HOW TO INDOOR TRAINING

陸上でできる、キック推進力アップのためのストレッチ

投稿日:


経澤耕達

text by:

©Kazuo Fukuchi

宇都宮村上塾・経澤コーチ
大人になってから泳ぎ始めた人のための「板キック」 #02

トライアスリートに「顔を上げた板キック」を勧めたい理由

こんにちは、宇都宮村上塾の経澤です。いかがお過ごしでしょうか。寒くなってプールから足が遠のく季節ですが、泳いでいますか? プールの中は常夏。少しでもプールに行きたくなるように連載したいと思います。

まずは「板キック」の定義から。通常、板キックというと、常に顔を上げてキックをする練習を指します。面かぶり(頭を水の中に入れる)または呼吸付きの板キックがありますが、この連載では常に『顔を上げた板キック』(=冒頭写真)を取り上げたいと思います。

どんなに沈みやすい人でも「浮かんでいる部分」がある

第一チェックポイント。水平姿勢。ビート板なしのグライドキック(け伸びのキック)だと水平姿勢が保てるけど、顔を上げた板キックになると水平姿勢が保てなくなると、下半身が沈む→水の抵抗が増える→すぐ疲れる。スピードが出ない・・・という悪循環に陥ってしまいます。

一般的にトライアスリートはスイマーに比べて体脂肪が少なく、たくさん走る分、下半身の筋肉が発達して骨密度が高いことが多く、下半身は沈みやすい。

逆に幼児や体脂肪率が高い人、骨密度が低くなってきた骨粗しょう症の人(女性の高齢者に多い)はプカ~と身体が浮きます(=潜ることがなかなかできない)。

ただでさえ沈みやすい身体なのに、周りを骨に囲まれた重たい頭を上げると、その分、浮力が得られなくなりますから、余計に下半身が沈む。ではどうすればいいでしょうか?

どんなに身体が沈みやすい人でも、「ある部分」は水面から出ていることが多いのですが、それはどこの部分でしょう?

プールサイドの上から観察すればよく分かるのですが、肩(背中の上部)は水面から出るくらい浮かんでいませんか。なぜだかわかりますか?

それは肺、つまり空気の浮袋があるから背中の上部は浮きやすいのです。なので、肩または胸を水の中に沈めるようにすると下半身が浮きやすくなります。イメージとしては、ビート板を前へ伸ばしながら(ビート板を下に沈めないように)身体を水面にベターっとへばりつかせる感じです。

肩まわりの柔軟性を高め、胸郭を広げるペアストレッチ

ただそこで必要になってくるのは肩まわりの柔軟性(特に脇の下あたり)。いろんなストレッチの仕方がありますが、即効性を求めるなら仰向けでやる胸郭を広げるペアストレッチがいいでしょう(=写真)。有名なストレッチなので、水泳の指導者に聞けばわかると思います。

このストレッチは水平姿勢を保つために、また、ストロークのキャッチ動作のときにも必要になってくる(特に呼吸時、前のほうにある腕でのキャッチ動作)ので、故障予防のためにも練習前にぜひ取り組んでもらいたいストレッチのひとつです。

上の写真と同じ「肩まわりのペアストレッチ」を上から見た場合

あるスイミングの指導者がトライアスリートの板キックの練習を見ながら「恐ろしいほど身体が沈んでいる。バイクの練習をやり過ぎて肩まわりが凝り固まっている。水泳のときもバイクのDHポジションをとっているみたいだ(笑)」と。皆さんは、大丈夫ですか?

キックの推進力を高める、足首のストレッチ

水泳は特に肩まわりと足首の柔軟性がないと色々損をします。

流体力学によるシミュレーションでも、この足首の柔軟性とキックの推進力はとても相関関係が高いそうです。子どもの指導現場でも、まれに、筋力はないけれど板キックがとても速い子がいますが、間違いなくその子は足首の柔軟性、ヒザの柔軟性(一般の人に比べて過伸展する)が高い。

また身体的特徴として足が大きい(足の甲の面積が大きく正面を向いている、外に向いていない)、脚の指が長い(足首以上にしなるので長いほうが優位)という特徴が、よく見受けられます。

ただなんでもそうですが例外があります。足首の柔軟性がそれほど高くなくてもキックが速い人が、まれにいます。

その人の特徴は足の両面(足の甲と裏)をうまく使ってキック動作をしている(けり戻し動作が上手)ということです。足の甲だけではなく、けり戻すときに足の裏を上手く使って、水を後ろに送り出しているのです。

そうはいっても足首の柔軟性はあったほうが水の抵抗が減る、足首がしなりキックによる推進力が上がるので足首のストレッチも毎日やってもらいたい。おすすめの足首のストレッチは正座の状態で手を身体の後ろに着き、ヒザを上げるストレッチ(=下の写真)です。

競泳の世界では、ヒザが胸の高さまで上がらない人は、競技としての水泳はあきらめたほうがいいというコーチもいるくらいです。

ただ、無理は禁物ですよ。スモールステップで身体のわずかな変化を楽しみながらトライアスロンを続けていただきたいと思います。

では、次回はキック動作そのものに焦点をあてて述べてみたいと思います。

■著者プロフィール
経澤耕達(つねざわ・こうたつ)
宇都宮村上塾 専任コーチ。日本体育協会公認トライアスロン指導者 筑波大学大学院修士課程体育研究科コーチ学専攻修了 16年 岩手国体 出場 77位

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