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日本のロングのミライを語ろう《前編》

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ルミナ編集部

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トライアスロンミライミーティング

©Kenta Onoguchi

>>トライアスロン・ミライ・ミーティング

日本ロングディスタンスの今とこれから

トライアスロン界では日本と世界との差が拡大している。これを打開するためJTUではマルチスポーツ対策チームが6年計画で、日本のロングディスタンスを強化していくプロジェクトをスタートさせた。

このプロジェクトがどんなものなのかをトライアスリートに伝えるため、6月4日にオンラインで「トライアスロンミライミーティング」が開催された。ここではミーティングの中から、ポイントをいくつかピックアップして紹介する。

まずは、JTUマルチスポーツ対策チームの平松弘道リーダーからのプジェクト全体像の説明からスタートした。

ロングディスタンス強化プロジェクトとは

平松弘道

JTUマルチスポーツ対策チーム平松弘道リーダー
U23アジア選手権準優勝をはじめ、ワールドカップ日本代表など国内外で活躍。ロングに転向後は、全日本宮古島大会3位などの成績を残し、2014年にエリートレースを引退。都内3店舗、会員数400名のトライアスロンスクールSUNNY FISHを主宰。現在、拠点を台湾と日本に置く。JTUマルチスポーツ対策チームリーダー。

まず、現状を確認していきましょう。世界のロングディスタンス界は、オリンピアンをはじめWT(World Triathlon /旧ITU)実力者たちのアイアンマン参戦で高速化、選手層が厚くなっています。

一方、日本人選手は2017年の戸原開人選手を最後に、プロカテゴリーでアイアンマン世界選手権に出場することすらできていません。

理由のひとつは、優秀な選手・コーチや資金がオリンピックカテゴリーに注力していること。そこで、JTUでオリンピックカテゴリー以外の振興を担うマルチスポーツ対策チームが、6年計画で国内ロングのレベルを向上させていこうとしているわけです。

トライアスロン ミライミーティング

そこで、我々のミッションとしては、「プロ・アマを問わずロングに挑戦するトライアスリートを支え、応援する」を掲げます。

ビジョンは「オールジャパンで世界(WT・アイアンマン世界選手権)に挑戦する」ことで、ミドル・ロングはプロとエイジの選手が同じレースに参加できるのが魅力。だからこそ、プロ・アマ一体のオールジャパンで世界に挑戦する体制を作りたいと考えています。

6年計画プロ・エリート

6年間のロードマップを策定し、WTロング選手権、アイアンマン世界選手権・70.3世界選手権での成績を強化していく予定です。具体的には、2028年に日本人選手がWTロング選手権で表彰台に乗り、アイアンマン世界選手権・70.3世界選手権世界でベスト10に入ることを目標に、世界と戦える土壌づくりを行います。

スタンダードディスタンスで強化されてきた選手たちにはポテンシャルがあるので可能だと考えています。

【図】6年計画/プロ・エリート

トライアスロン ミライミーティング

プロ・エリート強化と並行して、エイジの各世界選手権出場者を増やしていきます。エイジの層を厚くしていくことが、プロ・エリートも含めたロングディスタンスの底上げにつながるからです。

毎年コンスタントにWTロング選手権、アイアンマン世界選手権・70.3世界選手権に選手を派遣を目指します。2028年には合計350人の選手を送り込み、世界の中でジャパンの存在感を獲得する計画です。

これを目標に、エイジの皆さんと一緒に日本のロングを盛り上げていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

【図】6年計画/エイジ
トライアスロン ミライミーティング

強化と普及の両面で、ロングの選手強化と普及活動を実現

どの選手がどのくらいのレベルでどんな可能性があるのかを見極めるため、それらを可視化できる客観的指標を策定します。

スタンダードディスタンスでは認定記録会がありますが、ロングではIM優勝タイムを基準にしたパーセンテージを指標にしています。今後はエイジグループにも適用していこうと計画しています。

佐渡国際トライアスロンのロング日本選手権では表彰台より下の選手のタイムが、Bタイプの優勝者を下回っているという逆転現象が起きてしまっています。以前、Aタイプにエリート部門を設置したが、強い選手らの出場者がなかったので廃止となりました。

そこで、国内大会のレベル向上(国内最高峰大会の創出)として、佐渡日本選手権を、長崎五島のナショナルチャンピオンシップのように、プロ・エイジ混合の総合順位で評価する大会とし、国内の順位づけが明確になるような仕組みを構築していきたいと考えています。

佐渡国際トライアスロン

タレントの発掘と管理

プロを目指せる可能性のある選手には、適切な情報提供や測定の機会を提供していく必要があります。この後、アイアンマンのプロカテゴリーで世界を転戦している上田藍選手にもお話をうかがいますが、練習環境・遠征費用・キャリアなどについて、トップ選手の経済的支援の構築についても改善していく必要があります。

ここまで簡単に全体について説明しましたが、次はマーケティングについて、その後は具体的に各専門家、プロ選手、コーチから話をうかがっていきます。

マーケティングから見たロングディスタンス界の盛り上げ方

若山源二朗

若山源二朗委員
トライアスロン歴11年。チームY所属。2015、2016、2017、2019年KONAフィニッシャー。今年ケアンズで5回目のKONA出場権を獲得。仕事は海外スポーツブランドのマーケティングを経て、現在は不動産会社のCOO。MBA取得のため週2回大学院の夜間講座に通う。平松リーダーとともにプロジェクトを進める中心メンバー。

ロングディスタンスを盛り上げていくには、スポンサーを獲得し、安定した資金が得られる仕組みを構築することが必要です。

トライアスロン市場のコンシューマーは40〜50代を中心にしたエイジアスリート。ロングディスタンスのエイジアスリートは、オリンピックディスタンスに比べてエリート選手との距離が近く、一体感がありますよね。

SNSやスクールなどを通じてコミュニティが形成されているので、コミュニティを核とした濃密なコミュニケーションが可能です。

JTUも含めて、エイジアスリートのコミュニティを発展させていくことがロングディスタンス界の拡大につながると考えます。

スポンサー企業を開拓し、エイジアスリートと的確に結びつけていくことが、ロングティスタンス界を経済的に支援し、持続的に盛り上げていくことを可能すると思いますので、そこを目指しています。

>>中編に続く

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