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宮古島トライアスロンにも、時代を象徴する新女王が誕生。

投稿日:2023年4月17日 更新日:


ルミナ編集部

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第37回 宮古島トライアスロン、女子総合優勝の戸原明子。夫は同じく歴代宮古島王者のひとり戸原開人

第37回 宮古島トライアスロン
女子速報

写真=小野口健太

戸原明子、2度目の出場にして初優勝

全日本トライアスロン宮古島大会(4月16日開催)女子総合争いでは、前回大会(2019年)3位の戸原(旧姓・稲葉)明子が大会2度目の参戦にして、うれしい初優勝を果たした。

スイムを好位置(暫定3位)で上がり、得意のバイクでトップに立った戸原だが、その後、プロカテゴリーで世界のアイアンマン・シリーズに参戦している巖淵知乃にかわされ、ラン前半まではその巖淵を追う展開に。

直前のケガ(鎖骨のはく離骨折)をおして出場した巖淵知乃は3位に。国内では上田藍らとともにプロ登録でアイアンマン・シリーズに挑んでいる実力者のひとり

肩にはく離骨折を負っている巖淵が、ケガを跳ね返し、初優勝に近づいたかに見えたが、「3位以内に絶対に入る」と決めていたという戸原はあきらめずにこれを追うと、残り約10km付近で巖淵をとらえ、再びトップに立つことに成功。

同じように、後方から迫る太田麻衣子のプレッシャーを感じつつ、これを何とかかわしてトップでフィニッシュ。レース前には自身も「正直、想定できていなかった」というSTRONGMAN歴代女王の仲間入りを果たした。

2歳の愛息とともにストロングマンのフィニッシュゲートをくぐる戸原。自らも0歳児のとき父とこのゲートをくぐった経験をもつ

先にフィニッシュしていた夫・プロトライアスリートの戸原開人(今回4位)と、2歳の愛息を伴った新女王のフィニッシュシーンは、出産・育児とトライアスリートとしてのキャリアを並立させている世界のトップ選手たちを髣髴とさせるものだった。

今回、悲願の宮古島初Vを狙っていた太田は2位、優勝候補と目されながら、直前のケガの影響がカバーしきれなかった巖淵は3位に踏みとどまっている。

バイク、ランにも磨きをかけ、悲願のストロングマン・タイトルを獲りにきた太田麻衣子。ランで戸原に迫るもとどかず2位に

優勝者・戸原明子
レース後コメント

―― 夫・戸原開人、愛息とのフィニッシュについて

戸原 キツかったけれど、本当に最高の瞬間でした。

レース中は、島の皆さんの応援がすごくて、その一つひとつをエネルギーに変えて頑張れました。忘れかけていた、沖縄の風景を思い出し、沖縄の音楽を聞くたびに、元気が出ました。

「練習でできないことは、本番では出せない」という言葉はありますが、私は「本番でしか出せない力」もあると思っていて、特に今日は宮古島の皆さんの応援のおかげで、その力を出すことができたと思っています。

――1994年の10回大会、0歳児のとき、父親とともに宮古島大会のフィニッシュゲートを越えた経験があるそうですが?

戸原 もちろん記憶には残っていませんが、その写真を見るたびに、「自分もいつかこれをやりたいな」と思ってきたので、今回、その夢も叶いました。

先に総合4位でフィニッシュしていた夫・戸原開人も加わり親子3人でゲートをくぐる

――今回のレースはプランどおりでしたか?

戸原 スイムは3位で上がって、バイクで一時トップに。ここまではプランどおりです。

スイムは予定どおりだったんですけれど、バイクで骨折していると聞いていた巖淵選手に抜かされて、「これは今日はもう無理かな……」と思ったのですが、今日のテーマは「今のベストを尽くす」ということだったので、最後まであきらめずに走り切れました。

2位でバイクを終えて、ラン最後の10kmくらいでトップに立ったのですが、後ろから太田麻衣子選手が迫ってきていたので(トップに立ってからが)怖かったです。

夫からは、「とにかく前半は抑えて、楽過ぎるくらい楽なペースで」とアドバイスをもらっていたので、そこは守って。

メチャクチャ暑かったですし、エイド間がちょっと長めだったので、各エイドでは毎回止まって、しっかり水をかぶり、つぶれないように意識して走りました。

3位以内には絶対に入ろうと思っていたのですが、優勝は、正直なところ自分でも想定外。残り10kmくらいでトップに立つと、どうしても(優勝したいという)欲が出てきて、ペースも上がってきていたので、本当にキツかったですね。

――2歳のお子さんがいて、普段のトレーニング時間はどう捻出しているんですか?

戸原 出産後は、練習を本番のようにやることはできなかったので、空き時間で、旦那と工夫しながら、トレーニング時間を捻出してきました。

――出産後、どのくらいの期間をあけてトレーニングを再開したんでしょうか?

戸原 出産直後も、身体を動かしたくて、10日後くらいに1~2kmジョグしていました。身体がボロボロで、助産師さんに怒られましたが。

その後、ちょっとずつ練習を再開して、産後1カ月過ぎたあたりから、トレーニングメニューをこなしていくようになりました。

4カ月後くらいには関東選手権にも出場したりして、試合勘を少しずつ取り戻し、昨年の8月にはアイアンマンにも出場しました。

世界のトップアスリートを見ていると、出産後の競技復帰が早くて、とてもそうした理想の選手にはかなわないですけれど、お母さんになってからも自分の夢をもって、トライアスロンを続けていきたいなと、ずっと思っていました。

――1歳半の娘をもつ直近のKONA(アイアンマン世界選手権)女王チェルシー・ソダーロにも影響をうけた?

戸原 レベルは全然違いますが、ママになったから、何かをあきらめるのではなくて、世界チャンピオンになって、何でもできるんだよという姿は本当にカッコよくて。美しいなと思います。

我が家も息子がいるので、私と主人と同時にレースに出ようとすると、家族の助けが絶対に必要なので、出られるだけで、本当に感謝しています。

5月から育休が終わり、職場復帰するので、これからは仕事と練習と、育児は夫婦半分こで助け合って、並立させられるよう頑張っていきたい。

今回は運良く優勝できましたけれど、まだまだ実力が足りないなという実感もあるので、また強くなって、宮古島に戻ってきたいなと思います。

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Result
女子綜合上位

順位/氏名/年齢/居住地/記録
1 戸原 明子 29 茨城県 7:08:21
2 太田 麻衣子 38 東京都 7:12:43
3 巖淵 知乃 33 埼玉県 7:15:41
4 宇治 公子 41 大阪府 7:31:19
5 前田 乙乃 25 愛知県 7:38:25
6 若月 由里佳 29 東京都 7:40:10
7 孫崎 虹奈 28 神奈川県 7:55:35
8 太田 成美 36 神奈川県 7:59:57
9 市川 典子 39 東京都 8:08:13
10 高橋 明実 48 東京都 8:09:02

予報どおりの晴天に恵まれた第37回 宮古島トライアスロン。全リザルト付き・詳報は次号ルミナ(6月2日発売号)に掲載予定

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