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旅烏の「徒然グサッ!」〈3〉 宮古島の風情をお土産に。

投稿日:2017年4月18日 更新日:


謝孝浩

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※前回の【旅烏の「徒然グサッ!」〈2〉大都会を見晴らす小山】はこちら

旅烏の「徒然グサッ!」

Lumina誌面でおなじみの「旅烏」こと作家でトライアスリートの謝 孝浩さんが、日々のトライアスロンライフで心にグサッときたことを書き綴るショートエッセイ

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島の風情をお土産に。

トライアスリートにとって宮古島で開催される大会は、一度は出場してみたい大会のひとつ。今年、旅烏も3年ぶりに参戦予定だ。2001年にはじめて出場して以来、今回で10回目の参戦になる。

毎回、参戦の思い出に、自分へのお土産をひとつ買うことにしている。ガラケーの時代は、携帯ストラップ。スマホになってからは、キーホルダーにしている。とはいっても大量生産のものではない。ひとつひとつ丁寧に手作りされたオリジナルの1点ものである。

旅烏がいつも身につけているキーホルダーは、流木で作ったヨシさんの作品。ツルツルしていて、触っていると心が和む

アクセサリービルダーのヨシさんに会ったのは、記憶が曖昧だが、たぶん2001年か2002年。当時は漁港のそばの坂の下に、若き3人のアクセサリービルダーたちが、ひとつの場所を3つに区切って、そこで作業をしながら、自分の作品を並べて個々に販売する、アトリエ兼ショップという感じだった。3つの個性が共鳴しあっているような不思議な空間だった。

海の余韻が残る珊瑚、夜光貝、タカセ貝、サメやクジラの歯、世界一大きな豆ともいわれている藻玉(もだま)の実、海岸に流れ着いた流木など、ヨシさんの作品は、自然の風合いを活かした作品が多かった。気さくで朴訥、そして包み込むような優しさに溢れたヨシさんの人柄がしのばれるようであった。

数年後、ヨシさんはひとりで町の中心に店舗を構えるようになった。メインストリートにあるのでショップとしては最高のロケーションではあったが、ヨシさんの夢はそこにはなかった。

3年前に再訪した時、ショップを移転することを聞いた。前から気に入っていた来間島に、住居兼ショップを少しずつ手作りで建築していたという。ショップ名は——『utatane』。

ローマ字を、ゆっくり読んでみよう。そう、うたた寝だ! 時間に追われることを嫌がり、観光客の少ない冬場は、店を閉じ、作品制作に没頭するヨシさんらしいネーミングである。

ヨシさんからアクセサリーの素材をわけてもらって、リビングのローテーブルに入れてある。藻玉の実(中央に3つ)、珊瑚、流木など。インテリアとしても抜群だ

今年3月の頭に宮古島にひとり合宿に行ったのだが、その時にヨシさんのショップに立ち寄ってみた。大会のバイクコースは、来間大橋を渡って、すぐにUターンするが、橋を渡った先に続く坂をのぼりきったところに『utatane』はある。

まだ冬の休業中であったが、窓からのぞくと、ヨシさんがいたので、トントンと窓を叩くと僕に気づき、中に入ることができた。木の温もりのするこぢんまりとしたショップに並ぶ棚には、新作が揃いつつあった。

購入したいアイテムはたくさんあったが、春のオープン再開直前でせっかく棚が埋まりそうなのに申し訳ないと思い、大会参戦の時まで我慢することにした。そうヨシさんに言うと、好きな素材を組み合わせた作品を大会時期までに作ってくれるという。なんとも嬉しい限り。これぞと思って選んだ素材を、普段身につけられるキーホルダーにしてもらうことにした。どのような作品ができあがるのか楽しみである。

宮古島には、さまざまな定番の素敵なお土産がたくさんある。でも何度も参戦しているうちに、次第に選択肢が少なくなり困っている人もいるだろう。そんな方には、ぜひこの居心地のよい空間を訪ねてみてはいかがだろう。宮古島の風のそよぎや海の息吹、自然の温もりが詰まっているアクセサリーたち。島の風情をお土産にもらったら嬉しいかも。

自然が生み出す素材はひとつとして同じものはない。オリジナリティ溢れる唯一無二の1点ものは、旅烏のように自分へのお土産としても最適。レースの熱い1日を思い出させてくれる絶好のアイテムになるに違いない。

Shop info
島のアクセサリーやさん utatane

宮古島市下地字来間105-9
https://www.facebook.com/utatane.miyako

※次回の【旅烏の「徒然グサッ!」〈4〉バルセロナの老舗大会】はこちら

■著者プロフィール
謝 孝浩 (しゃ・たかひろ)
1962年長野県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。 在学中には探検部に所属しパキスタン、スリランカ、 ネパールなどに遠征する。卒業後は秘境専門の旅行会社に就職し、添乗員としてアジア、アフリカ、南米など世界各地を巡る。2年で退職し、5カ月間ヒマラヤ 周辺を放浪。帰国後はPR誌、旅行雑誌、自然派雑誌などに寄稿するようになる。現在は、トライアスロン雑誌での大会実走ルポなどを通じて日本にも目を向けるようになり、各地を行脚している。著書にルポ『スピティの谷へ』(新潮社)、小説『藍の空、雪の島』(スイッチ・パブリッシング)など。http://www.t3.rim.or.jp/~sha/

©Sho Fujimaki

 

 

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