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松田丈志の佐渡B「自分超え」、切り札は「タバタ式」で時短?

投稿日:2019年8月12日 更新日:


ルミナ編集部

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松田さん(写真右)の「自分超えプロジェクト」佐渡B編の目標設定とその達成のためのアプローチを指導してくれた河原勇人コーチ(同左) ⒸMasaru Furuya

「勝ち飯®」アンバサダー 松田丈志の自分超えプロジェクト

★佐渡国際トライアスロン篇 ♯02 目標達成のためのアプローチは?

「勝ち飯®」アンバサダー松田丈志さんが佐渡トライアスロンBタイプ(9月1日開催)での自己ベスト更新に挑む、メダリストのガチでリアルな挑戦企画、2回目は、佐渡グランドスラム男・河原勇人コーチとともに設定した「目標」を達成するために、どんなアプローチをとるべきか? 考えてみた。

>>>前回の記事を読む

撮影協力=NEUTRALWORKS.TOKYO

理想は「長く動き続けるトレーニング」だが・・・

Lumina 目標タイム・順位・フィジカルの目標が決まったところで、今度はその達成のために、どうしていくか? というところですが。

河原 ミドル以上のトライアスロンでは、「絶対的なスピード」よりも「平均最高速度」を上げていくことになるため、本来ならある程度長い時間をかけて、距離を踏める練習を積めるとベストなのですが、松田さんの7~8月のスケジュールをうかがっていると、現実的にそうはいかなそうですね。

となると、細切れの時間をうまく活用して準備していくしかない。

私自身、ロング前は週末などに長い時間動き続けるトレーニングが必要だと思っているのですが、ミドルディスタンスであれば、「時短メニュー」を考えて、実践していけばやりようはあると思います。

松田 今回の佐渡はランでの脚つりによるブレーキを絶対になくしたいと思うので、スピードを上げるというよりも、河原コーチがおっしゃったように多少遅くてもいいので、一定ペースで走り切れるようにならないといけないなと考えてました。

「長い練習」というと、バイク・ランでは実際どのくらいですか?

河原 実際、レースで走る距離と同じくらいの距離を続けてできると理想的です。1日で続けてできればいいですが、なかなか難しいと思うので、例えば、土日など2日間かけて、スイム2㎞、バイク108㎞、ラン21㎞をやる、といったことができれば、レースを十分走り切れる体力はついていると言えます。

とくに長いバイクの後のランでつぶれてしまうと大きなタイムロスになるので、そうならないよう意識した準備(練習)が重要です。

昨年はオリンピックディスタンス・デビューの宮崎シーガイア大会、佐渡Bいずれもランでの脚つりで大幅ペースダウンを余儀なくされたという松田さん(写真は今年7月のひわさ大会) ⒸJero Honda

トライアスロン・ランでの「脚つり」を何とかしたい!

松田 なんせ過去2回、トライアスロンのランで脚がつっているので、これを何とかしたい。それだけでかなりのタイム短縮になりますよね?

昨年の佐渡もゴールの手前で、脚がつっては・伸ばしをくり返していたので・・・。

河原 運動由来の脚つりは人によって原因もさまざまなので、対策もそれぞれが自分にあったものを見つけるしかありません。

このあとエンデュアライフやスポーツサイエンスラボでアドバイスを受ける、バイク・ランのポジションや乗り方・走り方、レースでのペース配分でも変わってくるでしょうし。

あとは補給についても、今年はレース中に梅干しをとるとか、電解質補給などもぜひ意識して試してみてほしいですね。

松田 補給は結構考えていると思うんですよ。昨年の佐渡はバイクでエネルギージェルを3本くらい、アミノバイタル® も途中で(レース中も)2回くらい摂った。ドリンクはスポーツドリンクなどもしっかり摂って。

ですので、電解質補給についても、もちろんさらに気を付けてみますが、やはり体重を支える脚力と、トレーニング不足が主な原因かなぁと・・・。

河原 フルマラソンでは、つらなかったんですか?

