TRI Life with Zwift
まだ始めてないトライアスリートへ。
Zwiftおすすめコメント4選~その1
それでも、まだ始めてない人に捧ぐ、トレーニングアプリ「Zwift」おすすめガイド。リアルなレースシーズンが本格再開した今こそ、トライアスリートでZwifterな、4人が実感している、そのメリットとは?
写真=小野口健太
Yu Shinozaki
モンスタートライアスロンクラブ代表。大学時代にトライアスロンを始め、2年時に日本選手権出場、大学4年時には全日本大学選抜トライアスロンで個人総合優勝。卒業後はミドル~ロングを主戦場とするプロトライアスリートとして活躍。指導者としても活動し、インドアバイク・トレーニングセッションの開催歴は15年を超える。
スマートトレーナーの進化で
格段に使いやすく。
篠崎 自分がZwiftを使い始めたのは2017年くらい。スマートトレーナーを手に入れたときです。彦井浩孝さんのパーソナルコーチングを受けることになり、本格的にパワートレーニングを始めるために、取り入れたのが最初です。
自分のパワーを把握して、進捗を確認していく上で、一定の環境でテストもしやすいインドアトレーニングの環境を整えようと。
当初はコーチから提示されたメニューをZwiftを活用して実施していました。与えられたメニューをこなすだけで毎日疲労困憊というくらいの内容だったので、当時はそれ以外にZwiftライドを行ったりといったことはなかったですね。
実走も週1回行ければいいかなというくらい、インドアでのメニューに集中して取り組んでいました。
それ以前にもZwiftは知っていて、面白いなとは思っていたのですが、本格的に使おうと思ったのはスマートトレーナーが進化してから。
狙った負荷(出力)まで、自分のシフトチェンジや負荷調整でもっていくという、それまでの使い方よりも、Zwift上で選択したコースやワークアウトに合わせて、自然に負荷が変わる、スマートトレーナーのほうで負荷を調整してくれるようになってからのほうが、格段に使いやすくなりましたよね。
インターバルメニュー的に、狙ったところまで出力を上げて、レストを入れて、また上げて・・・と正確に繰り返せるようなコースプロフィールの場所は、実走では、なかなか見つからないと思いますし、
そもそも、家の近くの平地で、全力にこぎ続けられるコースなんて、まずないですよね。
山や峠のような、上りっぱなしのコースだと、下らなければいけない分、休憩の時間がすごく長くなってしまいますし。トレーニング効率という意味では、やっぱりスマートトレーナー×Zwiftは、有効です。
外乗りできるようになっても
レースに向けた強化はZwift
コロナ禍で、外乗りがためらわれるような時期も終わり、3月から夏にかけて、外乗りできる気候になってくると、週末は実走に出かけるので、インドアはいいや・・・という人も多いと思います。
ただ、実走することが増えた今も、ターゲットとする大会が近づいてくると、Zwiftを活用するメリットが高くなってきます。
トライアスリートの場合、「今ならこのくらいのワット(出力)でレースを走り切れるな」という目安がついてきたら、その想定レースペースで集中して走る、という練習が必要になってきて、実走だったら大井ふ頭とか彩湖のような、ある程度見通しのきくコースで、DHポジションをとってレースペースで走り続ける練習をするんですが、
なかなか実際のレースに近いような走行環境は確保しづらい。
レース3カ月前くらいになったら、Zwift上で、そうしたトレーニングに集中するのがオススメ。
もちろんその場合、自転車のコントロールなどは身に着かないので、いつも以上に、実際の走行ポジションでこぎ続けることを意識する必要があります。DHポジションをとって、路面を見ているくらいの角度に、スマホやタブレット、PCなどの画面を置いて、乗るようにしたほうがいいと思います。
頭の位置ひとつで、重心の位置は変わってくるので、より実走のポジションに近づけていくという意識は必要。
かつては自分の調子が、トレーニングの進捗(仕上がり)をチェックするためのマイコース、峠などを用意しておくというのがサイクリストやトライアスリートの常道でしたが、今はその役割はZwiftにとって代わっているんじゃないでしょうか。
実走は風や気象状況など、そのときどきで条件が変わるので、同じ条件下で自分の実力をはかる、というのは、基本的にはできないですから。
そういう意味でも室内で行うZwiftは使いでがありますよね。
自動車テストコースの200㎞TTで
Zwiftのリアルさを実感!?
