Zwift Academy Tri 2021
今こそ、世界標準の
ワークアウトに挑もう。
トレーニングアプリ「Zwift」のトライアスリート向け企画、2021年度版が起動! コロナ下で目標レースが設定しづらい日本のトライアスリートなりの活用法とは?
コメント=竹谷賢二(TK)
写真=小野口健太、中島健一
文=今 雄飛
今季のキーワードとなる
「ベースライン」をキープ
コロナ禍の影響もあり劇的に増えた自宅でのインドアトレーニング時間を充実させてくれる上、オンラインでつながる仲間や世界中のトライアスリート、サイクリストと、一緒に走ることで「チーム練習会」のような効果的なトレーニングができるとあって、トライアスリートの間でも、ますますファンを増やし続けているZwift。
TK(竹谷賢二さん)もコロナ禍の思わぬ副産物として、このトレーニングアプリの良さを再発見し、アウトドアでバイクに乗れるようになって以降も、リアルライドとZwiftでのバーチャルライドを、うまく融合させてトレーニングを組み立てている。
もちろん、元来インドアよりもアウトドアでの実走練習が好きだったTKだが、メニューの豊富さ、ひとりでも強度の高いワークアウトができるところが、その理由だという。
またこれらワークアウトのメニューに加えて、普段のトレーニングに刺激を与えることができる「Academy(アカデミー)」という企画が準備されているのもまた、飽きずにトレーニングができる所以だろう。
そのアカデミーの中で昨年、TKも参加したトライアスリート向けの企画が「ZwiftアカデミーTRI(以下ZA TRI)」だ。
このアカデミーは2018年にスタートし、以来毎シーズン1回開催されており、今回の2021年度版で4シーズン目を迎える。
バイク&ランそれぞれに5種のワークアウトと、タイムトライアル(TT)イベントが用意されており、世界中のトライアスリートが参加するグローバルイベントとして展開。それらのワークアウトはKONA完走タイム8時間24分というエイジグルーパーとしての世界最速記録をもつDr. Dan Plews(ダン・プレウス)コーチがプロデュースしている。
また、開催期間中に、すべてのワークアウトとイベントをコンプリートしてZA TRIを修了したユーザーの中から、成績優秀な数名が選ばれるセレクションも兼ねており、その世界選抜チームに入ったメンバーは、KONA挑戦に向け、世界最高レベルのサポートを受けることができるという、夢のある企画でもある。
昨年、KONAチャレンジメンバーらとともに、コロナ下でモチベーションをつなげる取り組みのひとつとしてZA TRIにフル参戦してみたTK。さすがのパフォーマンスの高さで、このセレクションの最終段階まで残った。指導者として活動する現状から先に進むことは辞退したものの、その過程において、強化ツールとしてのZwiftの有用性をあらためて実感した。
「ZA TRIは数カ月という短い期間に集中してバイク&ランの強化ができると思います。
バイクに関しては昨年、①持久力トレーニング、②有酸素閾値トレーニング、③VO2maxショートインターバル、④FTPインターバル、⑤VO2maxロングインターバル――と5つのワークアウトがあり、
① から順番にこなしていくことでベースとなる持久力からスピード、最高出力まで、バランス良く強化できるようになっていました。
基本的に60分で終了できるメニューで構成されていて、自宅でも集中して追い込める、ちょうどいい設定になっていると思います」(TK、以下同)
このようにトライアスリートがミドル~ロングで必要なバイク実戦力を強化していく上で、高い有用性があるZA TRIだが、今年もメニューを一新して登場。10月19日からワークアウトメニューが実施できるようになる。
「今年のZA TRIについては『ベースライン』『フィニッシュライン』という新しいキーワードが出てきています。
すでにアイアンマン・シリーズをはじめとするレースイベントが再開されている海外のトライアスリートと違って、レースがほとんど開催されていない日本のトライアスリートの場合は、このうち『ベースライン』を保っておくことが現実的に取り組みやすい目標になってくるのではないでしょうか。
正直なところ現段階で『来年のコナを目指して頑張りましょう!』というのは、国内の状況を考えると、あまり現実的ではないと思います。私自身もそうです。もちろんパフォーマンスを高める、という意識でもいいのですが、それよりも今年に関しては『運動(トレーニング)習慣をなくさないように保つ』というモチベーションの下、ZA TRIを利用するというほうが、大半のトライアスリートにとってしっくりくるアプローチになると思います」
持久力、FTP、最大出力
落ちているのはどの部分か?
確かにここ2年、日本国内では多くのトライアスリートがレースには出場していない。TK自身も昨年の9月にはアイアンマン70.3セントレア大会に参戦していたが、同大会をはじめ今シーズンは多くの主要レースが中止・延期。「年が明ければレースシーズンも復旧する」という期待感が大きかった昨秋とは状況が異なる。
「レースに出場するというゴールが見えない中で、パフォーマンスを高めることだけに目標を置くのは正直難しいと思います。
実際に自分もレースに向けてピラミッドの頂点に向かっていくのがいかに大切だったのかを痛感しています。ですので、今年に限っていえば『攻める』というよりも『守り』という意識でZA TRIを利用するといいかもしれません。
おそらくパフォーマンス、コンディションが以前のまま、という人はほとんどいないと思いますので、『どれくらい落ちているかを確認する』ためにZA TRIを活用してみましょう。
トライアスリートとしてのコロナ下の2021年の棚卸しというか。通帳記入して残高がいくら残っているかチェックする、そんな意味合いです(笑)。
パフォーマンスが落ちているにしても、落ちている部分が持久力なのか、FTPなのか、最大出力なのか? ZA TRIのワークアウトのバリエーションは豊富なので、そうした内訳も明確にわかると思います。
落ちているところがわかったら、この先、目標レースが見えてきたとき、どこから・どの程度強化し直していけばいいかがわかる。そう話しているうちに、私自身も今季のZA TRIにまた参加したくなってきました(笑)」
竹谷賢二
Kenji Takeya
マウンテンバイク競技(XC)のオリンピアンで、 現役引退後はトライアスリートとしてKONA(アイアンマン世界選手権)に8年連続出場・完走。指導者、アドバザーとしても多方面で活躍するほか、今年7月には自身がオーナーを務める「スペシャライズド幕張」をオープンさせている。
■スペシャライズド 幕張
千葉県千葉市美浜区ひび野1-4-3
(海浜幕張駅より徒歩5分)
Zwift Academy Tri
2021年版は10/19スタート!
