第37回 宮古島トライアスロン
男子速報
写真=小野口健太
晴天下の新生ストロングマン
完走率は2011年以来の90%台に
全日本トライアスロン宮古島大会(STRONGMAN)が4月16日(日)、4年ぶりに開催され、男女合わせて1107選手が、国内ロングの本格的なコロナ明けシーズンの始まりを告げるスタートラインに立った。
スイム3㎞、バイク123㎞、ラン30㎞という初めての距離フォーマットと、リニューアルされたコースでくり広げられた37度目のSTRONGMANは、朝7時のスタートから、制限時間を迎える午後6時半過ぎまで晴天に恵まれ、最高気温26℃。
宮古島らしい日差し・暑さが春先の他地域からやってきたトライアスリートたちを襲ったものの、風は強過ぎず、完走率は90.3%と比較的高めの値を記録した。
国内ロングの「現在地」示す新王者、上位陣の顔ぶれ
注目の男女上位争いは、男子、女子ともに新王者が誕生。それに続く上位陣の顔ぶれも、一新され、ロングを志すホープや、アイアンマン・シリーズで世界に挑んでいる強豪エイジグルーパーたちの名前がズラリと並び、
コロナ禍を経た、国内ロングディスタンス・トライアスロンシーンの現在地を鮮明にする結果となった。
男子総合争いでは、前回大会(2019年)王者にして、現在、国内では唯一のIRONMANプロライセンス保持者・戸原開人が参戦し大本命と目されたが、宮古島入りする約2週間前の新型コロナウイルス感染の影響もあってか、見せ場をつくれず4位。
優勝候補筆頭を欠いたレースで他を圧倒する強さを見せたのは、サニーフィッシュ所属で、今季から本格的にロング転向を果たした寺澤光介だった。
昨秋、佐渡でのロング日本選手権でも2位に入り、5月のロング世界選手権への出場も決めている寺澤は、2分遅れの第2ウエーブでスタート(※今大会は居住エリア等で分けられた4ウエーブ・2分おきのスタート形式をとった)。
得意のスイムでラップ1位を奪うと、バイクで先行するスイム第1ウエーブスタートの細田雄一(ロンドン五輪日本代表)を猛追。ウエーブ間のタイム差もあり、序盤はなかなか細田をとらえることができなかったが、
バイク60㎞を過ぎたあたりで、先行する細田に一般車両との接触というトラブルが発生。その間に、トップに立った寺澤は、そのまま他の追随を許さない独走でバイクを終えると、2位以下に約11分(ウエーブ間のスタート時差を入れると13分)差をつけランパートへ。
ランでは終盤、脚にケイレンの兆候が現れるなどのトラブルは起こりつつも、バイクまでで得たセーフティーリードを崩すことなく、終始独走態勢のままフィニッシュ。
宮古島初出場にして初優勝を果たし、伝統の一戦、勝者の系譜に名を連ねた。
優勝者・寺澤光介
レース後コメント
―― 今回、初めて採用されたウエーブスタート。得意のスイムを、2分遅れの第2ウエーブでスタートしなければならなかった、影響はありましたか?
寺澤 自分的にはあまり影響はありませんでした。最初に多くの選手を抜かさなければならないかと思いましたが、一方で、前のウエーブの選手が泳いでできた流れに乗って泳げるといったメリットもあるんじゃないかと、ポジティブに臨んで、自分のペースで泳げました。
―― バイク、ランは事前に想定していた通りの展開に?
寺澤 バイクでは、細田さんがアクシデントに遭っているところを抜かしたというのもあって、ちょっと複雑な気持ちはあったんですが、トップに立つことができました。
ランは最初淡々と刻んで、後半ペースを上げる・粘る――という自分の形にもっていきたかったんですが、後半ペースを上げようとしたところで、右のハムストリングスがつってしまいました。
その時点で後ろ(2位以下)との差が大分あったので、そこからはペースを上げずに、抑えめで走り切って、優勝できました。
バイクからランへのトランジションでも、ただ急いで着替えるだけでなく、ランをしっかり走るために、どうしたらいいかを考えて、用意していた保冷剤・氷でカラダをしっかり冷やしてからスタートしたり、いろいろ工夫しました。
バイクをトップで終えられれば、優勝を狙えるかなとは思っていたので、(ランスタート時2位との差が)11分差と聞いたときには、もうこれは優勝かなと思ったのですが、自分の場合、そこで気を抜くと良くないことが起こるので、「いやいや、そこは集中しなきゃダメだ」と自分に言い聞かせ、最後まで走り切れて良かったです。
―― 今後の目標、出場予定は?
寺澤 今後は、5月7日にロングの世界選手権(スペイン・イビサ島)があって、そのあとショートのレースに出たりして、あとは9月に佐渡のロング日本選手権。そして11月か12月には、アイアンマン・シリーズ戦に出たいと考えています。
そしてもちろん来年も、必ず宮古島大会に出たいと思います。
アイアンマンの距離は未経験ですが、今回の宮古島大会のレース距離は、昨年の佐渡・日本選手権(2位)とアイアンマンディスタンスの中間くらいの距離なので、ステップアップのレースとしてちょうど良かったです。
Result
男子総合上位
順位/氏名/年齢/居住地/記録
1 寺澤 光介 29 東京都 6:04:47
2 大畑 亮介 41 東京都 6:21:13
3 土田 洋平 43 岐阜県 6:22:09
4 戸原 開人 34 茨城県 6:23:06
5 山岸 穂高 25 千葉県 6:23:26
6 星 大樹 34 千葉県 6:23:31
7 梅田 祐輝 38 東京都 6:25:36
8 篠崎 友 39 神奈川県 6:30:58
9 井辺 弘貴 28 和歌山県 6:33:14
10 高橋 豪一 47 東京都 6:33:48