PEARL iZUMi
TRISUITS 2023
ウエア戦術を変える
メッシュタイプという選択肢
ジャパンメイドの高品質トライスーツとして絶大な人気を誇るパールイズミのカスタムオーダーウエアのトライスーツに、待望のメッシュタイプが新登場。2023年1月から受注をスタートしている。
パールイズミが「現状考えうる中で、最も涼しいトライウエア」としてリリースする「メッシュタイプ」というカスタムオーダートライスーツの新しい選択肢、
厳しさを増す酷暑のレースシーズンに向け、欠かせないアイテムとなっていきそうだ。
上半身がほぼすべてが
通気性・伸縮性の高いメッシュ素材
メッシュタイプのトライスーツ最大の特徴は、上半身ほぼすべてがメッシュ素材という点。
肩や袖部分などウエアの一部にメッシュ素材を使ったトライスーツはこれまでにもあったが、肩からボディにかけての上半身がすべてメッシュ素材で、チームオーダーができるトライスーツはあまり見ない。
メッシュ部分は、いずれも通気性が良く、かつ伸縮性の高い2種類の素材を使い分けており、
前身ごろと背面部分には比較的目の大きい薄手のメッシュを使用。素肌に風を感じられるほどの通気性と、涼しさを実現している。
一方、肩まわりと脇の部分には、比較的伸縮性が高く・目の細かいメッシュを使用して、スイムや、ランニングの際もしっかり伸びるように仕上げている。
エア トライスーツと同様に
泳ぎやすさ・走りやすさはキープ
ここまで素材使いが大きく変わってくると、さすがに既存の「エア トライスーツ」ほどの着用感・使用感は多少損ねているのでないかと心配する向きもあるかもしれないが、そこはパールイズミならでは開発力とこだわりで、しっかりカバー。
「バイクジャージでの先行事例(後述)があったので、使用する素材やパターンなどは最初からほぼ固まっていましたが、当初はパンツの横もすべてメッシュにしてみたり、プロトタイプをふたつほど作成して、試して、見た目も含めて、最適なものに仕上げています。
プロトタイプで、実際に泳いで、走ってみましたが、既存のエア トライスーツと同様、腕の回しやすさも確保できていますし、国内のレースではあまりニーズはないかもしれませんが、ウエットスーツなしで泳いでも全く違和感はありませんでした」(パールイズミ・コミュニティーマネージャー大西勇輝さん=以下同)
さらに細かなこだわりとして、メッシュ素材のほうが既存のエアトライスーツの生地(スピードセンサーⅡ)より若干ツッパリ感が出ることにも配慮。
いずれの素材ともよく伸びるため、着心地の面でほぼ差は感じられないほどのごくわずかな差だが、カラダを伸ばしたときにお腹が出ないよう、前身ごろの丈を少し長くしてある。
既存のエア トライスーツと同価格
デザイン上の制約もなし
2023年1月から順次受注をスタートするメッシュタイプ、価格は既存のエア トライスーツと全く同じ(26,400円・税込)。
デザイン上の制約もほぼないので、既存のデザインのチームウエアで、メッシュタイプを新たにオーダーすることもできる。
エア トライスーツは3着からオーダーが可能なので、例えば、同じチームウエアでメッシュタイプ3着、既存のスピードセンサーⅡのウエアを3着――といったオーダーももちろんOK。
チーム・コミュニティメンバーそれぞれのターゲットレースに合わせて選択することができるのはうれしい。
両タイプのトライスーツを作っておけば、出場レースの当日の気象条件に合わせて使い分けるという、さらに理想的なウエア戦術をとることもできる。
夏の東京では日本代表の多くが
エアロよりもメッシュを選んだ。
酷暑対応が勝敗を左右するポイントとなったTokyo2020、東京・お台場で開催されたトライアスロンでは、北欧・ノルウェー勢のエース、K・ブルンメンフェルトが酷暑対応のトライスーツをまとって金メダルを奪取したのをはじめ、各国のナショナルチームがかつてない薄手の生地、メッシュ生地のトライスーツを競うようにして導入していたのは記憶に新しいところだろう。
オリパラの自転車競技(ロードやトラック等)日本代表にウエアを供給したパールイズミでも、Tokyo2020開催に向けて、まずサイクルカテゴリーでメッシュ素材をふんだんに使った酷暑対応ウエアの開発・製品化を進めてきた。
「パールイズミでは(日本代表選手に対して)空力性能に優れたスピードセンサーⅡと、メッシュ素材のウエア、両方のバリエーション(選択肢)を用意したのですが、結果的に選手の多くがエアロジャージよりも、メッシュのほうを選びました。少しでも涼しくしたいというニーズが勝ったわけです」(前出・大西勇輝さん)
サイクルウエアで先行展開されたメッシュタイプのジャージは、国内最高峰のサイクルロードレースシリーズ「Jプロツアー」を転戦するトップサイクリストにも好評で、国内シーズンの後半(秋)以外、特に酷暑期は、このタイプを実戦投入する選手が多いという。
現状考え得る中で
これ以上涼しいトライスーツはない
大学時代からのベテラントライアスリートである大西さん自身も、このメッシュタイプのサイクルジャージを愛用。酷暑が危険さを増す近年の夏場、「一度メッシュジャージを着てしまうと、その涼しさ・快適さを知ってしまうと、もう普通のジャージには戻れなくなってしまった」と話す。
Tokyo2020に始まる世界のトレンドを知るトライアスリートのユーザーからも当然、「このメッシュタイプをトライスーツでも!」というニーズは高まっていた。
かくして、このメッシュ素材の「エア トライスーツ」製品化プロジェクトがスタート。
サイクルウエアでの先行事例があった分、開発着手から製品化まで時間はかからなかったが、折しもコロナ禍で国内のトライアスロン大会の開催数が限られてしまっていたため、レースシーズンがいよいよ本格的に復活する来季、2023年シーズンにあらためて受注をスタートすることになった。
「今後、アイスベストや接触冷感素材などが進化するようになって、ウエアのほうからカラダを冷やすようなウエアがつくられるようになったら別ですが、現状、考えうる中では、このメッシュタイプのエア トライスーツより涼しく走れるトライスーツはないのじゃないかと思います」(大西さん)