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トライアスロンの補給に最適な「介護食」のセレクト法

投稿日:2018年6月8日 更新日:


ルミナ編集部

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©Kenta Onoguchi

トライアスリートで介護食アドバイザーの高瀬 誠さんが「トライアスロンの補給食に介護食を活用する」をテーマにさまざま観点から、実際に宮古島トライアスロン完走をするまでを3回に分けてレポートしてくれた。補給食に悩みがある人、また初めてロングレースに出場する人など、ひとつの方法としてぜひ参考にしてみよう。

まずは、Vol.1 ロングレースに向けた、新たな補給食の切り口「ここが変だよ!トラメシ」からどうぞ。

介護食deトライアスロン vol.2

レースで使える介護食をセレクト

コラム2回目は、宮古島トライアスロンに向けて補給食に活用できる介護食品のアイテムを紹介していこう。まずアイテム選びの前提になるのが、「このロングレースで必要なエネルギーはどのくらいか?」ということ。必要なカロリーを元に、摂取する補給食を検討していく。

前提となるエネルギー計算
実はスポーツ栄養学でも、トライアスロンのような過酷で長いレースでの消費エネルギーは、変動要素が多く非常に計算しにくい(競技単体の運動エネルギ―に加えて、自然環境の影響をモロモロ受けるため)。

この辺は、宮古島トライアスロンの元チャンピオンである、河原 勇人コーチ(トーシンパートナーズ・チームケンズ所属)にご協力いただいて、標準な体型・タイムで走った場合の目安を出してもらった。

河原塾「宮古島レース対策講座」より一部抜粋

上記の計算式の数字を見ても分かるように、ロングレースで消費するエネルギーは非日常なくらい多く、補給食で必要とされる分も相当に多い(身近な食べ物でコッテリ系を例に挙げたので参考まで)。

このあたりが補給は第4種目と言われるゆえんで、レースを完走するにはいかに走りながら効率的にエネルギーを摂っていくかが必要となり、そのためには胃腸など消化器官をフル稼働させるため大きな負担を強いられることになる。つまりトライアスリートは、フードファイターでもなければならない!

では本題に戻って、宮古島トライアスロンのようなロングレースでの補給食にどんな介護食品を活用できるか実践的なメニューを紹介していこう。

おそらく介護食品といってもイメージが湧かない方が多いと思うが、食べることや栄養面に配慮された介護食品は、ロングレースのような過酷な運動環境で重要となる補給食にマッチするケースもあるので、初めての方でも直感的に分かりやすいように紹介していく。

今回は「食事の栄養バランスガイド」を参考に、献立メニューごとに、おすすめのアイテムをピックアップ。

 

【クリック・ピンチアウトで拡大】

 

主食その1 究極進化したごはん

まずベースとなる主食と言えばごはんが挙がるので、レース中でも食べやすいもので、エネルギー強化されたものをセレクト。この商品で特筆すべきなのが、究極に進化した健康油であるMCTオイルを配合して炊いてある点だ。

MCTオイルとは純度100%の中鎖脂肪酸油になり、ざっくり言うと最近話題の健康系オイル(亜麻仁油やグレープシードオイル)の類で、トップレベルの精度。このオイルを配合してコシヒカリが炊き込んであるので、消化吸収の良さとエネルギーの高さが両立でき、しかもそのまま携帯して食べることができる。

 

主食その2 星3つくらいの雑炊

次にランパートでの提案。走りながら食べると胃腸の負担になるので、なるべく負担にならないように雑炊のような形態で、ごはんとおかず・スープを一緒に食べられるメニューを。

この商品の良さはズバリ味で、鯛やふかひれといった高級食材を投入しているのと和食で有名なにんべんの出汁で仕立てた、もうすぐミシュランで星を獲得するのでは? と思わせるような調理レベル。ジェルのような糖類中心の補給食だと、レース中に甘さが続くのが嫌になってくるが、これくらい美味しいとむしろ食欲が湧いてくる。

 

主食その3 〆には麺類もアリ

雑炊の次に麺類となると、もはやレースの補給食なのか鍋の具材なのか分からなくなってくるが、介護食品でも好みに応じた麺類の商品はあるので補足程度にピックアップ。

これらの麺類商品も、柔らかい具材に短く切ったちゃんぽんやうどんが入っているので食べやすく、美味しく食べる楽しみを含めてレース終盤のキツイ場面で食べるのがおすすめ。