松田 うーん、どうだったかな。ホノルルマラソンが初マラソンで2017年の2月、4時間50分ちょっと。で、この間の東京マラソンで4時間26分。ホノルルは暑くてキツかった。東京はしっかり防寒もしていたので、寒過ぎず、暑くなかったので走りやすかった。ホノルルよりアップダウンも少なかったし。

東京マラソンの前は1カ月半くらいの準備期間で、20㎞走を2回くらい、10㎞を4回くらい走って、速くはなかったですけれど、最後3㎞くらいはペースを上げられるくらいの余裕はあったので・・・トライアスロンで脚がつるのはバイクをやったあとのランだから、脚にきているのかなと。

だからこの間のひわさ大会に向けては、バイクを頑張ってみようと。限られた準備期間でしたけれどコツコツ積み上げて、ランに影響が出ないかどうか、自分の中では試してみたんです。

結局、距離短縮になっちゃったので単純に比較はできないんですが、割とアップダウンの厳しいバイクコースの後でしたが、やっぱり、以前より余裕をもってランに入れたと思います。

昨年はローラー台を持っていなかったので、たまに時間があったときに外に乗りに行くくらいしか練習できていなかった。そこで今年はローラー台を買って、家で30~40分くらいギヤを変えて負荷を変えながら練習していたんですが(前回記事参照)・・・坂では全くダメで。

7月のひわさ大会では、距離短縮ながらアップダウンの厳しいバイクコースで、あらためて「上り対策」の必要性を感じた ⒸJero Honda

バイクの上り対策はローラー台でできる?

河原 ローラー台は安定して練習時間を確保できるので、有効な対策ですね。

松田 ただ、「上り」はローラー台とは全然違ったなというのが、今回(ひわさ大会)の感想です。やっぱり上りには、上り対策として、別の練習が必要なんでしょうか?

河原 ケイデンス(1分間のペダリング回転数)はどのくらいでこいでますか?

松田 100ちょっとから90回転/分くらいを意識しています。

松田さんのプロジェクトスタート時点でのあるバイクトレーニングから。平均ケイデンスを上げていくとともに、上り対策として、低回転・高トルクのペダリングを練習していくことも必要

河原 平地は慣性が働くのですが上りはある程度トルクをかけて進まないといけないですから、上り対策としては、低回転でしっかりトルクをかけて回すということも必要にはなってきます。

松田 じゃあ、ローラー台で上りの練習をするときは重いギヤにして、低回転で?

河原 いや、あまり重過ぎるギヤで「ギュッ・ギュッ」と摩擦音がするようなムラのあるペダリングになってしまうといけないので、「ギューッ」とある程度のトルクがかかった状態で回転数もあまり落とさないようにキープしてこぐイメージです。

それから、ローラー台で練習するとき、前輪の下に電話帳とか何か台をかませて、前輪が上がった状態でこぐだけでも使う筋肉が違ってくるので、上り対策になると思いますよ。平地と上りでは、ペダリングの力のかけ方も違いますから。

平地では少し前にペダルを踏み込む感じですが、上りの場合は、もう少し真下に踏み込む感じになると思います。重心の置き所も変わってくる。

松田 佐渡B後半の上りでは腰とかにも痛みが出るくらい負担が大きかったんですよね・・・。

河原 そのあたりはバイクのポジション・セッティングにもよるので、エンデュアライフ(バイク編)できっと良いアドバイスをもらえると思います。

それと、松田さんはバイクの後のラン、いわゆる「ブリックトレーニング」もされているとのことで、これは良い実戦対策になると思います。

ラン練習も、外で走るだけでなく、インドアでトレッドミルを使って傾斜をつけて走ってみるというのも、負荷がかけられて良い強化になると思います(※ラントレーニングについてはスポーツサイエンスラボ指導のラン編でも解説します)。

ランでのケイデンス(ピッチ)も意識していこう。

松田 (3種目の中では、一番の強化ポイントである)ランでは、どんなトレーニングをしたらいいでしょう?

河原 ランニングのケイデンス(ピッチ)はどのくらいですか?

