COLUMN Race Review

【BOSO Tri Series】KISATRA きさトラ、空を飛びに。

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ルミナ編集部

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普段は入ることができない滑走路を走れるバイクコースが、きさトラのウリ。強風との戦いになっても、見通しのきく・広いコースなので安全に自分のペースで走れる 木更津トライアスロン2024年 ©Kenta Onoguchi

BOSO Tri Series 2024

都心から好アクセスの近場にしてトライアスロンらしい非日常感満載の人気シリーズ。
今年ものべ2,207選手が房総の夏を満喫♪ 2024年のレースの様子をお届け。

2025年は6月29日(日)開催
エントリーは3月1日(土)から!
>>詳細はコチラから

BOSO TRI Series
房総トライシリーズについてはコチラ

KISATRA
きさトラ、空を飛びに

この大会でトライアスロンデビューして、今やIRONMANでプロ転向も視野に入れるトップ選手となった、ひらめさんが、今もここに帰ってくる理由

文=ひらめ(平柳美月)
Text by HIRAME
写真=小野口健太
Photographs by Kenta Onoguchi

©Kenta Onoguchi

HIRAME
SNSなどでは「ひらめ。」の名で知られる強豪エイジ。中学高校とソフトボールに励み高校3年時にはインターハイ優勝(優秀選手賞)。社会人になって2018年に木更津でトライアスロンデビュー。2023年のIRONMAN世界選手権では初出場でSUB10を達成(プロ登録基準をクリア)。今年の世界選で年代別表彰台入りの目標を達成した後、プロ転向を目指している。1992年、埼玉県出身。

木更津トライアスロン2024年 ©Kenta Onoguchi

6年前、私のトライアスロンが始まった場所

2018年8月、40℃近い灼熱の中、暑過ぎてバイク・ランの距離が急遽短縮で行われた木更津トライアスロン。スイム序盤で両足がつって背浮きをして天を仰ぎ、一度はリタイアを考えながらも諦めず両足つったまま泳ぎ切り、なんとか完走――これが私のデビュー戦だった。

スタート前には心臓がはちきれそうなほど猛烈に緊張していたことを今でも覚えている。泳いでこいで走ったその先に、自分は何を感じるのだろう。身体はどんな状態になるのだろう。

想像できない未知への挑戦。不安と緊張でドキドキの初レースで諦めずにゴールを目指し、完走できた喜びは格別なものだった。

私と同様、きさトラがデビュー戦という方は多いのではないだろうか。きさトラはとにかく参加のハードルが低い。

競技団体登録も不要で、比較的直前までエントリー可能。前日受付もなく、首都圏からのアクセスも良いため前泊する必要がない。お金も時間も節約しながら気軽に参加できる。

木更津トライアスロン2024年 ©Kenta Onoguchi

ただでさえ始めるために揃える物品の多いトライアスロン。遠征費を抑えられるのは大変ありがたいポイントだ。ロングディスタンスを主戦場とするようになった今、きさトラには「高強度練習の位置づけ」として参加。

普段の練習ではなかなか踏み込めない高強度域も、レースなら頑張れる。ロングでは疎かにしがちなトランジションも、ショートでは大事になるため見直す良い機会になる。

6年目となる今でも、スタート前はやはり緊張するものだ。ドキドキワクワクしながらレースが始まった。普段は穏やかで泳ぎやすい海も、今年は強風による細かい波と強い流れ。呼吸のたびに波が顔にかかって水を飲む。

細かな波に負けないよう力強くガバッと水をとらえるイメージで、伸びずにピッチを上げて泳ぐ。初レースでは31分近くかかっていたスイムも、今年は24分ほどでアップし、バイクへ。

都心から最速45分でアクセスできる都市型レースにして、地平線に向かって走るようなダイナミックなコースが楽しめるのは、やはり唯一無二の魅力 木更津トライアスロン2024年 ©Kenta Onoguchi

同伴フィニッシュに憧れるけど

バイクパートはきさトラの醍醐味とも言えるだろう。フラットな滑走路を走れる爽快感は唯一無二だ。周回コースのため仲間とすれ違いざまに声を掛け合えたり、速い方のフォームを間近で見て学べるのもうれしい。

例年追い風・向かい風との闘いのコースではあるが、今年の風は本当に強烈で、特にスタート時間が遅い後半組はかなり厳しかった。向かい風では姿勢を低くケイデンスを上げて耐えるが、4倍以上のパワーでも20㎞/hを下回り、追い風では50㎞/hを超えギヤが足りなくなる。

木更津トライアスロン2024年 ©Kenta Onoguchi

時折吹く強い横風にヒヤッとし、中盤垂れそうな気持が引き締まる。そうだ、慣れも油断も禁物。バイクは危険なパートだ、集中集中。そう言い聞かせながら必死にDHバーにしがみつく。おかげで上腕二頭筋がすっかり筋肉痛だ。バイクは風の影響もあり予定よりも遅めの1時間11分ほどで終了。

トランジションエリアでは、前半ウェーブの自転車がほとんど倒されていた。自分の自転車をラックにかけようとするものの、何度試しても強風に煽られてかけられない。え、どうしよう、ひとりプチパニック。

「風でバイクかけられないんですが、倒しておいてもいいですかー!?」近くにいた審判に叫ぶ。許可を得て自転車を地面に倒してランパートへ。

今年はバイク同様、強風との戦いとなったランコース。周回コースならではのすれ違いや水かけエイドでパワーをもらいつつ走る 木更津トライアスロン2024年 ©Kenta Onoguchi

ランも強風の影響を受け、向かい風はキロ5分、追い風はキロ4分と、アップダウンのコースを走っているような展開となったが、ペースは気にせず出力を一定に保つ意識で冷静に。

ランも周回コースで選手同士のすれ違いが多くお互いに声を掛け合いながら走る。エイドスタッフの方々も超パワフルで、元気を分けてもらいながら最後までプッシュし笑顔でゴールすることができた。

家族や仲間たちと一緒に花道を楽しむ同伴フィニッシュ。今年もワイワイ賑やかに・楽しそうな光景が次々と繰り広げられました 木更津トライアスロン2024年 ©Kenta Onoguchi

ランは42分、総合タイムは2時間20分。結果として目標タイムには及ばなかったが、レースコンディションにも冷静に対応することができ、収穫も多く楽しめたレースだった。

チームや団体で気軽に参加できるきさトラ。ぜひ来年も仲間と一緒に、初心者の方も巻き込みながら参加したい。

同伴ゴールできるのもこのレースの魅力で、家族や仲間と手をつないでゴールしている方々も多く、すごく素敵で憧れる。しかしウェーブスタートのため順位を狙うには最後の1秒まで気が抜けないきさトラ。

練習の一環といえど、私は来年もひとり無我夢中でゴールラインを駆け抜けてしまいそうだ。

8回目を迎えた、きさトラ。滑走路や陸上自衛隊の駐屯地にちなんだリボンデザインの完走メダル、全種類持っている人はいる!?る 木更津トライアスロン2024年 ©Kenta Onoguchi

第8回木更津トライアスロン
2024年6月30日(日)千葉県木更津市/陸上自衛隊木更津駐屯地
天候:くもり 気温:26.2℃ 水温:22.4℃
参加者数(完走者数)/完走率
スタンダードディスタンス:837人(765人)/88%
スプリントディスタンス:218人(207人)/95%
リレー:35組(33組)/94%
※完走者数にはOPEN参加のゲストも含む。
>>全リザルトはコチラから

2025年は6月29日(日)開催
エントリーは3月1日(土)から!
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