 

主菜その1 洋風おかずの定番

まずごはんにあう洋食で挙げるなら、ということで定番おかずのカレーとハヤシをご紹介。一見すると普通の食品と変わらないが、具材はやわらかく小さめに調理してあり、「歯ぐきでもつぶせる」くらいの物性の規格になっている(←これを家庭で行うのは非常に難しいレベル)。

となると「カレーは飲み物」という名言(迷言)があるように、本当に噛まずに食べることもできるのだが、ここで摂食する際の注意点を。

【補給時の注意点】
人間の食べる機能として噛むこと、食塊(しょっかい=食べ物を口に入れてかみ砕き、唾液と合わせて飲み込む前の塊のこと)を形成してのどに送ることは非常に大事で、このプロセスを飛ばしてしまう(一気に飲んでしまう)と、誰しもむせ込み、消化・吸収されづらくなるリスクがあるので、よく噛んで食べてほしい。

 

主菜その2 お弁当のおかずも

次にごはんに合うおかずでバリエーションを展開していくと、よくあるお弁当の惣菜メニューもある。これらも具材はやわらかく、食べやすさに配慮してあるもので、さすが大手メーカーということもあり、そのソースや味付けも逸品なので満足できるレベル。

このハンバーグがお弁当のおかずに入っていても、これが介護食とは思わないレベルなのだが、これを家庭で作ろうとしたら実は難しいという絶妙のやわらかさ。

※実は介護食というのは加工食品としてもレベルが高く、見た目や味を担保しながら誰にでも食べやすい「ユニバーサルデザイン」の方針に沿っている。

 

副菜(汁物)その1 アクセントの小皿

次に紹介するのは副菜。お店で定食を頼めば小皿に付いてくるようなメニュー。主食・主菜が濃い目なので、付け合わせになるものもチョイス。必ず補給食に必要というよりも、食べる食感や味の強弱でアクセントをつけて食欲をキープしていく感じ。

たけのこは季節だから加えた1品だが、たけのこの穂先のみを使って歯で噛むとすっと細かくなり、カツオと昆布の出汁を効かせた味わい(老舗の佃煮屋が作った介護食ということで珍しい)。

また玉子豆腐のほうは、一見すると普通の食品と変わらないながら、栄養価の面ではエネルギー・たんぱく質が強化されてしっかり栄養をサポートしてくれる。

 

副菜(汁物)その2 アクセントのスープ

ごはん、おかず、小皿とくれば汁物も欲しくなるということでスープ類も加えて、もはやコース料理になってくる(ちなみにこの後にちゃんとデザートも出てくる(笑))。

このポタージュやポトフも、野菜のカタチをしっかり残してあり、見た目が良く味も美味しいし、食べやすさにも配慮されている。

 

乳製品 補給食の絶対的エース

乳製品は、トライアスロンの補給食にもっとも遠いポジションかもしれないが、栄養学的には外せない役割なので医療・介護の専門分野から切り札的な「濃厚流動食(ノウコウリュウドウショク)」もぜひ紹介したい。

一般の方にはまず聞いたことがない医療・介護の専門用語になるが、病気や老衰などで口から食事ができなくなる方向けに、少量で多岐に渡る栄養素を届けるための栄養剤のジャンルにあたる(胃ろうなどの、管から栄養を入れるケースでも使われる)。

もともとはベビー向けの栄養ミルクが開発段階のルーツになっているものも多いが、実はこれが身近で入手できる総合栄養食品でオールマイティに近い存在だ。

商品の栄養諸元の欄を見てもらうとエネルギーをはじめ、たんぱく質のアミノ酸や脂肪酸の組成が良く、ミネラル・ビタミンも書ききれないくらいの種類が並んでいる。

はっきり言ってしまうと、これだけあればレースに必要な栄養はカバーできるのだが、このエースの欠点は乳製品特有の甘く濃い飲み口と開封すると保存が効かないこと(足が早いのだ(笑))

©Kenta Onoguchi

ミルクセーキを片手に走り続けるようなもので、ずっと口の中は甘――――い! いろいろとフレーバー展開はされているものの、基本的に味のベースが同じなのでレースで活用するなら他の飲み物や固形物を併用するのがおすすめ。

