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国内初お披露目のミックスリレー、日本は健闘し11位《プレ五輪 速報》

投稿日:2019年8月18日 更新日:


ルミナ編集部

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東京初上陸のミックスリレー。男女4選手がそれぞれスーパースプリントのトライアスロンをこなしてつなぐ、ハイスピードな展開は観戦スポーツとしてのトライアスロンの可能性をも広げている ⒸKenta Onoguchi

優勝はフランス。イギリスも女子ワンツー取り消しの鬱憤を晴らす奮闘

2020年の東京オリンピックに向けたテストイベント「オリンピック・クオリフィケーションイベント」(以下、東京OQE)が東京・お台場で8月15日から4日間にわたって開催され、最終日の18日(日)は、世界のトップレベルの選手によるミックスリレーが行われた。

スイム300m/バイク7.4km/ラン2kmのスーパースプリントを、女子(第1走者)→男子(第2)→女子(第3)→男子(第4)の順に、4選手がそれぞれ行い、トータルのタイムで競う「ミックスリレー」は、東京2020から正式カテゴリーとして採用されており、国際大会で開催されてきたが、日本国内で各国代表により競われるのは今回が初めて。

同じ国の4選手が並んで、チームとしてトランジションの準備をする光景もミックスリレーならでは。写真は日本代表の4選手 ⒸKenta Onoguchi

レースは女子エリート(8月15日)でまさかの「手つなぎゴール」による失格となったジェシカ・リアマンス(1走)、ジョージア・テイラーブラウン(3走)が、その鬱憤を晴らすかのようなパフォーマンスを発揮してイギリス勢が単独リード。リレー強国のフランス、アメリカ、オーストラリアなどがこれを追う展開。

レースを積極的にリードするイギリス。フランスやニュージーランド、オーストラリアなど、他のリレーシリーズランキング上位国も確実にこれを追う ⒸKenta Onoguchi

イギリスは、リレーのみの参戦となったゴードン・ベンソン(男子2走)も存在感を示してリードを保ち、3走(アンカー)の現ITU最速ランナー、アレックス・イーにつなぐと、最後はフランス、アメリカとの優勝争いに。

個人戦ではWTS横浜で見せたようなキレキレの走りを発揮できず精彩を欠いたイーも奮闘し、フランスとのゴールスプリントまで持ち込んだが、写真判定の僅差でフランスのドリアン・コナンが先着し、女子2選手のリベンジとはならず。ミックスリレー・シリーズのランキングも上位で、地力に勝るフランスが東京2020を見据えたテストコースで、勝利を飾った。

イギリスのアレックス・イー(写真左)とフランスのドリアン・コナンのゴールスプリント。写真判定の僅差でチームに金メダルをもたらしたのはコナンだった。1万m(10㎞)の持ちタイムが27分台という異次元の走力をもつイーは、2020東京に向け、今最も注目を集めているひとり ⒸKenta Onoguchi

日本ミックスリレーの切り札、ニナー・ケンジが魅せる

そして、沿道やメインスタンドの観衆を沸かせたのは日本勢。

久しぶりに1走を任された高橋侑子(富士通/東京)がスイムで出遅れるも、バイクで挽回し8位と好位置で戻ってきて、2走: ニナー・ケンジ(NTT東日本・NTT西日本/山梨)へ。

ミックスリレー・チームJAPANの「切り札」として東京2020代表入りに名乗りを上げたニナーは、前々日の男子エリートのレースを途中リタイアした理由を「ミックスリレーにターゲットを絞っているため(個人のレースを完走するために無理はしなかった)」としていただけあって、リオのメダリスト、ヘンリ・スクーマンら強豪ひしめく2走で順位をさらにひとつ上げる大健闘。

メインスタンドの観衆も「ミックスリレーの切り札」のパフォーマンスを初めて目の当たりにし、大いに沸きあがった。

リオ五輪の銅メダリスト、ヘンリ・スクーマン(写真中央)らと渡り合うニナー・ケンジ(同右)。このミックスリレーの距離にターゲットを絞ったトレーニングを積んでいるという  ⒸKenta Onoguchi

東京2020に向け、可能性を示したチームJAPAN

続く3走: 井出樹里(スポーツクラブNAS/神奈川)、そしてアンカー(4走)古谷純平(三井住友海上/東京)は、バイクで協調してペースを上げていく選手に恵まれず苦戦を強いられたが、ホームの大声援を力に何とか踏みとどまり、11位でフィニッシュ。東京2020に向けたチームJAPANの可能性を示すことに成功した。

