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国内敵ナシを印象づけた男女王者の「圧勝」と「課題」。第35回宮古島大会《速報》

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ルミナ編集部

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バイクスタート時点で早くもトップに立った戸原開人。そのまま3勝目のフィニッシュまで独り旅に

全日本トライアスロン宮古島 第35回記念大会《レース速報》

写真/小野口健太

国内最高峰のロングディスタンス・トライアスロン「全日本トライアスロン宮古島大会」が4月14日(日曜日)、沖縄県宮古島市で開催され、1502人が出場(男子1275人/女子227人)、当日朝の雨による影響でスタートが15分遅れるというハプニングはあったものの、1205人が完走し、完走率は前回大会(80.8%)とほぼ同じ80.2%だった。

35回目の優勝争いは、男子総合が戸原開人、女子は鷲津奈緒美が、それぞれキング・オブ・ストロングマンの栄冠に輝いている。

強い雨による視界不良の影響で異例の15分遅れスタートとなった35回大会。制限時間も15分スライドしたこともあって、完走率などに影響はなかった

終始独走で、3年ぶり3度目Vの戸原開人

男子のレースは戦前の下馬評どおり、2015・2016年の王者、戸原がトータルタイム7時間55分43秒で、2位以下に40分以上の差をつけて通算3勝目をマーク。「圧勝」と言っていいレースだった。

戸原はバイクスタート時点でトップに立つと、以降はセーフティーリードを保ちつつの独走状態。「波はほとんどなく、泳ぎやすいコンディションでした。バイクスタートからトップに立てたのは意外でしたが、気持ちよく走れました」(戸原)。

しかし、戸原自身は、3年ぶりの「優勝」という目標を達成できたこと自体には喜びつつも、今後、アイアンマンで世界のトップに挑んでいく上では、課題を残したレースになったとも。

スイムスタート時に強い雨が降った後、バイク・ランでは強い日差しが戻るなど、めまぐるしくコンディションの変わった今大会。気温は朝(午前7時)の段階で22・3℃、午後2時時点で24・5℃と、それほど上がらなかったが、その分、暑さ対策がおろそかになり、熱中症に陥りペースダウンする選手も少なくなかった。

終始、危なげない走りで好記録をたたき出すかと思われた戸原も、ラン終盤、熱中症で大幅なペースダウンを余儀なくされたのだ。

「(ランスタート時点で2位以下と)13分くらい離れていたと思うのですが、私はランが得意なので、正直言ってセーフティーリードかなと思いました。折り返しまでの前半はキロ4分ペースくらいで、さらに差を広げようとポジティブにプッシュできたのですが、25㎞くらいから頭がクラクラして、止まって休んでしまうことも。

折り返し地点で後続と30分程度差があったので、この先も無理をして飛ばすのではなく、自分の実力不足だと思って安全なペースに切り替えた。その後は、エイドに寄って、しっかり身体を冷やして休みながら走りました」

むしろ暑いレースを望んでいた戸原だが、予想ほど暑くならなかったことで、エイドで身体を冷やすことがおろそかになり、「そこに無理があったかもしれない」と振り返る。

3年ぶり通算3勝目となる勝利を上げた戸原。Vサインではなく「3」本の指でアピール

「世界の強豪と競うにはまだまだ足りない」(戸原)

また、パフォーマンスの面でも、国内でこそ『敵ナシ状態』だが、今後、アイアンマン戦線で世界のトップに挑んでいくには、「まだまだ足りない」と再認識。7月21日に出場予定の次戦、アイアンマン・スイスに向けて、気を引き締め直した。

「昨年1月から(それまでの所属チームを離れ)フリーになり、その態勢を整えるために(前回大会時点では)満足のいく練習ができていなかったので、最低限のパフォーマンスしか発揮できなかった。1年経って、ちゃんと自分のパフォーマンスが戻ってきたという実感はあるが、世界の強豪と競うにはまだまだ足りない。(次戦)7月21日、アイアンマン・スイスには、もう一段階レベルを上げて、挑みたいと思います」

大会史上初の5勝をマークした鷲津奈緒美。ランで終始独走も、自身の思い描く走りにはほど遠かった

通算5勝の鷲津。関心は「快挙」より、次に向けた課題

女子のレースを制したのは、ディフェンディングチャンピオン鷲津奈緒美。バイク60㎞過ぎで一度、トップに立った後、食い下がる稲葉明子との差を広げられず、トップを交代しながらランへ入るという、前の2勝とは異なる展開となったが、ラン序盤で抜け出すと、そのまま独走態勢に入り、2位以下に20分超の差をつけて優勝。

男子総合チャンピオン戸原と同様、ロングにおいては「国内無敵」を印象づけるレースとなった。

競技復帰後3連覇と、男女を通じて歴代最多勝利となる「通算5勝」という偉業を達成した鷲津だが、あっけらかんと「5勝目の実感は、まったくない」と語り、大会史に残る偉業よりも、レース前、今大会の目標として掲げていた「自身納得のいく、100点満点のレース」が実現できなかったことを悔しがった。

「去年も納得のいくレースではなかったので、今年こそ良いレースをと、頑張ったが、まだまだ実力不足。スイムは1周目から、良いパックについて、1周目の最後200mくらいまでは、良い位置で泳ぐことができたので、練習の成果を少し実感できたが、ランがいまひとつ。

良いペースで入って、それを維持できなかったのは・・・暑さと宮古島のランコースのアップダウンのせいにしたいんですが、本当の原因はよく分からない。レース前から足の調子も良くなく、最後のほうは脚がまったく上がらず、すごく辛かった。

ランは練習ではもっと良い走りができるのですが、レース本番ではなかなかそれが発揮できずにいる。例えば宮古島のコースでも、3時間20分を切れたらいいなと思っているが、今回の最後の失速ぶりはマズい(※今回のランラップは3時間30分超)。そのあたりはまた宮塚(英也)コーチにアドバイスをもらって何とかしていきたい」(鷲津)

昨年からふたたび宮塚英也コーチのもとで指導を受け、その成果を実感しつつあるが、アイアンマン・シリーズなどで世界に挑むには、まだまだ「スイム、バイク、ランすべてにおいてレベルアップが必要」と語る国内ロングの現・絶対女王。

今後は、運動強度の高くなる実戦(レース)をより多くこなすことで、レベルアップを図り、「来年こそ成長して、宮古島大会に帰ってきたい」と、決意を新たにした。

フィニッシュ後、宮塚英也コーチに勝利の報告。かつてアイアンマン世界選手権TOP10入りした選手として宮古島に参戦した宮塚コーチ同様、世界で結果を出し、ストロングマンの格を上げられるか

男女ともに今の日本ロング界をけん引するエースが強さを見せてくれた、35年目のストロングマン。その両王者が、世界で飛躍を遂げてくれれば、国内最高峰ロング(日本を代表するロングディスタンストライアスロン)としての宮古島大会もまた、さらに世界に知られる国際大会に飛躍できるだろう。

★そのほかの上位記録などは、大会公式・記録速報から https://systemway.jp/19miyako

★「全日本トライアスロン宮古島 第35回記念大会」の詳細リポートは『Triathlon Lumina』7月号(6月1日発売予定)に掲載します。

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