今季のZA TRIには、前回同様バイク&ラン各5つのワークアウトがあるほか、それらを始める前に当初のパフォーマンスを把握する「ベースライン・イベント」と、すべてのワークアウトを終えた後の成果を計る「フィニッシュライン・イベント」、ふたつのTTイベントが設定されている。
前後ふたつのイベントで同じ距離のTTを選択し、走ることで、ZA TRIを通じた成長が可視化できる。
■開催期間:2021年10月19日~12月13日(日本時間6:59PM)
■修了条件:開催期間内に、ACADEMYが指定した10のワークアウト(サイクリング、ランニング各5セッション)と、TTイベント(サイクリング、ランニング各2回)を完了すること
■最新情報・詳細はZwift公式サイトでチェック!
https://www.zwift.com/ja/academy/zatri
Zwift Academy Tri Teamとは?
Zwift Academy Triを修了したユーザーの中から、若干名の精鋭が選抜され「Zwift Academy Tri Team」を結成。この世界選抜チームに入ったメンバーは、ティム・ドン、サラ・トゥルーら、そうそうたるメンターによる指導やバイクなどの機材提供など、KONA出場に向けたフルサポートが受けられる。2020年版チーム(6人=写真)には韓国からアジア初のメンバーが選出されている。
Zwift Academy Tri 2021
BIKE WORKOUTS
バイクワークアウトの概要
※各メニュー詳細は公開され次第、更新予定です。
FULL-DISTANCE SPECIFIC
ロングディスタンス対応(強化) トレーニング
▼開催期間:10/19~28
エアロビック・ソレッシュホールド(有酸素性作業閾値=アイアンマン・ペース程度)を向上させることを目的とした中高強度のインターバルトレーニング。30秒ずつ断続的に強度を上げることで、疲労感を高め、トライアスロンのランパートに近い負荷をかける。
また、このセッションでは、乳酸を蓄積させず、低強度のワークアウト中に乳酸をエネルギーとして活用できる能力も高めることができる。
STRENGTH ENDURANCE/THRESHOLD COMBO
スピード耐性&閾値コンボトレーニング
▼開催期間:10/29~11/7
エンデュランスとスレッシュホールドライド(閾値ライド)を組み合わせたワークアウト。ケイデンスやトルクを変化させることによって、FTP(※1時間維持可能な出力)を高めることができる。
70.3 DEVELOPMENT
70.3 対応(強化)トレーニング
▼開催期間:11/8~17
70.3レースのペース前後のパワーで行うアップ&アンダー・セッション。70.3のレースペースに慣れ、高めていくことができる。
70.3レースのパワーよりも高い値(FTP90%)で2分間、低い値(FTP80%)で2分間、計8分間のレペティション(反復)トレーニングを行う。
SHORT VO2 INTERVALS
VO2maxショートインターバル
▼開催期間:11/18~27
うまく取り組めればVO2MAXや無酸素運動能力、有酸素運動能力、筋神経系の3つの要素を一度に高めることができ、トレーニングプランの鍵となるショート・インターバルトレーニング。
30秒オン/30秒オフから40秒オン/20秒オフまで、定番のショート・インターバルをすべて行い、段階的に有酸素運動に移行していく。
LONG VO2 MAX
VO2maxロングインターバル
▼開催期間:11/28~12/7
閾値スピードを高めるために、10段階中7〜8段階の高強度(閾値の少し下~少し上)で、8分、6分、4分、2分の長いレペティション(反復)トレーニングを行う。
イベント第1弾はTKと走る
「しろさとTT200」対策Meet up
例年とは違う利用の仕方になると予想されるZA TRI。この前哨戦的な位置づけになるのが、トライアスリートのためのZwiftチーム・コミュニティー「Triathlon Zwifters by Lumina」の「しろさとTT200」対策ミートupイベント。
バイクパートの独走力を高めることにも利用できるドラフティング禁止ルールのタイムトライアル・イベント「しろさとTT200」(11月7日開催)。この大会の対策として下記の3つのテーマでTKとのZWIFTミートupイベントを実施している。
Zwiftユーザーなら同大会参加者以外の人でも無料で参加できるので、「Triathlon Zwifters by Lumina」のFacebookグループに参加して最新情報をチェックしてもらいたい。
TKと走る!
「しろさとTT200」対策Meet up
>>開催日程
▼10月8日(金)★終了
Zwift 200kmペース 1時間
▼10月24日(土)
Zwift 4時間TT練習
▼10月29日(金)
Zwift 100kmペース 1時間
★各イベントの詳細・エントリー方法などは「Triathlon Zwifters by Lumina」FBグループページで!