長丁場を走り切るために欠かせない「補給プラン」
アイアンマン(スイム3.8㎞/バイク180.2㎞/ラン42.2㎞)に代表されるような、単独で挑む長距離・長時間のレースで、時間内完走、自己ベスト更新、上位入賞など、それぞれの目標に挑むとき、鍵となる要素が「補給プラン」だ。
もちろん、長丁場のレースを通じて発揮できるパフォーマンス自体を上げていく、トレーニングは必須。だが、ミドル、ロングとターゲットレースが長くなればなるほど、この「補給」をいかに賢く、ミス&ロスなくクリアできるかは、かなり優先度が高い「前提条件」となる。
どんなに良いトレーニングを積んで・パフォーマンスを高められたとしても、ひとたび補給に失敗すれば、記録や順位どころか、フィニッシュさえもできない。
人それぞれ・そのときどきで正解が異なる「補給プラン」を見出していくには、実戦(レース)でより多くのパターンを試していくのが、最も理想的な方法だが、昨年以来のコロナ禍でトライアスロン大会参加の機会もごく限られている。
ミドル~ロングのレースに至っては、海外遠征もままならず、国内大会に出ようにも、無事開催にこぎつけるイベントがほとんどない。
そんな中、トライアスロンの実戦に近い状態での実力チェックや、「補給プラン」を見出していくのに、うってつけのイベントとして3月に初開催されたのが「しろさとTT200 powered by パラチノース」(以下、しろさとTT200)。
1周回5.7kmの自動車テストコースを使ったノンドラフティング(集団走行禁止)ルールのタイムトライアル(TT)レースだ。
ここでは「しろさとTT200」の企画にも携わり、自身も200㎞TTに出場したTKこと竹谷賢二さんが、参加者に向けた事前のオンラインセミナー(200㎞TT攻略法)の中で語った、ロングTTを走り切るための「補給プラン」の立て方を紹介しよう。
もちろんこれらのアドバイスは、トライアスロンでの「補給プラン」の立て方にも通じるものなので、いつか戻ってくるミドル~ロングのレースシーズンに向けて、大いに役立ててもらいたい。
マウンテンバイク競技(XC)のオリンピアンで、 現役引退後はトライアスリートとしてKONA(アイアンマン世界選手権)に8年連続出場・完走。数多くのトライアスリートの指導を手がけるとともに、自らもKONAでの年代別入賞(表彰台)を目標に掲げ、トレーニングとレベルアップのための試行錯誤・自問自答を繰り返す日々。今回の「しろさとTT200」にはゲストライダーとして参加し、200㎞を4時間51分42秒で快走している。
すべての前提は「安全」「安心」
TK 私自身、今回のイベントは久しぶりのロングTTということで緊張気味です。
例年ならアイアンマンや宮古島大会などのレースで、何度も何度も(長い距離のバイクパートを)走っているし、バイクだけならば、もっと問題なく走れるはずなんですが、最近200㎞を通しで走る機会もなかったので。
そこで、まずは基本的なことになりますが、「安全に走り切れるために、押さえておきたいポイント」をおさらい・確認しておきましょう。
つねに「3秒先」に注意を払う
今回は一般的なトライアスロン大会と同様、集団走行禁止の「ノンドラフティング」レースで、前後の走者と10ⅿ以上の間隔をあけて走るというルールです。
この10mとはどのくらいか? 意外とわかりづらいのですが、たとえば時速30㎞なら秒速8.3ⅿ、同36㎞なら秒速10ⅿとなりますから、ほとんど「1秒先」には到達している距離。
いつでも危険回避できるように走るには、この距離感を意識するだけではなく、つねに「3秒先」に注意を払うイメージで走りましょう。前走者の「前の前」を見ておくくらいの感じです。メーターなど真下を見すぎるのは当然NGですね。
ロングTTのように長距離・長時間走り続ける場合、特に注意したいのはレースの後半。
自分が集中を欠いていないかチェックするには、前方に見えたものを通過するまで、3秒数えてみるといいでしょう。
その3秒先が確認できていないときは、疲れがたまって集中を欠いている状態だと自覚して、まわりの安全のためにも休みましょう。
目標設定と、達成のための「レース戦略」
ロングTTでも、トライアスロンのレースでも同様ですが、まずはコースプロフィールを踏まえ、自分の目標を設定し、その達成のためのプランを立てていきます。