リレーゾーンで3走:井出樹里を迎えるアンカー古谷純平 ⒸKenta Onoguchi

51.5㎞のスタンダードディスタンスとはケタ違いのスピーディな展開で、「国別対抗」ならではのチーム戦が繰り広げられたミックスリレー。

チーム種目としてのトライアスロンとして日本のエイジグルーパーの間では根強い人気をもつ「トライアスロン駅伝」のスーパーエリート版とでも言うべき五輪新カテゴリーは、会場を訪れたトライアスリートの観衆にも好評を博し、東京OQE最終日にして一番の盛り上がりを見せた。

ミックスリレー・チームJAPANのコメント(一部)

レースについて

高橋侑子 私がもう少しスイムから良いスタートが切れたら、もうちょっと良い流れがつかめたかな、と思うのですが、とにかくみんなの力を出し切った結果だと思います。そこでいろんな収穫があったと思うので、それを今後につなげていきたいと思います。

スイムで出遅れた高橋だが、バイクでしっかり良いパックをとらえ8位の好位置で2走のニナーにつなぎ、チームJAPANに良い流れをもたらした ⒸKenta Onoguchi

ニナー・ケンジ 今日のレースは良いレースでした。最後の500mはちょっと苦しいけれど、みんな頑張りました。

井出樹里 すごく良い位置でつないでもらったので、もっと自分も良い走りをして古谷選手につなぎたかったのですが、自分がバイクで離されてしまったことは本当に申し訳なかったな、と思います。

古谷純平 最終的に、僕が順位を大きく落としてしまいましたので、本当にチームに対して申し訳ないという気持ちと、自分自身のパフォーマンスに関しては、本当悔しく思っています。

リレーってやっぱり一人ひとりの1秒が大きく展開を左右するところがありまして、一人ひとりが1秒詰めることによって、まだまだ前のほうで展開できると思いますし、そういったところで世界と戦える可能性は残っているとチーム全員が信じていると思いますので、これからもみんなで頑張っていきたいなと思っています。

ⒸKenta Onoguchi

2020東京の目標

高橋 展開によっては、チャンスもあると思うので、みんなの力を合わせて表彰台を目標に頑張りたい。

古谷 チームJAPANとしての目標はメダル獲得。実際に選考の基準にもメダル獲得を目指すというのが明記されているので、そこは全員が明確な目標として掲げています。

現状ではメダル獲得には非常に難しいところにあると思いますけれども、2年前にハンブルグの世界選手権のリレーで良いレースができて、そのときにはリアルに3位以内を目指せるんじゃないかっていう展開でレースを運ぶことができました。

そのレースは、一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮した結果、出せたものだと思いますし、その可能性は今も残っていると思います。

ⒸKenta Onoguchi

個人戦とは違うリレーの魅力

井出 私はリレーに出始めたのは、今年に入ってからで経験は少ないのですが、ここで走っているメンバーは、本当に後ろの走者のために1秒でも少しでも速く、っていう思いでバトンとつないでいましたし、今回は特にこういった気候(酷暑)だったので、スタッフの方々も含めて本当にチームで戦っている感じというのがすごく実感できて、個人戦以上にチームの力を感じられるすごく魅力的な競技だなと感じました。

古谷 個人のレースは自分と相手との戦い、リレーに関して言うと国と国同士のぶつかり合で、国自体の総合力が問われると思っています。

個人のレースも日本代表として出ていますが、リレーのほうがより「日本を代表して出ているんだ」という高いモチベーションをもって出られる。やっている私たちとしても燃えてくるというのが、個人のレースと比べても大きな違いなんじゃないかなと感じています。

★東京OQE レースの詳報は、Triathlon Lumina11月号(10月2日発売)に掲載予定。

東京OQEミックスリレー上位
2019 ITU World Triathlon Mixed Relay Series Tokyo
(順位/国/総合タイム※)
※スイム300m/バイク7.4km/ラン2km✕4人(女子→男子→女子→男子)

1 フランス 01:26:33
2 イギリス 01:26:33
3 アメリカ 01:27:09
4 イタリア 01:27:35
5 オーストラリア 01:27:40
11 日本 01:29:06

普段は孤高なる個人戦に終始しているエリート・トライアスリートたちが、チームスポーツとしてのトライアスロンの魅力を体現するミックスリレー。2020東京での各国ベストメンバーが出そろったメダル争いはさらに魅力的なものになりそうだ(写真は3位のチームUSA) ⒸKenta Onoguchi

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