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チームイベントの愉しみをシェア。「ヌーが見た空」の舞台をめぐるマラニック

投稿日:2017年4月16日 更新日:


謝孝浩

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スタート地点は、多摩川沿いにある和泉多摩川駅。実はこの駅も小説に出てくる

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event report #001

「ヌーが見た空」の舞台をめぐり、多摩丘陵をマラニック

曇り時折雨という予報の2017年4月9日の日曜日。「ヌーが見た空」の舞台をめぐるマラニックを開催した。

チームイベントの愉しみをシェア

Lumina誌で連載されていた小説『ヌーが見た空』をめぐりながら多摩丘陵地帯をゆっくり走るというこのイベントは、連載中から主催するトライアスロン・トリップ(TT)メンバー向きに何度か開催していたが、今回はじめてLuminaの体験シェアイベントとして一般募集した。

参加者の塩沢孝子さんもそのひとりだ。スタート地点近くに在住にも関わらず、今回のルート上にある生田緑地は、小学生の遠足以来とのこと。新しい練習コースにも加えようと参加したという。

和泉多摩川駅の改札前に集合。初対面なメンバーもいるので、まずは自己紹介から

スタート地点は、多摩川沿いにある小田急多摩線の和泉多摩川駅。実はこの駅も小説に出てくる。朝から小雨まじりの天気だったが、集合時間の10時には止んだので、満開の桜並木の下で写真を撮った後、予定通り出発。参加者は、初対面の方も多かったが、共通のトライアスリート仲間もいて、すぐに打ち解けた雰囲気になった。

満開のソメイヨシノの帯の向こうに都心のビル群を望む

多摩川の河川敷から橋を渡り対岸へ行き、向ヶ丘遊園跡地や生田緑地、枡形山など小説の舞台をめぐりながらゆっくり走る。緑地内に入ると、かなりアップダウンがある。枡形山の山頂まで登って、そこにある展望台からは、満開のソメイヨシノの薄ピンク色の帯の向こうに、東京の都心のビル群が見晴らせた。

枡形山山頂の展望台からは、満開の桜の向こうに都心のビル群を見晴らせた

枡形山を下る頃から、雨が降り始め、次第に雨足が強くなってくる。あわててランチポイントであるカフェに逃げ込む(笑)。小説ではGBカフェとして、何度も登場するこのカフェのおすすめのメニューは、欧風カレー。テラス席で雨宿りを兼ねて舌鼓を打った。

小説に登場する「GBカフェ」のモデルになったカフェで雨宿りランチ

カフェでは欧風カレーに舌鼓

 

雨をすり抜けて、臨機応変にコース変更。サポートカーのシェアで快適に。

ランチタイムが終わっても、雨足は弱まらない。スマホで雨雲データをチェックしたが、しばらく雨雲が停滞しているので、本来のコースを一部カットして、多摩丘陵の中央部まで電車で移動することにした。

サポートカーにいらない荷物を預けていたので、傘などの雨具をサポートカーから取り出して最寄駅に向かった。いつもは荷物を担いで走るのが基本だったので、今回、サポートカーをシェアできて、本当に助かった。

やはり小説中に登場する、西洋のお城のような独特な雰囲気の建造物の前で

小田急多摩線の終着駅・唐木田からは、TTメンバーがひとり途中参加。この終着駅も小説に出てくる。雨で通常のコースを一部カットしたため、少し時間があった。コンビニのイートインスペースで休憩している時、プラスαのコースを思いついた。幸い小雨になったので、走り出すことに。

ソメイヨシノが咲く山道を走っていると、その薄ピンクを向こうに色の濃いピンクが目に飛び込んできた。そこには、空を覆い尽くすように咲くシダレザクラの木々が枝を広げていた。この時期に満開になる「唐木田の百本シダレ」だ。

空を覆い尽くすように咲く「唐木田の百本シダレ」


季節ごとに変化する里山で、登場人物の余韻を感じる

名所として地元では知られている百本シダレの木々を抜けて、寄り道終了。唐木田の駅に戻り、ここからはいつもの通常コース。小説に出てくる清掃工場の煙突を見た後、小山田緑地に入る。

「北海道かヨーロッパの風景のようですね」

緑地に入ってすぐに発せられたメンバーの声だ。住宅地として開発された地域のすぐ裏には、牧歌的な里山が広がっている。さきほど見た清掃工場の煙突が、その風景の中に異質な感じで存在しているので、ここが東京の外れだったことを思い出させてくれる。

牧歌的な風景が広がる小山田緑地

里山の中にある小山田緑地には、アップダウンのある丘陵の地形の中に池や湿地帯、谷、竹林などが点在していて、さまざまな風景を楽しいながら走ることができる。ソメイヨシノはもちろんのこと、山桜や花桃など、さまざまな花が咲き乱れていた。

その緑地をめぐった後、一度下って、最後の長い坂を登りきったところにあるのが尾根緑道だ。尾根沿いに続くこの道には、早咲きから遅咲きまでさまざまな種類の桜並木が続いている。その桜並木を5キロほど走ったところに、最終目的地の日帰り温泉がある。

最終目的地の日帰り温泉に到着。一日走った後につかる温泉は最高

 

小説を読んだ人も、そうでない人も楽しめる東京里山ラン。次回は5月下旬開催予定

日帰り温泉で汗を流した後、施設内にあるレストランで乾杯! 石垣島や宮古島に参戦するメンバーもいたので、シーズンインの壮行会も兼ねた打ち上げになった。マラニックの余韻を楽しみながら、大いにトライアスロン談義で盛り上がったのである。

「季節を変えて、仲間と一緒に走るのは楽しいですね」

TTメンバーの中には、今回で4回目の参加になるというメンバーもいる。東京なのに里山が気軽に味わうことのできるマラニック。小説を読んだ方はもちろんのこと、そうでない方にも、大いに楽しめるコースだ。

今後も企画する予定なので、旅烏とご一緒しましょう。
次回は、コース上に春と秋の限定期間だけ一般公開される「ばら苑」の開苑にあわせて5月下旬に開催予定です。

ゆっくり温泉に入った後は、至福の乾杯! 下戸の旅烏はソフトクリームで

● 小説『ヌーが見た空』スマホ版 発売中!
http://triathlon-lumina.com/lumina/backnumber_e.html#luminabooks

■著者プロフィール
謝 孝浩 (しゃ・たかひろ)
1962年長野県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。 在学中には探検部に所属しパキスタン、スリランカ、 ネパールなどに遠征する。卒業後は秘境専門の旅行会社に就職し、添乗員としてアジア、アフリカ、南米など世界各地を巡る。2年で退職し、5カ月間ヒマラヤ 周辺を放浪。帰国後はPR誌、旅行雑誌、自然派雑誌などに寄稿するようになる。現在は、トライアスロン雑誌での大会実走ルポなどを通じて日本にも目を向けるようになり、各地を行脚している。著書にルポ『スピティの谷へ』(新潮社)、小説『藍の空、雪の島』(スイッチ・パブリッシング)など。http://www.t3.rim.or.jp/~sha/

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