自分ができる【ペース配分】を把握できれば、おのずと【所要時間】(=タイム)がわかってきますので、この予測をもとにレースを運び、失われる分の水分やエネルギーなどを補給していくプランを立てていけばいいわけです。
【ペース配分】
パワーメーターなどがあればパワー(ペダリング出力)を基準にペーシングしていくのがオススメですが、1周のラップタイムでも把握できます。
今回のようなノンドラフティングのロングTTや、ミドル~ロングのトライアスロンの場合、(トータルでより速く走るためには)戦略的にペースを上げ下げするのではなく、一定ペースを淡々とキープするイメージで走ります。
一定ペースをキープしようと思って走り続けても、実際には、後半にかけて少し落ちてくるはず。フラフラになるまで追い込むようなシーンもないはずです。
【所要時間】
自分が一定で走り続けられるペースを設定したら、それをもとに走行時間・移動時間の予測を立てます。ノンストップで走らない場合は、休憩も込みでの予測を立てておきましょう。
「しろさとTT200」のコースプロフィールを踏まえると、平均時速25㎞で8時間(制限時間)以内完走ギリギリですが、たとえばトイレ休憩を3回(各10分)とるとすると、平均時速26.5㎞(1周12分54秒)くらいで走る必要がある。
1周10分(平均時速)34.2kmで走れる人なら、トータルの所要時間は5時間50分くらいで、6時間を切れるということになります。
たとえば、私(TK)の場合は平均時速37km、ノンストップで走って、5時間23分31秒あたりを目標としています。
事前に比較的条件の近い渡良瀬遊水地(※信号などがなく走り続けられる周回コース)で、パワーを基準にアイアンマンペースでの2時間走を行い、この平均速度の予測を立てました。
このシミュレーションでは、Garmin Connectなどのアプリを活用すれば、消費カロリー、汗による損失水分量などもある程度チェックできるので、補給戦略を立てる上での指標を得ることもできました(以下画像はTKの2時間走データ)。
ちなみに、このシミュレーションのときの補給は、ボトル1本半(約420Kcal/750ml)、エネルギージェル2個(113Kcal×2=226Kcal)ほどでした。
戦略的な「補給プラン」の考え方
補給戦略を立てる上で、考えなければいけない要素は、主に「エネルギー」「ミネラル」「水分」。それぞれ(運動・競技で)失われた分だけ補っていく、というのが基本。
補給したから「速くなる」のではなく、失われたものを補わないと「動けなくなる」(または遅くなる)ということです。
所要時間、走行ペース、体格から、自分自身の必要量を検討していきます。
私(TK)の場合は、先述の2時間走(73㎞)シミュレーションのデータから、この「必要量」を割り出しました。シミュレーションを行う場合、コース条件や天候・気温なども、大会当日に近いとより理想的です。
★TKの実例(2時間/73㎞シミュレーション@渡良瀬遊水地)
損失推定:エネルギー1,600Kcal/水分1342ml
200㎞TTに向けては、上記の損失推定を2.75倍して、必要量を割り出した(4,400Kcal/3,690ml)。
これを以下の補給食・ドリンクで摂ろうとすると、以下のような計画になる。
▼同エネルギージェル8個 113 Kcal×8=940Kcal
トータル2,304 Kcal
※ミネラルはボトルにタブレットを追加で溶かして、補う。
カラダに貯蔵している脂質エネルギーで、先述の「しろさとTT200」での総必要量4,400Kcalの大体半分くらいは補えると想定して、このくらい用意しておけば十分かと。
あとは気分転換を兼ねて、固形の補給食を携行するのもアリかと考えています。
TKの実際の走行データと補給内容
▼走行データ:
走行時間(公式記録)4時間51分42秒
平均パワー231W(FTP80%3.45倍)
同・心拍140bpm(Max76%)
同・ペダル回転数93rpm推定消費カロリー3,970Kcal
▼補給:
チャレンジャー ドリンク1000ml(ボトル2本分)
同エネルギージェル6本
合計1,238 Kcal
「当日は気温が高くなく(10.1~14.9℃)水分量が少なめで済んだのと、パラチノースのおかげでエネルギー消費に対して摂取は少なくてもパフォーマンスを持続させることができました」(TK・レース後談)
携行方法も重要!
