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旅烏の「徒然グサッ!」〈2〉大都会を見晴らす小山

投稿日:2017年4月3日 更新日:


謝孝浩

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※前回の【旅烏の「徒然グサッ!」〈1〉朝焼けの煙突】はこちら

旅烏の徒然グサッ!」

Lumina誌面でおなじみの「旅烏」こと作家でトライアスリートの謝 孝浩さんが、日々のトライアスロンライフで心にグサッときたことを書き綴るショートエッセイ

『ヌーが見た空』の舞台を訪ねる scene#02

大都会を見晴らす小山

スタジオジブリ制作のアニメ映画「耳をすませば」を観たことがあるだろうか。

多摩川沿いに広がる東京都多摩市の聖蹟桜ヶ丘が舞台である。街から丘の上の住宅街に上っていくと、次第に視界がひらけ、遥か彼方に東京都心を見晴らすことができるようになる。この丘は多摩丘陵の端っこ。雄大な風景は、幾度となく登場人物の心象風景のようにシーンの中で描かれている。

小説『ヌーが見た空』の中でも、同じような風景が出てくる。多摩川を15kmほど下った場所に、標高84mの枡形山という小山がある。この山も多摩丘陵の端っこにあり、山頂にある展望台に上り、北東から南東の方を望めば、同じように大都会のビル群が見晴らせるのだ。目を凝らせば、東京タワーやスカイツリーも確認できる。

南の方角に目を移せば、武蔵小杉や横浜のビル群も見える。さらに西には、多摩丘陵の向こうに丹沢や富士山の雄姿もお目見えする。

この枡形山は、鎌倉時代の源頼朝の重臣であった稲毛三郎重成が城を構えたと伝えられている。関東平野を見晴らす場所は、天然の要塞として重要な役割を果たしていたのだ。

山頂へと続く傾斜のある山道で、多くのランナーとすれ違う。地元のトレイルランナーには絶好の練習コースだろう。登りきった山頂は、ちょっとした広場のようになっている。この山頂部分が枡形をしているので、この名前が付いたとも言われている。一帯に山桜の古木や枝振りのよいソメイヨシノが点在し、満開の時期には山全体がピンク色に染まる。

小説の中で、登場人物のひとり繭子は、この山にマラニックで登ったとき、ある思いにかられる。

「この風景、どこかで見たことがある」

この既視感。心の奥底に潜んでいた風景が、どんな意味をもつのか……。小説を読み進めていく上で、次第に明らかになっていく。

● 『ヌーが見た空』の舞台をめぐるマラニック
4月9日(日)開催決定! 参加者募集中
https://lumina-magazine.com/archives/experience/359/

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旅烏の「徒然グサッ!」〈1〉朝焼けの煙突

※次回の【旅烏の「徒然グサッ!」〈3〉 宮古島の風情をお土産に。】はこちら

■著者プロフィール
謝 孝浩 (しゃ・たかひろ)
1962年長野県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。 在学中には探検部に所属しパキスタン、スリランカ、 ネパールなどに遠征する。卒業後は秘境専門の旅行会社に就職し、添乗員としてアジア、アフリカ、南米など世界各地を巡る。2年で退職し、5カ月間ヒマラヤ 周辺を放浪。帰国後はPR誌、旅行雑誌、自然派雑誌などに寄稿するようになる。現在は、トライアスロン雑誌での大会実走ルポなどを通じて日本にも目を向けるようになり、各地を行脚している。著書にルポ『スピティの谷へ』(新潮社)、小説『藍の空、雪の島』(スイッチ・パブリッシング)など。http://www.t3.rim.or.jp/~sha/

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