スタンダードディスタンス51.5㎞で開催された男子エリート
2020東京のためのテストイベント「オリンピック・クオリフィケーションイベント」(以下、東京OQE)は2日目の8月16日、男子エリートのレースが行われ、日本の5選手(古谷純平、北條巧、小田倉真、石塚祥吾、ニナー・ケンジ)を含む各国の代表65選手が参加した。
暑さのため距離短縮(ラン10㎞→5㎞)で開催された前日(エリート女子)に比べ、風こそやや強かったものの気温は高くならず(29.2℃)2020東京で予定されているスタンダードディスタンス(スイム1500m/バイク40㎞/ラン10㎞)で開催されたレースは序盤、ヘンリ・スクーマン(南アフリカ)やジョナサン・ブラウンリー(イギリス)ら、リオのメダリストらを含むトップグループがスイムから先行。
バイクで20人超の第1集団を形成し、ペースを上げていくが、ほどなく第2集団に追いつかれ、40人近い大集団に。
今回のテストイベントに参加した選手の多くが語ったように、「コースマップから想像していたよりはアップダウンもあり、テクニカルなバイクコース」で、ハイスピードな集団走行が展開される中、いくつかの落車の影響で優勝候補だったクリスティアン・ブルンメンフェルト(ノルウェー)を含む数名が脱落するも、30名超の大集団のまま、勝負は10㎞のランパートへと持ち込まれた。
ハイレベルな大集団からのラン。抜け出した伏兵たち
ランではスクーマンやジョナサン・ブラウンリーら日本でもおなじみの歴代メダリストや実力者たちの動向に注目が集まるが、彼らのペースは上がらず。この走り出しの勢いで各国の五輪代表選考事情も絡んで、この東京OQEで勝ちにきている選手と、2020東京の実戦テスト的な位置づけで出ている選手の温度差が浮き彫りになった。
そうした状況の中、抜け出したのは、テイラー・ミスローチャック(カナダ)、ヘイデン・ワイルド(ニュージーランド)、カスペル・ストールネス(ノルウェー)の3選手。
拳を突き上げフィニッシュし、雄たけびを上げ歓喜を露わにするなど、このレースに賭けた熱量の高さを印象づけたミスローチャックが優勝。エース、ブルンメンフェルトを落車で欠きつつも、客観的なデータを活用した緻密な強化で層の厚さを増しているノルウェー勢の一角、ストールネスが2位に入るなど、日本国内のレースではまだ名の知れていなかった気鋭の3選手が東京OQE男子エリートの表彰台を分け合う結果となった。
世界との差を再認識させられた日本勢。最先着は古谷の35位
当初の想定を上回る5選手が参戦し、開催国として世界に一矢報いたかった日本勢は、スイム1周目を5位と好位置で通過して存在感を示した北條巧がバイク終盤、落車に巻き込まれて遅れをとり42位。
北條と同じく、スイムを好位置で上がってバイク第1集団でも中盤の位置をキープした古谷純平が35位。
急きょ出場が決まった小田倉真、石塚祥吾、ニナー・ケンジはランでリタイア(DNF)。
ハイレベルなバイク集団走行で積極的なポジショニングができるスキルや、勝負のランでのさらなるレベルアップなど、それぞれが抱える課題をあらためて痛感させられるレースとなった。
男女ともに白熱を極めたハイレベルなレース展開となり、各国代表選考事情も絡んだ駆け引きも見え隠れする2020東京戦線の最先端「東京OQE」は、明日17日(土)にパラ部門、18日(日)にミックスリレーと続く。
★選手コメントやレースの詳報は、Triathlon Lumina11月号(10月2日発売)に掲載予定。
(順位/名前/国名又は所属/総合タイム)
1 テイラー・ミスローチャック(カナダ)01:49:51
2 カスペル・ストールネス(ノルウェー)01:49:55
3 ヘイデン・ワイルド(ニュージーランド)01:50:03
4 グスタブ・イデン(ノルウェー)01:50:25
5 ジョナサン・ブラウンリー(イギリス)01:50:28
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35 古谷純平(三井住友海上) 01:54:20
42 北條 巧(博慈会 NTT東日本・NTT西日本)01:57:40
DNF 小田倉真、石塚祥吾、ニナー・ケンジ