少し話が反れるが、ツールドフランスでもエース級プレイヤーばかり揃えたチームだと内輪でガツガツしあって優勝戦線に絡んでこなかったりするように、補給食もやはりタイプや種類を組み合わせた栄養バランスのチーム戦になってくる。

ここからは少し手短に食後の口直しメニューもご紹介。
果物(デザート)その1 コレ1本をミニで

コンビニのチルドコーナーでも売られている、1日分の野菜が摂れる野菜ジュースが病院や介護施設の給食向けになったもの。豊富な種類の野菜・果物が少量コンパクトで摂れて、しかも常温保存も可能なのでなにかと使いやすい。

 

果物(デザート)その2 補給に旬も取り入れる

食べる楽しみという意味では、旬のものを加えるのも良いので、ちょうどこれからの新茶の時期にちなんで抹茶(風)の和風デザートもプラス。

この抹茶(風)プリンも一見すると普通のものと変わらない見た目や味ながら、栄養価はしっかりしたエネルギー・たんぱく質が確保されている(ただし抹茶は入っていないので、気分で旬を感じるのだ)。

 

果物(デザート)その3 小さな巨人ゼリー

パッケージは大きいのだが、開けてみると1口サイズの小分けになった果物テイストのゼリー。

このゼリーはこんなに小さいのにエネルギーは80kcalあり、幅広いビタミン、ミネラルをカバーする。これも医療・介護の専門品だからできる栄養スペックで、薬事的には書きづらいがグリコで例えると1粒で300m走れるくらい。

 

果物(デザート)その4 リハ栄養もスポーツに

もともとは高齢者のリハビリ・機能訓練の栄養サポートとして、たんぱく質をはじめ、ビタミンDとBCAAが強化されており、たんぱく質の量が10g/120g(1本)という結構な高さでありながら、プロテインのようなマッタリ味ではない、むしろすっきり味テイスト。

こういったリハビリ向けの栄養は、実はスポーツ向けの栄養として活用でき、パッケージも10秒メシのゼリー飲料に近い感じで走りながら摂ることができる。

 

番外編 トライアスリートも歯が命

最後に少し補足として、食後のエチケットにケア用品も。トライアスロンの長いレースを補給を摂りながら走っていると、終盤で気になるのが口の中のねばつきや口腔内の汚れからくる気持ち悪さや食欲不振。

レースを長く走って補給を摂り続けるためには、口腔内の環境も大事になってくるので、そんな時におすすめなのが専用の口腔ケア用品。このようなウェットティッシュを指に巻き付けて口の中につっこみ、歯や舌などをクリーンナップできる。

このウェットティッシュに関しても、本来の目的以外にもマルチに使え、デオドラントシートのように身体を拭けばサッパリ清涼感があり、もしもトイレに行きたくなった緊急事態にも一役買ってくれる(1枚でなんでもカバーしてくれる、安定の包容力!)。

いつもの補給食に+αするだけでも

以上、宮古島のレース向けにおすすめの介護食+αを、献立メニューごとに紹介してきた。

1回目のコラムでもお伝えしたようにこちらは本来の目的用途とは別の用途だが、ロングレースのような過酷な状況において当てはまる場合があるので、普段使っている補給食に1~2品加えるだけでもサポートしてくれる(どのように活用するかはあなた次第)。

今年の宮古島トライアスロンには、実際に介護食品を補給食として持って行った。セレクトしたアイテムをいつ、どのように食べるかも大事なので、次回のコラムではどのように実践したかその様子をお伝えする。

ちなみに介護食品は、ユニバーサルデザインフードと呼ばれるように誰でも食べやすいように規格・設計してあり、その介護食品の選び方も基準(区分表)があるのでこちらも参考程度に。

出所:日本介護食品協議会 ユニバーサルデザインフード

 

≫≫≫次回コラムでは宮古島トライアスロンの報告、検証。

 

 

プロフィール
高瀬 誠
介護用品・福祉人材アドバイザー、セミナー講師。趣味でトライアスロンをしながらパラ・トライアスロンやトレイルランニングのガイドも務める(青山トライアスロン倶楽部、新宿食支援研究会 所属)

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