携行する補給物の内容が決まったら、それらをどう持っていくか、「携行方法」も事前に固めておきましょう。
すべてレースウエアやバイクのストレージ、ボトル、ジェルフラスクに入れるのか、ピットや(トライアスロン大会で言うと)スペシャルニーズ・エイドのような拠点にある程度置いておくのか考えておかないと、せっかく用意した補給物もうまく摂れないので注意。
私の場合は、エネルギー源はチャレンジャーのドリンクをボトルに、エネルギージェルはゴミが出ないようにフラスクに入れて携行します。
ドリンク、ジェル両タイプでエネルギーが摂れる「チャレンジャー」(Challenger)には、近年トライアスリートやサイクリストなど、持久系アスリートの間でも注目されている「パラチノース」が配合されているのですが、これがなかなかいいと思っていて、ここ2年くらい愛用しています。
ぜひ、皆さんも一度試してみてください。
TKもオススメ、持続性エネルギー源「パラチノース」とは?
パラチノースは、ゆっくり吸収される持続性エネルギー源としてトライアスリートやサイクリスト、ランナーなど持久系のスポーツシーンで注目されている植物由来の糖質。
ほかのエネルギーとの併用もオススメで、今回のロングTTや長丁場のトライアスロン、マラソンなどにはうってつけのエネルギー源だ。
★パラチノースの特徴
◎安定したエネルギー供給
◎長丁場の最後までパフォーマンスをサポート
◎すっきりした飲みやすい味(甘すぎない)
今回の「しろさとTT200」では、参加賞としてパラチノースを配合した粉末ドリンク「パワードリンク チャレンジャー」と、パラチノースを単体で摂れる「ピュアパラ」が支給された。
ピュアパラ
(スティック1本20Kcal×10本入り/980円・税込)
パラチノース単体で摂れる「ピュアパラ」。持ち運びやすい20gのスティックタイプ。使いやすいチャック付きスタンド袋入りの1kgパッケージ(1,980円)もある。※写真は現在発売中のリニューアルパッケージ
チャレンジャー
パワードリンク
(1個280Kcal/270円・税込)
水500mlに溶かして飲む粉末ドリンク。
パラチノースは人工甘味料ではなく、てん菜(甜菜)由来、つまり天然のエネルギー糖質で、カロリー計算するとしたら、砂糖と同じ1グラムあたり4Kcalとなる。
砂糖やブドウ糖、トライアスリートにもおなじみのエネルギージェルにも含まれるマルトデキストリンなど「一般的な糖」との違いは「吸収スピード」。
「一般的な糖」が素早く吸収されるのに対し、パラチノースは、カラダにゆっくり吸収され、持続性が高い。脂肪と糖質エネルギー両方をうまく使えるようなメリットも。
素早く吸収されるエネルギーと、ゆっくり吸収されて・長く使えるエネルギーを、あわせて摂れると、安定的なエネルギー供給ができる。
今回のロングTTやトライアスロン、ロングライドのように、長丁場のレースイベントやトレーニングでこそ、試してみたい。
甘味が砂糖の半分くらいで、甘すぎず、しっかりエネルギーが摂れるのも特徴のひとつ。
「チャレンジャーも甘すぎず、飲みやすい・飲み飽きないのが気に入っています。刺激が強くなく、(ロングのレースなどの長丁場でも)違和感なく飲み続けられます」(TK)
>>そのほか「パラチノース配合」エネルギーフード
チャレンジャー
パワーリキッド
(1個113Kcal/216円・税込)
ジェルタイプで1個113Kcalのエネルギーが摂れる。フレーバーはレモン、グリーンアップル、梅。
Enemoti(エネもち)
(1個145~156Kcal※フレーバーにより異なる/270円・税別)
くるみ入りの餅をベースとした和風テイストの補給食。くるみ餅、塩餅、甘酒餅がラインアップ。
11/7 開催決定!
好評につき、今秋に第2回大会の開催が決定! 今後も定期開催していく予定なので、そのときどきの自分の実戦的走力・トレーニングの進捗をチェックする定点観測ポイントにも最適。