最速・最適の選択。
GIANT BIKES & CADEX WHEELS
この夏、日本代表として再び世界の大舞台を駆けた小田倉真。集大成と位置付けたレースに向けたバイク×ホイールの最適解探しの末、彼が選んだ最新・最適な組み合わせとは?
コメント=小田倉真
取材=光石達哉
写真=小野口健太
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>>GIANT 2025 New TCR
>>CADEX
Makoto Odakura
小学3年から9年間水泳を行う。日本体育大学入学後トライアスロン部に入部。卒業後三井住友海上へ入社。初出場の東京五輪では個人19位、ミックスリレー13位、2022年日本選手権優勝、2024年パリ五輪41位。スイムで良い位置につけ、最後のランで粘って順位を上げるレーススタイル。1993年7月、東京生まれ。
最速の組み合わせと自分に合った最適解と
2大会連続で世界最高峰の舞台での戦いを経験した小田倉真選手。パリへの道は、自分の脚質やコンディション、コースに合った最適で最速のバイクを見つける旅でもあった。
かねてよりジャイアントのバイクを駆ってきた小田倉選手。昨シーズンからはエアロロードの「プロペル・アドバンスドSL(2023モデル)」とクラシックなオールラウンドバイク「TCRアドバンスドSL MOM(2021モデル)」のフレームを使い分け、派生ブランドのホイール「カデックス50ULTRA」を組み合わせてレースを戦ってきた。
中でも小田倉選手が好んで使っていたのはプロペルで、エアロ系でありながら軽さや快適性も兼ね備えたバイクとして高評価を得ている。
「最新のプロペルは、従来のモデルに比べて軽くて硬く(剛性が高く)、速いと感じていたので、自分の中では一番のバイクとして使用していました。ホイールはカデックス50ULTRAが気に入っていて、踏むたびにスピードに変換してくれる感覚がありました」
しかし、この最速と思われた組み合わせだけが、必ずしも自分の戦いに合った最適解とは限らないことに気づく。
「フレームの剛性が高いせいか、40㎞バイクが終わった後のランでTCRと比べて腰に負担を感じるようになり、姿勢を保って走れないことが悩みでした。そこで、ホイールを(比較的剛性の低い)カデックス42に替えてみたりと工夫していました」
しかしフィーリングは改善せず、今年5 月のWTCS横浜の頃からは「TCRアドバンスドSL KOM(2021モデル)」にスイッチする。「自分としては、腰に負担はかかるけどプロペルとカデックス50ULTRAの組み合わせのほうが絶対速いと思っていたので、それに慣れるほうがいいだろうと考えていたんです。
でも、いろいろ取り組んでも、なかなか成果が出ない。そこでTCRアドバンスドSL KOMのフレームにカデックス50ULTRAをはいて臨んだら結構良い感触で、ランもちゃんと走れました」
パリで体感した新型TCRのスピード
5月末にパリ行きが内定した直後、ジャイアントから新型TCRアドバンスドSLが供給された。今年春に発表されたばかりの2025モデルのTCRは、上りもこなせるオールラウンダーでありながら、ケーブル完全内装化やチューブ形状の見直しで空力を改善し、さらにフレームの剛性向上も図られている。
とはいえ、パリのバイクコースはほぼ平坦で一般的にはプロペル向きのコース。小田倉選手はバイク選択に悩むことになった。
「最後まで本番でどっちを使うか迷ったので、プロペルと新型TCRでタイムトライアルをしてみたんです。彩湖(埼玉県戸田市)の周回や、レース直前にはパリ近郊の1周3㎞の周回コースを走ったんですが、TCRのほうが意外に速かったし、その後のランもちゃんと走れました」
しかし、この結果には多少の戸惑いもあった。
「実は、ちょっと悔しかったんです。本当はプロペルとカデックス50の組み合わせが、例え集団の中切れが起きてもすぐに復帰できるスピードがあるので、そのほうが安心感はあると思っていました。
最後まで迷っていた選手は、多分僕だけだったと思います。当初はプロペルをメインバイクに登録していたんですが、バイクチェックのときにTCRをメインに変更したら、現地のマーシャルの人たちが混乱して少し時間がかかりましたね(笑)」
結果的に、パリでは新型TCRで満足いくレース運びができたという。
「一見してそれほど大きな変化がないようにも見えるTCRですが、乗ってみたらかなり印象は違います。以前のTCRに比べて明らかに巡航スピードは上がっています。プロペルにはかなわないかもしれないですけど、実際パリのレースで55㎞/hぐらいのローテーションは普通にできました。
一番魅了されたのは、Uターンの立ち上がりの加速力ですね。自分の想像を超えるぐらいの瞬発力で、千切れることなくすぐに集団の波に乗ってローテーションできました」
これまで多くのレースを経験してきた小田倉選手だからこそ、自分に合ったバイク選び、コースにあったセッティングの重要性を実感している。
「プロペルにカデックス50ULTRAは確かに速いのですが、その組み合わせでドラフティングレースを戦うのは(クリスティアン・)ブルンメンフェルトのようなパワー系ライダーが多い。僕みたいに身体が小さく(※身長164㎝/57㎏)、パワーの絶対値が彼らに及ばない選手は、自分なりの組み合わせが必要なのかなと感じています。
例えばノンドラフティングレースであれば、自分もプロペルの組み合わせを選ぶと思いますし、コースによって使い分けができたら理想的ですね」
TCR ADVANCED SL FRAME SET(フレームセット)
価格:495,000円(税込・以下同)
サイズ:XS,S,M,ML,L
カラー:オパール(写真の小田倉選手使用モデル) 、ロウカーボン
★完成車 1,045,000~1,650,000円
「トータル・コンパクト・ロード」の略称であるTCRは、2025モデルで第10世代となる。最高峰のアドバンスドSLグレードは、フレームやコックピットのデザインを一新し、前世代よりも空力性能を向上。さらに剛性を維持しながら70g以上の軽量化も実現している。
WHEEL
CADEX 50 ULTRA DISC TUBELESS
価格:176,000円(前輪)231,000円(後輪)
重量:1349g(前後ペア)
ジャイアントのプレミアム・パーツブランドCADEXのカーボンエアロホイール。小田倉選手が主に実戦投入している「50ULTRA」(リム高50mm=写真)や、WTCS横浜などで使用していたオールラウンドモデル「CADEX 42」のほか、超軽量な40mm高の「MAX 40」も新たにリリースされている。