
今季からGIANTと機材サポート契約を結んだニナー賢治。IM70.3では話題の新型TRINITYを駆る
GIANT
New Trinity
×ニナー賢治
9年ぶりフルモデルチェンジ
新型トリニティの第一印象とは?
9年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたジャイアントのトライアスロンバイク「トリニティ(TRINITY)」
東京&パリ五輪の日本代表で、今季からアイアンマン70.3などでこの新型TRINITYを駆ることになったニナー賢治選手(NTT東日本・NTT西日本 所属)に、そのファーストインプレッションを訊いた。
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取材=東海林美佳
写真=小野口健太
この性能をこの価格で実現する
ジャイアントのすごさ
Q ジャイアントとの出会いから教えてください。
ニナー賢治(以下ニナー)
ジュニア時代、オーストラリアでレースをしていた時のバイクがジャイアントでした。ブルーに赤のロゴが入っていて、当時最高のバイクでした。乗るのが楽しかった。
当時コーチだったのが、オリンピックディスタンスで3度世界チャンピオンに輝いたレジェンド、ピーター・ロバートソンだったんですが、彼もジャイアントライダーで、オーストラリアのオリンピック代表カラーにペイントされたカスタムバイクや、ツール・ド・フランスカラーのものがあって、その美しさに身惚れていました。
今回、こうして(機材サポート契約)ジャイアントとまたご縁ができてとても嬉しいです。

ディスクブレーキ化や、さらなるエアロ性能UP&軽量化の両立、大容量ハイドレーション標準装備など、トライアスリートの決戦バイクとしては魅力的な要素が凝縮されているGIANT/TRINITY ADVANCED SL(写真はニナー選手仕様のもの)
Q 新しいトリニティの第一印象は?
ニナー
先代のトリニティに関しては、使っている自転車選手たちに話を聞いたりしていて、その時点で軽量性とエアロ性能がすごいとのことでしたが、今回は、それにさらに磨きがかかっている。
そしてこの価格でこの性能を実現しているのがジャイアントのすごさ。他ブランドだったらとんでもない価格になっていると思います。
ジャイアントの魅力は費用対効果に優れていること。多くの選手が選ぶ理由のひとつでもあります。
新トリニティはクールなアップデートがいくつもあります。顕著なのはフォークの幅がワイドになったこと。デザインもさらに洗練されてトライアスロン特有のニーズにも応えてくれています。このバイクに乗れる特権に感謝です。

幅広になったフロントフォークは、楕円の後部を切り落とした新しい翼型形状を採用。さらなるエアロ性能UPに貢献している
Q 注目すべき改良点は?
ニナー
エアロダイナミクスには相当力を入れてきてますね。
そしてリムブレーキからディスクブレーキに変更になったことも大きい。それによってフォークやシートステーの形状も変わってます。

新しいフロントフォークは、フォークレッグの底部がブレーキキャリパーと一体となるようにデザインされ、乱気流を低減させている
それと、大容量のハイドレーションシステムがフレームにきれいに組み込まれているところもいいですね。

エイドで取ったボトルなどで直接、水やドリンクを補充できる大容量リザーバータンク
全体の印象は大きく変えず、細かい改良が施されています。グスタフ(イデン)が乗っていたプロトタイプを間近で見ていたから、乗るのが楽しみ。

2024年7月のチャレンジ・トゥルク(フィンランド)に新型Trinity Advanced SLを実戦投入し、勝利したグスタフ・イデン。同年10月のKONA(アイアンマン世界選手権)でも新型Trinityを実戦投入している(=写真)
Q Fast TTで新しいコックピットにカスタマイズしたそうですね。
ニナー
昨年のバッセルトンの前にFastTTをつけたんですけど、その時は時間がなさすぎました。
フロント部分のエアロダイナミクスはまだまだ改善の余地があると思います。

ノンドラフティングのIM70.3参戦にあたり、Fast TTでカスタマイズしたニナー選手のトリニティのハンドルまわり。まだまだ改善の余地がありそうだという
CdA値と前面の空気抵抗はアイアンマンにおいては最も重要な要素で、空力的なコストを削減するにはフロント部分を可能な限り小さくしなくてはならないんです。
大変な作業になると思うけど、エアロ対策は他の選手たちもやってきてるので、手を抜けません。

ニナー選手が新型トリニティを初めて実戦投入するのは3月23日のアイアンマン70.3ジーロング。ロングの強豪が参戦するIRONMANプロシリーズ2025シーズンの第1戦だ
Q 新トリニティで戦う次のレースは?
ニナー
アイアンマンプロシリーズにもなっているIM70.3ジーロングです。現IM70.3世界チャンピオンのイェール・ジーンをはじめ、多くのトップ選手と競うことになります。強豪の中でどこまで戦えるか、この距離で自分のレベルを知る良い機会だと思います。まずはこのバイクを乗りこなす練習を積まないと。
Q 日本のトライアスロンファンに向けて、コメントをお願いします。
ニナー
すでに素晴らしいエアロダイナミクス性能を持っていたモデル、トリニティをさらに極めるため、ジャイアントは多くの時間と技術を費やしてきました。その真価をジーロンで試すのが楽しみです。
ニナー賢治
Kenji Nener
オーストラリア人の父と日本人の母をもつトップトライアスリート。18歳のときにトライアスロンに本格参戦。2018年12月からは日本代表としてワールドカップ、世界シリーズに出場(2021年4月に日本国籍を取得)。東京・パリ2大会連続でオリンピックに出場。2024年のWTCS横浜大会では、並みいる強豪を相手に日本人男子歴代最高位となる7位入賞を果たしている。また、今季からロス五輪への挑戦と並行してIM70.3にも本格参戦する。