オーバルの自動車テストコースを走る「しろさとTT」を何度か走っていますが、その時の感覚が「リアルなZwiftをやっているような感じ」なので、裏返せば、実走でこぎ続けるライド感覚をZwiftがいかにリアルに再現できているか、といことでもあると思います。
しろさとTTのようなイベントやレースの日でない限り、実際どこで実走しても、ノンストップでDHポジションのままこぎ続けられることってないですよね。
心肺機能への負荷という意味でも、そうしたトレーニングは重要なんですが、 それが家の中で、いつでもできるというのが、特にトライアスリートにとってのZwift導入の一番のメリットだと思います。
今までのスマートトレーナーではないローラー台でも、自分で集中して、実走行をイメージしてこぎ続けられる人は、それができたんですが、実際にはメンタル的に、なかなかハードルが高い。Zwiftはゲーム的な仕掛けで、そのハードルも下げてくれるのがうれしい。
オンラインの設定が苦手な人は
スマホかタブレット活用がオススメ
自分の走りの諸データが、リアルタイムでゲーム的に表示されるのも、楽しくて、集中を保つのにプラスですし、
頑張れば頑張るほど、ポイントが貯まってレベルUPしたり、アイテムをゲットできるというのも、僕らRPGやシミュレーションゲームで遊んだきた世代には、トレーニングを楽しませてくれる要素になっています。
こうしたオンラインサービスの設定が苦手という人には、PC版ではなく、スマホやタブレットを使ってアプリで使うのがオススメ。
細かく使用説明・マニュアルなどを読み込まなくても、画面を触っていって、感覚的にいじっていくだけでも、ある程度使いこなせるようにできていると思います。
汗をかいた状態でPCのキーボードを触って大丈夫か、という心配もありますし(笑)タッチパネルで操作できるデバイスを活用するのがオススメ。
世界のどこかで
5分に1回は開催されている
Zwift上のレースを活用する法
いつこぎ始めても、ワールドワイドなZwiftでは、常に多くの人が乗っている・走っているのもいいんですよね。
まったく誰もいないところでひとり走るより、周りに人が走っているランニングコースのほうが頑張れるのと同じ心理。
さらに、どのタイミングで入っても、5分に1回くらいは、世界のどこかで開催されている、Zwift上のレースに参加してみるのもオススメ。
練習としてのレースなので、途中でやめても誰にも迷惑はかからないし、走行データも残るので、自分が頑張って追い込めたときは、どんな走りになっていたかなども後から振り返れる。
では、どんなレースに参加するといいのか?
まず自分が乗れる(確保できる)時間の中で探すのが基本だと思うんですが、その中でも、比較的長いレースを選んでみるのが私のオススメ。
あまり短過ぎるレースだと、ペースが早過ぎて、前半から全力でこいで、脚がパンパンになって、後半ただ回しているだけ・・・という状態に陥るよりは、前半抑えめで入れるくらいのレースのほうがいい。
ただZwiftのレースは世界中から多くの人が参加する分、実際の自転車レースよりも参加人数がかなり多いので、先頭にはついていけなくても、後ろにいくつもできる集団の中で、自分のレベルに合ったペースの集団があると思います。そこに頑張ってついていく――というのでもいいと思います。
いずれにしても長めのコースを選んでおけば、自分の狙った範囲のペースで、いけるところまで参加するというのでもいいし、最後までついていけて完走できれば、それはそれで収穫になると思います。
目的によって、短時間・高強度のワークアウトをやることもありますが、自分の場合はFTPの70~90%、レースペースに近いペースで、比較的長時間こぎつづけるようなワークアウトを選んでやることが多いですね。
いろいろなワークアウトを試してみると、自分にあった組み合わせ・流れのワークアウトが見つかると思います。
プレシーズンは
高出力で「カラダをおこす」のもアリ
――篠崎コーチには、Triathlon Zwifters by Lumina(ルミナ主宰トライアスリートのためのZwiftグループ・コミュニティー)の1~4月企画として、「春先ロング対策ワークアウト・シリーズ」を考案・監修していただきましたが、全3カ月にわたる週一ミートUPのワークアウト、どうやって選んだのでしょうか?
篠崎 前半のほうは「カラダをおこす」ようなイメージで、高出力を出しやすいような身体にスイッチを入れる刺激強めの高強度メニューから入っています。
高出力がある程度出せるようになってから、逆に少し強度を落として、時間を延ばしていくというのが、全体の流れです。
身体をレースモードにおこしてあげて、高出力が出せるようになってから、強度を落とし、レースペースでの比較的長いトレーニングに入っていくというアプローチです。
高強度の走りを身体・筋肉が覚えている状態で、長時間レースペースで走ってみると、ただ普通にレースペースで巡航するときよりも、ギヤが重く感じないので、フォームのほうに集中する余裕もでてきます。
特にミドル~ロングのトライアスロンでは、補給やエアロフォームなど、走りながら意識しなければいけないことがいろいろあるので、こうした余裕をもって走り続ける能力を磨くことは重要です。
これからZwiftを始める人は、まず実走では(コース環境的にも、安全面でも)なかなかできない、全力でこぐようなメニューをやってみてほしいですね。その後3~4日、回復の時間をとってから、外へ乗りにいってみたら、いつもと全然違う感覚が味わえると思いますよ。
>>今こそZwiftはじめよう。
エイジグルーパー編〈大西勇輝さん、柴田亮さん・知代さん、保科栄文さん〉
近日公開!