシューズは、ほかになかなかないと思います」(細田)
SHIMANO TR9
サイズ:36~38、39~43(ハーフサイズあり)、44~48
カラー:ブルー
重量:250g(メンズ・サイズ42)
価格:50,600円(税込)
防水シンセティックレザーのアッパーは撥水性が高いのに加え、通気性を高める速乾メッシュパネルも採用
◎問い合わせ
シマノセールス自転車お客様相談窓口ナビダイアル
TEL.0570-031961
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