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旅烏の「徒然グサッ!」〈4〉バルセロナの老舗大会

投稿日:2017年5月6日 更新日:


謝孝浩

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※前回の【旅烏の「徒然グサッ!」〈3〉 宮古島の風情をお土産に。】はこちら

旅烏の「徒然グサッ!」

Lumina誌面でおなじみの「旅烏」こと作家でトライアスリートの謝 孝浩さんが、日々のトライアスロンライフで心にグサッときたことを書き綴るショートエッセイ

『ヌーが見た空』の舞台を訪ねる scene#03

バルセロナの老舗大会

アントニ・ガウディのサグラダ・ファミリアをはじめユネスコの世界遺産にも登録されている文化的価値の高い建築物が点在するスペインのバルセロナ。この世界有数の観光都市でも、トライアスロン大会が開催されている。ここ数年、アイアンマンやアイアンマン70.3など、アイアンマンシリーズが開催されるようになり、日本人トライアスリートの認知度も上がっていて、参加者も増えつつあるようだ。

実はバルセロナには、2,500人規模のオリンピック・ディスタンスの老舗大会がある。小説の重要な舞台のひとつをスペインにしようと思って資料を集めていた時、10月開催のこの大会をネットでみつけた。この大会をベースに物語を構築したら面白いのではないかという発想に至った。そのためには自ら体験することが一番だと、ネットで大会にエントリーして、開催日にあわせてスペイン取材のスケジュールを組むことにした。2012年のことだ。

船が停泊しているように見える船形レストラン

ネットで大会2日前にあるカーボ・パーティを予約していたので、その前日にバルセロナ入りした。夕方、海沿いのパーティ会場へ行くと、海岸に船が停泊していた。船上パーティなのかなと思ったのだが、近くに行ってみると船底は海上ではなく陸地に接していた。船の形をしたレストランのようだ。この船形のレストランは、小説にも出てくる。このレストランでの出会いが、登場人物のひとり大樹のスペイン旅のルートを大きく左右することになる。

実際のレースでは、発見と驚きの連続だった。まず目についたのが、簡易トイレの列だった。日本のように無機質な感じではなく、扉のところがカラフルに彩色されていて、まるで遊具が並んでいるかのよう。それだけでちょっと洒落ている。遊び心があるなぁと思った。

カラフルな簡易トイレ

バイクコースでは、日本とは反対の右側通行なのは、想定範囲で慣れるしかないと思ったが、エリート大会のようにドラフティングレースだったということにはビックリした。自分より遅い選手もいるのだが、その選手を追い抜こうとすると、すぐ横を速い選手たちが、次々と列をなして追い越していく。速い選手と遅い選手の間にはさまれて、身動きがとれないことも多々あった。このレースで経験した発見と驚きは、小説の良い素材になった。リアル感溢れる文章が書けたような気がする。

ちなみにリアルといえば、小説で記述されている大樹の総合タイムと順位は、実際に旅烏がフィニッシュしたタイムと順位である。

陸上競技場がトランジションエリアとなる

 

● 『ヌーが見た空』の舞台をめぐるマラニック
5月28日(日)開催決定! ※下記関連記事。エントリーサイトは近日オープン
https://lumina-magazine.com/archives/experience/2596

● 小説『ヌーが見た空』スマホ版 発売中!
http://triathlon-lumina.com/lumina/backnumber_e.html#luminabooks

※次回の【旅烏の「徒然グサッ!」〈5〉時に取り残された遊園地】はこちら

■著者プロフィール
謝 孝浩 (しゃ・たかひろ)
1962年長野県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。 在学中には探検部に所属しパキスタン、スリランカ、 ネパールなどに遠征する。卒業後は秘境専門の旅行会社に就職し、添乗員としてアジア、アフリカ、南米など世界各地を巡る。2年で退職し、5カ月間ヒマラヤ 周辺を放浪。帰国後はPR誌、旅行雑誌、自然派雑誌などに寄稿するようになる。現在は、トライアスロン雑誌での大会実走ルポなどを通じて日本にも目を向けるようになり、各地を行脚している。著書にルポ『スピティの谷へ』(新潮社)、小説『藍の空、雪の島』(スイッチ・パブリッシング)など。http://www.t3.rim.or.jp/~sha/

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