松田 あー、それはわからないですね・・・。

河原 バイクと同じで、ある程度ピッチを早く保てていたほうが、ふくらはぎなどへの負担も抑えられると思います。これもガーミンですぐにチェックできますが・・・(実際、松田さんのガーミンコネクトのデータをチェック)・・・今、ピッチの平均が162/分くらいなので、これが180に近づいていくといいと思います。

プロジェクトスタート時点でのあるラン練習から。平均ピッチを上げて、180(バイクでいう90回転/分)くらいに上げていけるとふくらはぎなどの負担も減るはず。ガーミンを活用して、この変化(進捗)を日々セルフチェックしていきたい

心拍数も併せてチェックしたいですね。今、ガーミンコネクトのデータをパッと見た感じ気になったのは、バイクのときのほうがランより心拍数が低く、かなり余裕がある。

ラン練習で、例えば今と同じペースで走るにしても、走り方などを意識して、心拍数を抑えていくイメージでいけると、よりランのパフォーマンスも伸びると思います。

これも松田さんのプロジェクトスタート時点でのあるラン練習から

河原 それから、シューズ選びでもランのパフォーマンスは変わってくると思います。松田さんくらい身体の大きい(体重のある)方だったら、HOKA ONE ONEのシューズなどを試してみてもいいかもしれませんね。

最近トレンドの「厚底のランニングシューズ」なのですが、その中でもこのブランドのシューズは横幅もあるので、ミドル以上の比較的ゆっくりなペースでも安定感があって、脚の運びもスムーズです。

特に長い距離のトライアスロンでは世界的な人気があって、アイアンマン世界選手権での使用率もNo1のシューズブランドです。

松田 あ、じゃあそれ早速使ってみます。頼れるモノには、何でも頼りたいので!(笑)

河原さんのアドバイスを受けて松田さんが選んだのが「HOKA ONE ONEクリフトン6」ⒸMasaru Furuya

忙しい松田さんの切り札は、高強度短時間インターバル!

河原 松田さんがこのあと9月の佐渡大会までに、トレーニングできる時間・機会はかなり限られていると思うので、そうした状況を考えると、「タバタ式」(※20秒間の高強度運動と、10秒間のレストまたは軽い運動を1ラウンドとして、それを8ラウンド繰り返す)のような高強度・短時間のインターバルトレーニングも有効かと思います。

例えばローラー台で自分の体重の5倍くらいの出力、松田さんなら400W超の負荷で20秒回すとか。

大事なのは4本目以降くらいで息が上がってきて・乳酸がたまってきたところで、どのくらい粘れるか。

松田 くぅ~、現役時代並み(にツラそう)。

河原 そこでスピードを落とさず・フォームも崩さない意志力が大事です。運動強度もさることながら、フォームがブレそうになるところを抑え込むことで、本番のミドルのレースなどでも後半かなり余裕がもてるようになります。

松田 (競泳では同じようなことをやってきたので)その効果もキツさもわかっているだけに・・・佐渡Bのランは21㎞と長い距離ですけれど、そこにも高強度とはいえ短時間のインターバルは効きますか?

河原 もちろんです。そうした長い距離にもしっかり効きます。VO2MAX(最大酸素摂取量)なども高まり、パフォーマンスの底上げにもなりますし。

ⒸMasaru Furuya

松田 ランでのタバタをやるときは、どんなメニューを?

河原 例えば100ⅿ走るコースを用意して、そこを30秒サークルで4往復ダッシュします。
この30秒は、20秒の高強度と、10秒のレストの組み合わせです。これを8本やります。

あとはトレッドミルで上り傾斜をつけた状態で20秒間高強度で走って、10秒間休む、とか。

松田 確かに僕の今の状況を考えたら、タバタ式トレーニングを柱に準備してみてもいいかもしれないなぁ。本番と同じくらいの強度で、同じ時間やる、といった理想的なミドル対策は実際(スケジュール上)無理なので・・・「より高強度でやって、短時間で成果を得る」しかないかも。

あとは、この1カ月くらいで、それ(高強度インターバル)をどのくらい実践できるかなんだろうけど・・・頻度はどのくらいですか?

河原 各種目、週1回が目安です。強度が高いので、違和感を感じたら、スパッとやめてください。

松田 プライオリティが一番高いのはランですよね?

河原 そうですね。最初は例えばトレッドミルなら時速15㎞(キロ4分)くらいから始めてみて、8本やってみて、疲労困憊という感じでなければ、強度が足りていないと思うので、少しずつ上げていってみてください。

もしいけたら時速18㎞(キロ3分20秒)くらいのペースまで上げられるといんですが、あくまでも無理のない範囲で。

松田 いまだかつて(練習では)走ったことがないスピード!

河原 松田さんは心肺機能的には、まだまだ現役の余力もあって、ポテンシャルはかなり高いわけですから、タバタを取り入れるだけでも、かなり成果は上がるはずです。

松田 タバタなら体脂肪を落とす効果も期待できるでしょうしね。VO2MAXも上がって、必要な筋力もつけば、レースペースでもかなり余裕がもてるということでしょうから・・・よし、わかりました! あとは、いかにタバタを高頻度で取り入れていけるか、ですね。

3種目あるから、ランのタバタが週1回としても、スイムは自分にとってはランほどカラダにはダメージが少ないと思うし、その中間がバイク。これをうまく組み合わせていけばいいかな。

週のうち2日に1回くらいでも刺激を入れられたら面白いかなと。

タバタを強化の柱にしていくとして、比較的まとまった練習時間がとれたときは、実走で長い距離・時間のトレーニングを入れる感じですよね? その「長い練習」のほうはどんなことをすればいいですか?

河原 LT(※乳酸性閾値。血中の乳酸濃度が急激に上昇し、ペースを維持するのが難しくなるポイント)を超えない範囲で、長く、できるだけ実際のレース距離・時間に近いくらい走れればいいと思います。理想はレースペースで、レースと同じ距離を走ったり・乗れればですが、それ以上はやる必要はないと思います。

これから暑くもなり身体への負担も大きくなりますので、あくまでも時間の許す範囲、無理のない範囲で取り組んでください。

そのほか、トレーニングを進めていく上で、迷うことがあれば気軽に聞いてください。9月の佐渡大会には私(河原)も出場しますので、次回は現地でお会いしましょう!

かくして「自分超えプロジェクト」佐渡国際トライアスロン編の目標を設定し、アプローチの方針も決まった松田さん。バイク、ランについても、それぞれスペシャリストに、さらに詳細なアドバイスを仰ぎつつ、チャレンジは続く――。

★今回の挑戦の日々の進捗報告は、松田さんのtwitterやinstagramアカウントでも随時掲載中!

>>>♯03「最大の課題、「ラン」を克服しよう。」へつづく

近日公開!
次回以降の予告

♯03 最大の課題、「ラン」を克服しよう。
3種目の中で、松田さんが一番の課題として挙げる「ラン」のパフォーマンスアップを目指し、トライアスリートも含めた市民アスリートを対象としたランニング指導の専門施設『SPORTS SCIENCE LAB(スポーツサイエンスラボ)』の門を叩く。

♯04 セッティング✕努力でタイムを稼ぐ「バイク」対策
ポジションの見直し・調整、ペダリング技術の改善で、短期的にバイクパートでのタイム短縮を狙うべく、トライアスリートへのバイクフィッテイングからトレーニング指導までを展開する『Endurelife(エンデュアライフ)』へ。

♯05 そして、佐渡でいかに闘ったか?
9月1日 佐渡国際トライアスロン(新潟)参戦リポート。松田さんがリアルに挑んだ「自分超え」プロジェクト、その結末やいかに?

「勝ち飯®」アンバサダー松田丈志さんの取り組みは、AJINOMOTO®✕SPORTSサイトでチェック!
https://www.ajinomoto.co.jp/sports/

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コメント

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  1. タバタトレーニング凄く良いと思います👍私も本買って一日1種目目安にやろうと思います🙆‍♀️先ずは私は4分から😅

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